2022.01.12

簡単生活リハビリ「ロコモティブシンドロームの予防方法」

最終更新日:2023.07.03
加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームとは、加齢による筋力低下や運動器の疾患(変形性膝関節症など)の影響で、歩く能力が低下した状態のことを言います。この状態が進行すると、日常生活に介護を要する要介護状態に陥る危険性が高いとされています。また、家に閉じこもりがちになると認知症の発症リスクも高くなるため、予防することが大切です。

ロコモ度テスト

日本整形外科学会ではロコモティブシンドロームを早期発見するためにロコモ度テストを行うよう推奨しています。ロコモ度テストは3項目のテストを行い、ロコモ度を判定します。テストには、両足または片足でどれくらいの高さから立ち上がれるかをチェックする「立ち上がりテスト」、なるべく大股で2歩あるき、その距離を身長で割る「2ステップテスト」、25項目の問診表で評価する「ロコモ25」があります。これらの結果からロコモ度が判別されます。「ロコモ度1」は歩行などの移動機能の低下が始まっている状態、「ロコモ度2」は移動機能の低下が進行している状態、「ロコモ度3」は移動機能の低下が進行し社会参加に支障を来している状態になります。「ロコモ度」の判定については、インターネットなどからご覧いただけますので、是非、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。

ロコモティブシンドロームの予防方法

高齢になるまでに全く予防をせずに過ごし、ロコモティブシンドロームが進行すると、「身体が動きにくくなる」「歩き方が不安定になる」「転倒する」という状態になってしまいます。また、年齢を重ねるごとに、足や腰に痛みを感じるようになり、動くことが恐怖になってしまいます。そのため、早いうちから予防をすることはとても大切です。また、高齢化社会の今、1人でも多くの人がロコモティブシンドローム予防をすることで、介護保険サービス利用者の増加抑制や、認知機能低下を抑え、家族の負担を軽減出来るといったメリットもあります。

ロコモティブシンドロームを予防する方法についてご紹介していきたいと思います。日本整形外科学会ではロコモティブシンドロームを防ぐ運動として「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」を推奨しています。ロコトレは次の2つの運動を言います。

片足立ち

ロコモーショントレーニング_片足立ちロコモーショントレーニング_片足立ち

① 机などのつかまることが出来る物の近くで行います。
② 床から足が少し離れる程度にどちらかの足を上げます。
※この時、体が左右に傾かないよう注意しましょう。
③ ②の状態を1分間キープします。これを1日3回繰り返します。
期待される効果としては…
バランス能力や股関節周りの筋力が向上し、ふらつきの少ない安定した歩きが身につきます。

スクワット

ロコモーショントレーニング_スクワット

① 足を肩幅より少し広めに開きます。つま先も30度程度開きます。
② 後ろの椅子にゆっくり座るようにお尻を後ろに引きながらゆっくり腰を落としていきます。
深呼吸をするペースで、5~6回繰り返します。1日3セット行いましょう。
※ 膝がつま先と同じ方向に向くように注意しましょう。
※ 膝は90°以上曲げないように注意しましょう。
期待される効果としては…
お尻や太ももの筋肉を鍛えることで、立ち座りや歩きが安定します。

足で床に円を描く運動

ロコモーショントレーニング_足で床に円を描く運動

①肩幅程度に足を開いて立ちます。
②左右どちらかの足を床に円を描くように動かします。
 ※この時、動かす側の足は軽く地面に着け大きく円を描くように動かしましょう。軸足は少し曲げても結構です。
左右5回ずつを1日3セット行いましょう。
期待される効果としては…
バランス能力を高めるとともに、軸足の太もも、お尻の筋肉を鍛えることができます。円を描く側は股関節の動きを維持・向上できます。

四股踏み

ロコモーショントレーニング_四股踏み

① 足を肩幅に開いて立ちます。
② 相撲の四股を踏むように足を大きく横に開きます。
③ 顔を上げ、胸を正面に向けた状態でゆっくり腰を落としていきます。
④ ゆっくり元の姿勢に戻っていきます。
左右交互に10回を2セット行いましょう。
期待される効果としては…

一見スクワットと似ているようにも見えますが、四股踏みの場合、内ももとお尻の内側の筋肉といった左右のふらつきや姿勢を保持するために必要な筋肉を鍛えることができます。

高齢になる前からロコモティブシンドローム予防をしよう

ロコモティブシンドローム予防

ロコモティブシンドロームに年齢は関係なく、高齢者以外にも、40代~50代の人が該当します。40代~50代でロコモティブシンドロームになると、当然ながら60代で自立した生活をすることが困難になり、最終的に寝たきりになってしまいます。高齢者になるまえからロコモティブシンドローム予防を行い、歳をとってからも元気で自立した生活を送りましょう。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。