2021.07.14

初めての方へ|介護保険を利用するまでの流れ

最終更新日:2022.06.21
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

介護保険サービスを受けるまでの流れ

介護施設

社会全体で、要介護者や支援者を支えるために誕生した介護保険。少子高齢化がますます進む日本において、すでに介護保険はなくてはならない存在となりました。ただ、介護保険は誰もが自動的に利用できるものではなく、流れに沿った手続きが必要です。ここで、介護保険を受けるまでの流れをしっかり把握しましょう。

市区町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談する

初めての方は、「自分も介護保険を利用できるのか」「どのような手続きが必要なのか」などさまざまな疑問があるはずです。まずは、そのような疑問や不安を解消するため、市区町村の窓口や地域包括支援センターへの相談から始めましょう。地域包括支援センターは、さまざまな側面から高齢者をサポートしている組織で、介護に関する相談窓口でもあります。対象地域で暮らす65歳以上の高齢者や、その支援者が利用できます。

基本チェックリストの項目に応える

相談者の状態を把握するため、チェックリストが渡されます。基本チェックリストは25の項目が設定され、さまざまな質問が用意されています。たとえば、「バスや電車で1人で外出していますか」のような質問です。これら25の質問に対し、介護保険の利用を考えている本人が答えます。なお、誰の目から見ても明らかに介護が必要と判断されるようなケースでは、このチェックリストのステップを飛ばし、次の申請に移りましょう。

要介護認定の申請をする

介護保険を利用するには、要介護認定を受けなくてはなりません。要介護認定とは、介護が必要な方に、どれくらいの介護が必要となるのかを判断するためのものです。要介護認定は1~5まであり、数字が大きくなるほど手厚い介護が必要と判断されます。要介護認定の申請をするには、所定の申請用紙へ必要事項を記入し、市町村役場の窓口に提出します。このとき、申請書と一緒に介護保険被保険者証も提出しましょう。

認定調査・認定審査が行われる

要介護認定の申請が終われば、介護保険が利用できるわけではありません。提出された申請書の内容をもとに、介護保険の必要性やどの程度の介護が必要なのかなどを精査します。これが、認定調査や認定審査と呼ばれるものです。

認定調査

市区町村の職員が申請者のもとへ訪れ、さまざまな調査を行います。家族構成や生活状態などのほか、身体機能や生活機能、認知機能、社会生活への適応などの聞きとり調査が行われるのです。この訪問調査で得た情報をもとに、コンピューターによる一次判定が行われます。厚生労働省が開発した専用の分析ソフトを使用し、申請者にどれくらいの介護が必要なのかを客観的に分析します。

認定審査

認定審査は、二次判定とも呼ばれます。医療や福祉に係る学識経験者5名ほどで構成される、介護認定審査会により審査が行われます。この審査では、申請者のかかりつけ医による意見書や、訪問調査で得たデータなどをもとに意見が交わされるのです。かかりつけ医の意見書には、診療の状況や特別な医療の有無、心身状態に関する意見、介護に関する意見などが記載されています。一次判定の結果に加え、審査会による検討により判定が決まります。

判定内容が通知される

一次判定と二次判定が終わると、申請者の要介護度が決定します。判定内容は、認定通知書と介護保険被保険者証で通知が行われます。認定通知書には、要介護度区分が記載されているため、チェックしてください。要介護度区分には、要支援1~2、または要介護1~5が記載されているはずです。必ずこのどれかになるわけではなく、介護が不要と判断されたときは、非該当と記載されています。なお、認定結果は申請日から30日以内に通知されるのが一般的です。

ケアプランをつくる

介護保険のサービスを利用するには、要支援や要介護の認定を受けたあとにケアプランの作成が必要です。ここでは、ケアプランの概要や作り方、作るときの注意点などを解説します。

ケアプランとは

介護は、何もかも周りの人がサポートしてあげればよいわけではありません。本当に必要なサポートは行い、それ以外はなるべく自立してもらうことが大切です。それを踏まえた、質の高い介護を提供するために作成されるのがケアプランです。ケアプランは、介護のプランをまとめた計画書のようなものです。具体的にどのような介護を利用するのか、申請者や支援者の希望は何か、といったことも踏まえつつ、地域包括支援センターやケアマネージャーなどが作成します。

ケアプランの作り方

一般的には、ケアマネージャーにケアプランを作成してもらうことがほとんどです。ケアマネージャーが実際に要介護者や支援者と面談をし、ヒアリングしながらプランをまとめます。ケアプランは、ケアマネージャーが一方的に作成するものではありません。そのため、原案が完成した段階で、要介護者や家族への確認が行われます。最後に、サービス提供事業者も交えて話し合い、最終的なケアプランを完成させます。

ケアプランを作る時の注意点

介護を必要とされる方はもちろん、支援する家族もケアプランの作成に参加しなくてはなりません。原案はケアマネージャーが作成してくれますが、こちらの希望や想いがきちんと反映されているかどうか確認しましょう。些細なことでも、ケアマネージャーにしっかり伝えることが大切です。遠慮して伝えないでいると、利用者にマッチしないケアプランになってしまうおそれがあります。要介護者との生活で困っていること、今後どのような生活を望んでいるのかなども、きちんと伝えましょう。

サービス事業者などと契約を結ぶ

最終的なケアプランが決まったら、介護施設や事業者と契約を結びます。どのような契約内容になっているのか、きちんと確認することを忘れないでください。契約を結ぶ前に、具体的なサービス内容や回数、契約期間などについて明記されているか確認しましょう。また、解約が認められている場合には、どのような手続きをとるのか、負担金についての記載があるのかも要チェックです。

介護保険のサービスを受ける

契約まですべて完了したら、介護保険のサービスを受けられるようになります。ただし、実際にサービスを受け、思い描いたものと違っていた場合には、改めてケアマネージャーに相談しましょう。何かしら具体的なアドバイスをもらえる可能性があります。また、何かしらトラブルが起きたときのために、契約書の控えは必ず大切に保管しておきましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。