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腰痛に悩む人の共通点とストレッチ方法
腰痛に悩む方には共通点があります。それは大きな筋肉が硬く、弱いことです。具体的には胸郭、下肢、腹筋、背筋のことを差します。特に、胸郭と下肢は人体の中でも大きな筋肉がついています。この筋群は日常生活でよく使う筋肉になります。腹筋、背筋は腰回りを支える腰部周囲筋と言って、この筋肉が弱いことで姿勢の安定性が失われます。胸郭、下肢の筋肉の柔軟性と腰部周囲筋を鍛えることで腰痛改善につながります。
腰部周囲筋が弱い
腰痛で悩む人の中には「腰痛を改善するために、腹筋や背筋を鍛えた方が良い」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。特に、腰は脊椎(背骨)と腹筋で上半身の体重を支えているため、筋力が低下すると腰椎(腰の辺りの背骨)に負荷がかかり、腰痛の原因になることがあります。そのため、腹筋や背筋を鍛えるのは腰痛を改善する上でとても大切です。
体幹を鍛える
腰痛予防に関して、いわゆるインナーマッスルを鍛えることは日々の姿勢を安定させることに繋がり有効な手段です。ここでは、体幹を鍛える簡単な筋トレについてご紹介していきます。
①仰向けになり肋骨を両手で包み込む。
この時、膝は立て、直角に曲げる。
首の下にタオルなどを入れると首にかかる負担が減らせる。
②下腹部に空気を送るイメージで息を吸い込む。
この時、肋骨を包んでいる手で肺が広がっていることを確認する。
腰は反らないように注意する。
③5~6秒かけて空気を吐き出す。
肋骨が縮んでいくのを両手で確認する。
この時、お腹を凹ませながら腹圧をかける。
④その状態で5秒保つ。
この時、手を下腹部に当て、腹圧がかかっているか確認する。
②~④を5回×1セットにして朝、晩行う。
ハムストリングスと大腿四頭筋が硬い
太ももの大きな筋肉として、後ろにある「ハムストリングス」と前にある「大腿四頭筋」があります。太ももの後ろ側にあるハムストリングスが柔らかいことで骨盤がスムーズに動き、腰椎をあまり使わずに前屈することができます。しかし、ハムストリングスが硬いと前屈する時に骨盤の動きが足りず、腰椎を曲げてしまうことから負担が大きくなります。その結果、炎症、変形、変性の原因となり、腰痛を招いてしまいます。太ももの前にある大腿四頭筋が硬くなると骨盤が後傾しにくくなり、腰椎だけで上体の後ろへの傾きを支えることになります。その結果、腰椎の下部に負担が集中し腰痛を招きます。大腿四頭筋が柔らかくなることで腰椎への負担を軽減することができ、腰痛予防につながります。
太ももの裏側を伸ばすストレッチ
立位のまま脚を伸ばし、手を床に付ける立位体前屈を行って、床に届かない状態はハムストリングスが硬くなっています。ストレッチを行うことでハムストリングスの柔軟性を取り戻すことができます。では、具体的にどのようなストレッチが有効なのでしょうか。腰痛がある方は起き上がって体操をすること自体が大変だと思います。まずは寝転んでできるストレッチを行っていきましょう。それが足上げストレッチです。
①股関節と膝が直角になるように片足を上げ、ももの裏を両手で掴む。
この時、両足首は常に直角を保ちます。
視線は真上に向け、首の負担を軽くするためタオルを下に引くのもいいでしょう。
②膝を伸ばして膝より下の部分は腿の前の筋肉を使いながら引き上げる。
③膝より下の部位をできるだけ、5秒保つ。ゆっくり足を下す。
この時、ハムストリングスがしっかり伸びていることを感じましょう。
① ~③を左右交互に5回繰り返すストレッチを、朝、晩行う。
太ももの前側を伸ばすストレッチ
うつ伏せになり、膝を曲げてかかとでお尻を蹴れない状態の方は大腿四頭筋が硬くなっています。大腿四頭筋の柔軟性を取り戻すことで、腰椎への負担を減らすことで腰痛予防に繋がります。最も手軽にできるストレッチは、
① うつ伏せの状態で両手をあごの下で組む。
その時、両足は伸ばし肩幅程度に開いておく。
② 片足をゆっくり曲げて、かかとをお尻に近づける。
勢いをつけると腰を痛める原因になるので注意が必要です。
無理にお尻に付けず、できる範囲で行う。
①~②を交互に50回、朝、晩で行う
腰痛の症状別、ストレッチ方法
腰痛改善にストレッチは大変有効な手段なのですが、腰痛の原因に応じてストレッチの種類も変えていく必要があります。ストレッチの方法を間違えると逆効果になる可能性もあるので、まずはどのような動きに痛みを感じるのかを知ってからストレッチの種類を選んでいきましょう。大きく分けて、前屈で痛みを感じる前屈障害型腰痛と後屈で痛みを感じる後屈障害型腰痛に分けることができます。どちらも痛みが激しい時は安静にし、痛みが軽くなってきたらストレッチをスタートしていくことをおすすめします。しかし、徐々にストレッチを始めていかないと筋肉が固まってしまったり、関節の動きが悪くなってしまったりするので常に動きの中でどれくらい痛みが出るのか知っておく必要があります。
前屈障害型腰痛におすすめのストレッチ
前屈で痛みが出る前屈障害型腰痛の方は腰椎を反らせる運動や、腰椎周りの筋肉や靱帯をゆっくり伸ばして柔軟性を高めるストレッチをしていくと良いでしょう。ただし、腰椎圧迫骨折の場合、ストレッチによって痛みが強くなるようなら中止してください。
うつ伏せ腰反らし体操
①うつ伏せになり、両腕の肘と指先を平行に床に付ける。上体を起こし、腰を反らせて10秒保ち、ゆっくり元に戻す。
②①ができる方は手のひらを床に付けて肘を伸ばしながら上体を起こし、腰を反らせる。10秒保ち、ゆっくり元に戻す。
①または②を5回、朝、晩行う。
後屈障害型腰痛におすすめのストレッチ
後屈すると痛みが出る後屈障害型腰痛の方は前屈障害型腰痛とは逆で腰を丸めるようなストレッチが有効です。
両膝抱え腰丸め体操
仰向けになり、膝を両手で抱え10秒保ち戻る。
片膝抱え腰丸め体操
仰向けになり、片膝を両手で抱え10秒保ち戻る。左右両方行う。
正座腰丸め体操
正座して、両腕を前方に伸ばす。10秒保ち戻る。
腰を落とし、指を遠くに伸ばすイメージで行う。
各ストレッチともに10回を朝、晩行う。
毎日コツコツと続けよう
ストレッチや運動は習慣化することでその成果がでてきます。毎日行うのは大変なことかもしれませんが、生活にうまく組み込むことで習慣化できます。毎日感じる腰痛を軽減、改善していくためにも毎日コツコツ続けられるようにしていきましょう。
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資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。