2021.12.30

睡眠の質を上げる食べ物とは|眠れない、疲れがとれないとお悩みの方へ

最終更新日:2022.12.01
東海林 さおり
看護師

良い睡眠をとるための食事とは

睡眠の質を高める食事内容とは|眠れない、疲れがとれないとお悩みの方へ

ここでは睡眠の質を上げる食べ物、つまり睡眠に期待されるメリットを十分得るための食事のポイントを解説します。質の高い睡眠は脳を休めて疲れをとり、翌日に十分な活動を行う準備をします。睡眠というと寝室の環境や着る物、寝る前の習慣に気を遣いますが、毎日の食事でポイントを押さえるとさらに質の高い睡眠へ導くことができます。睡眠の質を高めるといわれる栄養素には、タンパク質やGABAなどあらゆるものがあります。さまざまな食べ物をバランスよく使ったメニューにすると、睡眠の質のアップが期待できるでしょう。睡眠の質を上げる食べ物、つまり睡眠に期待されるメリットを十分得るための食事のポイントを解説します。

睡眠力を高める「まごわやさしい」

深く眠る睡眠力は加齢とともに衰えやすい力ですが、毎日の食事で「まごわやさしい」のポイントを押さえると、低下がゆるやかになると期待されます。「まごわやさしい」とは、ま=豆、ご=ごま、わ=わかめ、や=野菜、さ=魚、し=しいたけ、い=いもを表す和食の基本の合言葉です。この合言葉で表す食材は食物繊維・ビタミン・ミネラルを豊富に含んでいます。食物繊維が豊富な食材は便秘改善や成長効果を期待でき、腸内環境が整うと熟睡感が高まります。ミネラルの中でもマグネシウムは、体内であらゆる酵素を活性化する働きのほか、睡眠に関係するレニンという重要性のあるホルモンの働きと関わりが期待される栄養素です。

疲労を回復させる「イミダペプチド」

イミダペプチドは抗疲労作用を期待される物質の中で、渡り鳥の羽根のつけ根部分に含まれる物質です。渡り鳥は季節によってすむ場所を変える生き物で、中でも最も長い距離を飛ぶ渡り鳥は1年間に8万km以上移動するとのデータがあります。他には、回遊魚(カツオやマグロなど)に含まれています。実は動物の体内にもともとイミダペプチドは存在しており、最も酷使する部分にあって疲れきることを防ぐ効果があるといわれます。人の場合骨格筋や脳に存在しますが、食事で補うとイミダペプチドを必要なときに備えて備蓄できます。イミダペプチドを含む鶏胸肉などを食べると、体に入ってβ‐アラニンとヒスチジンにわかれ血中に含まれて体内をめぐります。疲労のたまった部分へ運ばれアミノ酸を再合成することで、疲労回復になります。

脳疲労や気力を回復させる「ビタミン」

脳疲労や無気力、うつ状態などメンタル面の不調がある場合、ビタミンを含む食材をとると睡眠の質を高める手助けになります。ビタミンとは人の体でほとんどつくれない栄養素で、炭水化物・タンパク質・資質を以外の有機化合物をさします。ビタミンはエネルギー源や体をつくるもとではありませんが、体を健やかに保つために不可欠な栄養素です。水溶性と脂溶性にわかれ数多く種類がありますが、中でも脳疲労や気力回復に役立つといわれるビタミンはB12です。ビタミンB12は睡眠リズムを整える役割が期待され、葉酸と協力して赤血球をつくるビタミンでもあります。ビタミンB12はシジミ・アサリ・牛や鶏のレバーなど動物性食品に多く含まれます。

脳の疲れをとる「抗酸化作用」

睡眠の質を高めるには、脳の疲れをとるといわれる抗酸化作用を期待される食品を取り入れましょう。活性酸素は人の体の活動でどうしても生じる物質ですが、うまく排出できずたまっていくと細胞にダメージを与えます。脳は活性酸素のダメージを受けやすく、活性酸素を減らすためにも抗酸化作用を期待される食品がおすすめです。例えばアスタキサンチンを含む食材、サケ・キンメダイ・カニ・イクラなど赤い魚介類をとりましょう。ポリフェノールもおすすめで、プルーン・りんご・赤ワイン・コーヒー・紅茶などに含まれます。フルーツはポリフェノールが皮にも含まれるため、皮ごと食べましょう。コーヒーや紅茶は豆や茶葉から淹れたものの方が多くポリフェノールを含んでいます。

快眠のためには夕食のメニューが大切

睡眠の質を高める食事内容とは|眠れない、疲れがとれないとお悩みの方へ

日中活動している間は体温は高い状態にあり、夕方から夜に向かうにつれて脳を休ませるために深部体温が次第に下がり、眠気が徐々に訪れるメカニズムになっています。深部体温とは体内部の温度をいい、ぐっと急激に下がることでスムーズに眠りに入りやすく、かつ深く質の高い睡眠を得ることができるので、睡眠には重要です。睡眠に向けて体温が下がっていくときに口にする夕食は、体温の低下を妨げないメニューを心がけましょう。穏やかに眠るためには、刺激が強く逆に目覚めさせる食品は避けることをおすすめします。質の高い睡眠を得るために、夕食におすすめのメニューを紹介します。おすすめメニューでも、消化に2~3時間はかかるため寝る3時間前には食べ終えましょう。

鍋料理

温かい鍋料理を食べると体温を上げ、そのあと次第に下がっていくため、深い眠りへ入るメカニズムに似ており夕食におすすめです。鍋料理に使う食材は、アミノ酸の一種のグリシンを含むものを選びましょう。グリシンとは肉や魚に含まれる、赤血球や肝臓で重要な役割を担う成分です。指先や足先の末端部分の血行量を増やし、深部体温を下げる働きがあるといわれます。睡眠に入るときの体の変化をサポートするため、グリシンを含む食材を使った温かい鍋は快眠に最適です。グリシンを含む食材は、エビ・イカ・ホタテ・カニ・カジキマグロなどがあります。牛すじや鶏の軟骨、豚足などにも含まれ、冬に限らずしっかり眠りたいときには鍋料理を選んでみましょう。

冷やしトマトや夏野菜

旬の作物はその季節に大事な栄養素を持っているうえ安く購入できるメリットがあります。夏の暑い時期にとれる夏野菜は体の熱をとる性質があるといわれ、体温を下げる働きが期待されます。これはカリウムを多く含むためで、利尿作用に優れ熱を尿と共に出して熱を下げることが可能です。夏野菜には、トマト・キュウリ・ナス・オクラ・ズッキーニ・さやいんげん・とうもろこしなどがあります。中でもトマトは体温を下げるだけでなく睡眠の質を高めるとされるメラトニンも多く含んでおり、深く眠りたいときにはぴったりの食材です。トマトを使ったレシピのうち冷やしトマトは簡単で、疲れた日の夕食にもおすすめです。冷蔵庫でよく冷やしたトマトを食べやすいサイズに切り、お好みのドレッシングや塩などをかけるだけですぐ食べられます。キュウリやナスは浅漬けにしておくと、夕食メニューにプラスでき便利です。

夕食の時間にも気を付けよう

睡眠の質を高める食事内容とは|眠れない、疲れがとれないとお悩みの方へ

睡眠の質を高める食材を使ったメニューであっても、消化しきれなければ体に負担がかかります。夕食は寝る2~3時間前にすませ、消化を終えた状態で眠りましょう。毎日の食事では「まごわやさしい」の合言葉を気にかけつつ、ビタミンやイミダペプチドを含む食材をとることをおすすめします。夕食では深い睡眠を促しやすいメニューや食材に特に気をつけると、質の高い睡眠が期待できます。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。