2022.01.03

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

仕事中、眠気に襲われる原因

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは

午前中はかどっていた仕事が昼休みに昼食をとったあと、眠気に襲われてなかなか進まなくなる経験をした人は多いはずです。昼食を食べて消化に力を使っているせいと考える人もいますが、脳の機能の全てが消化だけに向けられることはありません。もともと14時頃は食事をしてもしなくても眠気が訪れやすい時間帯です。本来の体のリズムに昼食で選んだメニューが影響して、眠気や気だるさを増幅させている可能性があります。

午後の眠気防止におすすめな食事

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは

人の体のリズムで眠くなることは仕方がないとはいっても、ゆっくり昼寝する時間をとれないときは困ってしまいます。午後の眠気をできるだけ気にせず過ごしたい人のために、眠気防止に役立つ食事を紹介します。

ランチは副菜やおかずの多い定食

忙しいときのランチは丼ものや麺類だけで終わりがちですが、それでは午後の眠気を増幅しやすいです。糖質の多い単品メニューは避けてタンパク質を含む食材や野菜もしっかり取り入れましょう。例えば和食の定食で野菜の副菜が複数ついており、メインは肉や魚のおかず、ごはんは茶碗1杯のような内容が望ましいです。ごはんは玄米や雑穀米、具材の豊富な汁物もついていると栄養バランスもとれたメニューになります。洋食の場合はサラダやスープ、全粒粉のパンなどがついたメニューがおすすめです。それでもお腹いっぱい食べると満腹感から覚醒ホルモンが働きにくくなるため、腹八分目に抑えましょう。昼食は朝食を抜くと空腹感から食べすぎてしまいがちです。午後の眠気を避けて気持ち良く動きたい人ほど、朝食をとりましょう。できれば朝食でも睡眠の質を高めるといわれるトリプトファンを含む食材を使ったメニューを入れてください。

お腹が空いたらホエイプロテイン

仕事中など忙しいときにお腹がすくと、手軽に食べられるお菓子を口にしがちですが、甘いお菓子は仕事のペースに影響しやすいため避けましょう。甘いお菓子には小麦粉と砂糖など糖質を多く含み、急激な血糖値の上昇から眠気を感じることがあります。お腹がすいて何かつまみたいときは、ホエイプロテインがおすすめです。ホエイプロテインとは、ヨーグルトの上澄み部分のホエイに含まれるタンパク質の一種です。ホエイプロテインはアミノ酸が含まれ、筋肉修復作用が期待された成分で、吸収しやすく胃にもたれにくいといわれます。粉末タイプのホエイプロテインは種類が豊富で、味もシンプルなプレーンからココアやいちごなどフレーバータイプとさまざまにあります。好みの味を見つけておけば、おやつが欲しいと思ったときに代用がききます。複数の味を用意しておいて、その日の気分で選んで楽しんでも良いでしょう。お菓子を食べずホエイプロテインをとるときは、牛乳またはフルーツジュースに20g程度のプロテインを混ぜて飲みましょう。1日に必要なタンパク質の3分の1程度がとれます。しかしそれ以上毎日飲むととりすぎになり、エネルギー過剰や分解しきれなかったアンモニアから体臭が発生する場合があるため注意しましょう。

夜の眠りを妨げる食品

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは
仕事中に眠気に襲われないためには、毎日夜に質の高い睡眠をとりましょう。睡眠の質を高めるには夜の過ごし方や口にするものにも配慮が必要です。例え好きなものでも夜寝る前の摂取に適していなければ、十分な睡眠がとりづらく日中眠気に襲われる原因になるかもしれません。眠りを妨げるものやとり方の注意を解説します。

カフェインの摂取は午後2時まで

朝や仕事中の眠気覚ましにコーヒーを飲む人もいますが、コーヒーはカフェインを含み覚醒作用があるといわれます。疲労回復の働きも期待され、午前の疲れをとるにはおすすめの飲み物です。ただしカフェインは午後2時までの摂取にとどめ、それ以降は質の高い睡眠のためにとらないことをおすすめします。カフェインの覚醒作用は、摂取後30分から働きが現れはじめ5~7時間続く場合が多いといわれます。人によって10時間持続するケースもあり、寝る予定の時間から逆算して飲む時間を考慮しましょう。疲労回復や気分がすっきりする効果も期待されるカフェインは、寝る前に飲んだ方が良いのではと思うかもしれません。しかしカフェインは覚醒作用があるといわれ、寝たくても寝られない状態になる可能性があります。どうしてもコーヒーを楽しみたい人は、ノンカフェインコーヒーなどカフェインを含まない処理をした製品がおすすめです。カフェインは利尿作用もあるといわれ、深夜トイレに行きたくなって起きると睡眠の妨げになります。カフェインを多く含む飲み物や食べ物は、コーヒー・紅茶・緑茶・チョコレートなどです。濃さや飲み方食べ方によりカフェイン含有量は変わるため、とり方に注意しましょう。

飲酒には睡眠薬と同じ危険がある

睡眠薬は薬のため正しい飲み方を必ず守ろうとしますが、アルコールはつい飲みすぎてしまう人もいるでしょう。実は睡眠薬とアルコールのどちらを飲んでも、体内で同じ作用が起きるため眠気が起きます。アルコールは睡眠薬を誤って多く飲んだ場合と同様に危険で、飲みすぎると酔っ払い足元がふらつく状態は意識混濁に近い状態といわれます。お酒を飲んで寝た人の脳波を見ると、軽い麻酔にかかった状態に近いのです。もし、ぐっすり眠れるからとの理由で大量の飲酒をして眠ると逆に十分眠りづらくなります。初めはアルコールにより深く眠っていても血中アルコール濃度の低下にともない、眠りが浅くなって目が覚めるためです。また、アルコールの利尿作用により深夜にトイレへ行きたくなり、眠りを妨げてしまいます。眠るためにお酒を飲み続けていると、睡眠障害が起きる可能性があります。健康的にお酒を楽しむには、体重60㎏の健康な人の場合は寝る3時間前までに、ビールでは中びん1本、日本酒では1合、ワインではグラス2杯にとどめましょう。

安眠効果にはカモミールティー

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは

カモミールは眠りを誘うハーブと呼ばれ、サプリメントなども販売があります。中でもカモミールティーとしてとる方法が適しており、カップ1杯のカモミールティーが安眠を誘うといわれます。カモミールは古代から治療にも使われてきたハーブで、皮膚トラブルや炎症、心疾患などに役立つとされます。カモミールに含まれる天然成分が神経系の活動を自然と鎮めるため、体への負担も少ないハーブです。本格的にカモミールティーをじっくり楽しみたい人は、ドライカモミールをティーポットで淹れる方法を、手軽に飲みたい人はティーバッグの利用が便利です。自宅の庭でカモミールを栽培しているなど無農薬カモミールの花が手に入れば、10輪ほど花を摘んでそのまま熱湯に浮かべる方法もあります。カモミール以外にも安眠を誘う飲み物に、ラベンダーティーもおすすめです。ラベンダーも古代から親しまれる安眠を期待できるハーブで、医療用としても使われました。イライラや緊張をやわらげ、ストレス性の頭痛や胃腸の不調、高血圧などをおだやかにし、質の高い睡眠を期待できます。

まずはできることから始めてみよう

仕事中、眠気に襲われる方におすすめの食事|睡眠を妨げる食品とは

昼がすぎた午後の時間帯に眠気に襲われることは誰しも仕方のない状態で、無理にカフェインを多くとるなどはせず、昼食の内容を見直しましょう。糖質を控えめに、タンパク質を野菜の豊富なメニューを心がけて眠気が強くなりすぎないよう工夫してください。眠気が強いとたくさんカフェインをとりたくなりますが、睡眠の質を下げるためほどほどにし午後2時までで摂取をやめましょう。寝る前の飲み物はお酒よりも、カモミールなど安眠作用を期待できるハーブティーが安心です。古くから親しまれる天然成分の働きで、体に負担をかけず、質の高い睡眠が期待できます。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。