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睡眠の質を上げる生活習慣(布団・寝具)
睡眠の質を上げる方法のひとつに寝具のチェックがあります。寝ている間ずっと触れている布団などの寝具が自分に合っていれば、理想的な睡眠周期になると期待できます。ここでは睡眠の質を上げるためにおすすめの、寝具に関するポイントを紹介します。
ベッドはひとり1台が基本
パートナーや子供と一緒に寝る人は多いですが、できればベッドはひとり1台使いましょう。例えばひとつのダブルベッドで眠ると掛布団もベッドに合わせたものをひとつだけ準備する場合が多いです。ふたりで寝る場合どちらかが寒がり、もうひとりは暑がりでは掛布団の厚さが調整できません。どちらかに合わせると睡眠不足になってしまうため、シングルベッドを人数分用意した方がぐっすり眠れます。できるだけ近くで眠りたいときはベッド同士をくっつけましょう。個別のベッドを隣同士にしただけでは、お互いの振動が伝わることもあまりなく、睡眠を邪魔しません。
眠るための理想の間取りがある
寝室にベッドを置くとき睡眠の質を高める理想的な場所は、頭側が入口から最も離れたところです。部屋の入口は空気の出入りがあり、暑さや寒さを感じる場所のため、浅い睡眠になりやすいです。ほこりなども入りやすく部屋の外の音も響きがちなため、布団やベッドは頭側が入口から離れるように設置します。
もうひとつの設置場所のポイントは、布団やベッドは壁や窓から10cm以上離すことです。窓際にベッドを置くと部屋のスペースは広くなるものの、外気温の影響を受けやすく、暑さ寒さにより寝づらく感じるでしょう。窓が結露し水分が生じ寝具が吸収するとカビが生えやすく、衛生的ではありません。壁にくっつけていると隙間にほこりがたまるものの掃除がしづらく、この場合も清潔ではありません。そのため壁や窓から10cm以上離したところへベッドを設置すると眠りやすいです。
自分に合ったマットレスを使う
身体に合うマットレスを選ぶには、店舗のサンプルで寝ころんでみましょう。そのとき10分程度ごろごろし、仰向け・うつ伏せ・横向きなどを試して寝やすさを確かめます。寝返りしやすいかを重視していくつもベッドへ寝ころび、試しましょう。無意識で行う寝返りがしにくければ、中途覚醒しやすくなります。試さず身体に合わないマットレスにすると、不自然な姿勢で眠るため全身に余計な力が入ってしまいます。すると身体がこわばったままになるため、疲労がとれない・朝身体が硬いなどのデメリットが生じます。
枕選びは高さと形に気をつける
眠りを深くする枕選びの高さと形のポイントは、うなじの隙間が埋まる・頸椎を支えられる・立ったときと同じ姿勢がとれることです。最適な枕選びが難しい場合は、低めの枕を用意して高さを補い調節する方法をとりましょう。低いと感じれば枕の下へバスタオルなどを入れて調節し、何度も寝ながら寝やすさをチェックしてちょうどよい高さをつくります。身体に合わない枕を使い続けると、高すぎれば肩や首の筋肉に負担がかかってこりやすく、呼吸もしづらいためいびき・頭痛の原因になる場合があります。枕が低すぎると支えきれない頸椎に負担がかかり、寝違え・肩こりの原因になりやすいです。
寝具の寿命を延ばすためにはこまめに干す
枕・布団・マットレス・ベッドパッドはそれぞれ寿命は異なりますが、どの寝具もできるだけ長持ちさせるにはこまめに干しましょう。枕の寿命は3~4年で長くても5年、布団は羽毛布団なら10年から15年、掛布団は5年から10年、敷布団は3年から5年が目安といわれています。また、マットレスは5~10年、ベッドパッドは長持ちする製品で10年といわれます。あくまで目安で製品の質や個人の使い方により、寿命には違いが現れます。干し方は基本的に製品の説明書に従いますが、分からなければ肌に触れる側を長めに干しましょう。丸洗い可能な寝具はこまめに洗うお手入れもおすすめです。寿命が過ぎた古い寝具を使い続けると、弾力性がなくなり中身が偏ることもあります。古い寝具は形がつぶれ、本来の目的を果たせず身体に負担がかかるため、そろそろ寿命だと感じれば早めに買い替えましょう。
エアコンと加湿器を併用する
夏場の寝室の理想的な温度は28℃以下、湿度は40~60%が最適です。身体の温度が十分に下がり、深い睡眠をとりやすい室温と湿度です。冬場の場合は20℃前後の室温で湿度は40~60%を保ちましょう。理想の温度と湿度を一定に保つと質の高い睡眠が期待できるため、朝までエアコンと加湿器はつけっぱなしがおすすめです。加湿器の代わりに濡れたタオルを寝室で干す方法もあります。暑い寒いと感じればその都度エアコンの温度を調整し、夏場はタオルケットや夏布団を使っても良いです。眠りやすい室温と湿度でない場合、深部体温が上がって下がる眠りのリズムが整わず、眠りが浅い状態になりがちです。特に眠り始めが不快な場合、深く眠れず疲れがとれないなどのデメリットが生じやすくなります。
アロマテラピーを活用する
アロマテラピーは香りが脳に働きかけ、あらゆる効果が期待できる芳香療法です。睡眠の質を上げるおすすめのアロマ(香り)には、ラベンダー・オレンジスイート・ベルガモット・サンダルウッド・ゼラニウムなどがあります。どの香りもリラックスや自律神経を整えるといわれ、イライラを抑えて緊張や不安を緩和し眠りやすい状態に導いてくれます。
必要に応じて耳栓、マウスピースを活用する
室温や湿度を一定に保つためのエアコンですが、稼働音が気になって眠れない人もいます。そのときは耳栓をして眠ると音をシャットアウトし、睡眠の質を上げられます。部屋の外の音が気になる場合も、耳栓の使用はおすすめです。朝起きるとあごが疲れている・肩がこっている人は、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしているかもしれません。その場合マウスピースを装着して寝ると予防でき、歯や身体への負担軽減につながります。歯ぎしりや食いしばりをしているか知りたい場合は、歯科クリニックで相談しナイトガードを作成し装着しましょう。しばらく装着を続けると削れ方で歯ぎしりや食いしばりがわかります。
快適な寝具で朝までぐっすり眠ろう
寝るときに欠かせない寝具ですが、家族で寝る場合もひとり1組の布団を用意しましょう。ベッドの場合も同じで、ひとり1台ずつ使いお互いに睡眠を妨げない状態をつくります。ベッドを置く場所は入口から最も遠い場所に頭側を向け、窓際や壁にくっつけることは避けます。こまめに干す、洗う手間をかけて寝具の寿命を伸ばす工夫をし、エアコンや加湿器をうまく使って、快適な環境で眠りましょう。睡眠の質を上げるために、リラックス作用が期待される香りを使ったアロマテラピーを利用する方法もあります。音が気になるときは耳栓を、歯ぎしりが心配なときはマウスピースを活用して、ぐっすり眠りましょう。
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看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。