2021.12.16

人生100年時代|健康的な生活を送るために

最終更新日:2021.12.16
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

世界的に見ても長寿の国といわれる日本。人生100年時代といわれる現代において、健康的な生活を送るためにはいったい何に気をつければよいのでしょうか。本記事では、人生100年時代を健康的に生きるため、何が必要なのかについて解説します。健康的な生活を営むポイントを押さえ、人生100年時代を楽しく快適に生き抜きましょう。

外出による健康寿命の変化

健康寿命の変化

「若いころはよく外出したのに、最近はまったく出かけなくなった」といった方は少なくないでしょう。加齢による体力の低下や、事故や事件に巻き込まれるリスクなどを鑑み、外出を控えてしまう高齢者の方は少なくありません。健康寿命には、外出の有無が大きく関わっていることをご存じでしょうか。健康的な生活を送りながら長生きするには、積極的に外出したほうがよいといわれているのです。首相官邸が発表した「生涯活躍のまち」構想中間報告によると、身体機能を維持している男性の約68%、女性の約43%が毎日外出していると答えていたのです。一方、身体機能が衰えた方で毎日外出していると答えたのは、男性の約30%、女性の約24%に留まりました。この結果からも、健康寿命を伸ばすには外出がカギであることがわかりますね。

外出の仕方

何かしらの趣味がある方なら、積極的に外出したくなるのではないでしょうか。実際、あるデータによれば、独身高齢者で健康を維持している方の約83%が、何かしらの趣味があると答えたようです。演劇の観劇や寺社仏閣巡り、シニアでも出場できるスポーツイベントなど、趣味を見つければ外出先の候補はたくさん見つかるでしょう。また、1人で外出するよりも、友人や家族などと一緒に出かけたほうがより楽しめます。共通の趣味や楽しみをもつ仲間がいれば、予定を合わせて外出もしやすいでしょう。1人では、万が一外出先で何かあったとき、対応できないかもしれません。もしものことも考えると、友人や家族と一緒に出かけることをおすすめします。

人付き合いによる健康寿命の変化

健康寿命の変化

高齢になるにつれて、人との交流がなくなるケースは珍しくありません。しかし、健康寿命を伸ばすには、人との交流が大切だと考えられています。人との交流により日々の生活が充実し、新たな生きがいを見出せるかもしれません。一緒にさまざまな場所へ出かけることで、体力が向上する効果も期待できるでしょう。次からは、人付き合いによる健康寿命の効果について解説します。

笑うことで免疫アップ

笑う門には福来たる、という言葉がありますが、実は健康寿命を伸ばすにも「笑い」には効果が期待できるといわれています。具体的には、笑うことで免疫力がアップするといわれているのです。笑うと表情筋が動き脳へ働きかけ、血行がよくなります。また、心の底から楽しげに笑うと、自然と腹式呼吸になり免疫力が向上するといわれているのです。実際に、笑うと健康によく、免疫力がアップするのは医学的に証明されています。笑うことで腸の免疫細胞に刺激が加わり、活性化することで免疫力がアップするのだとか。さらに、大阪大学大学院医学系研究科准教授によると、笑いには認知症の進行を遅らせる効果も期待できるとのことです。

「口のフレイル」を予防する

口のフレイル、すなわちオーラルフレイルとは、口腔機能が衰えることを指します。高齢になると、食べ物を噛んだり飲み込んだりといったことが難しくなります。また、うまく口が回らなくなり、会話が難しくなるケースも少なくありません。このような、口腔機能が衰えた状態をオーラルフレイルと呼ぶのです。オーラルフレイルは、口や舌の体操を行えば低下を防げます。また、人付き合いを積極的にすることでも、オーラルフレイルを回避できることを覚えておきましょう。人付き合いを活発に行えば、自然と会話の機会に恵まれます。会話をするには、当然口を開きますよね。顔や舌の筋肉も自然と動くため、オーラルフレイルを回避できるのです。

外出以外での人とのつながり

SNSでの人とのつながり

人とのつながりは、何も外出だけで得られるわけではありません。今の時代、外出せずとも人とのつながりはもてます。たとえば、SNSが挙げられます。インターネットに接続したスマホやパソコンがあれば、SNSでいろいろな人とのつながりをもてるでしょう。また、ペットを飼うのも健康寿命によい効果をもたらすと考えられています。

SNS

TwitterやFacebook、InstagramといったSNSを使えば、外出せずともいろいろな人とのつながりをもてます。SNSではいろいろな人とコミュニケーションをとることができ、デバイスも操作します。このような行為が、脳によい効果を与えるといわれているのです。事実、アメリカでは高齢者がSNSに取り組み、認知機能が2ヶ月で25%も上昇したといわれています。また、2012年から東京都練馬区においても、Facebookを用いた認知症予防プログラムを実施しています。つまり、認知症予防としてSNSが効果的であることが実証されているのです。SNSにはさまざまな種類があり、それぞれルールや特性が異なります。いろいろ試し、自分に合ったものを見つけてみましょう。

ペット

可愛いペットを飼えば、独身高齢者の方でも自宅で寂しい思いをしません。家族の一員となったペットは、寂しさや悲しさをきっと紛らわしてくれるでしょう。それだけでなく、ペットを飼えばストレスを軽減できる効果が期待できます。2017年に行われたある研究では、ロボットのペットと対話をした認知症患者の方の多くがストレスを軽減し、治療薬の使用量が少なくなったとのことです。認知症予防には、記憶と運動、会話の3要素が大切だといわれていますが、ペットを飼えばこれらをすべて網羅できます。なお、高齢者向けのペットとしては猫がおすすめとのことであるため、候補として考えるときには猫を選択肢に加えておきましょう。

健康的な生活を送るために

人生100年時代

90歳や100歳まで長生きできたとしても、健康的な生活を送れなくては幸せとはいえないでしょう。いつまでも生き生きと快適に、充実した楽しい人生を送りたいものですよね。健康的な生活をいつまでも送れるよう、積極的な外出を検討してみてはいかがでしょうか。趣味や生きがいを見つけたうえで、仲間たちと外出するのはきっと楽しい時間です。本記事を参考にしつつ、健康的な生活を続けるために何をすべきかを今一度考えてみましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。