2022.01.07

睡眠不足でお悩みの方へ|睡眠改善の為に心がける事とは

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

眠れないときの対処法

睡眠改善の為に心がける事とは

ベッドに入ったものの頭がさえてしまった、考え事や不安がわいてきて眠くならないなど、眠れず困ったときはどうすれば良いでしょうか。眠れない状態は交感神経が優位に立ち、自律神経のバランスが乱れて寝つきにくくなっています。眠れない夜が続いて睡眠不足にならないためにも、眠るための対処法を知っておきましょう。自律神経のバランスを整え、眠りやすくする睡眠改善の方法を紹介します。

自然な音やクラシック音楽を聴く

眠るには心身のリラックスした状態が必要で、自然の音やクラシックが役に立ちます。人の脳波はα波に切り替わって眠りますが、自然の音やクラシックを聞くと脳波を落ち着かせて快眠を導くことが期待できます。自然の音は、波・川・雨・森の中・虫の声などさまざまあり、眠りのための音楽動画も多数投稿されています。いくつか聞き比べて自分好みの音を用意しましょう。クラシックでは、バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻 第1番 ハ長調」やドビュッシーの「月の光」がおすすめです。

目を閉じて深い呼吸をする

目を閉じて深い呼吸をする瞑想は、副交感神経が優位になり心身をリラックス状態へ導きます。余計な考えが次第に消えて落ち着いた状態になり、横になって行えばそのまま眠りにつけます。まず仰向けになり両脚を軽く開いてかかとを重く置きましょう。両腕を体の横へ力を抜いて置き、閉じた目はまぶたの重さを感じます。そしてゆっくり息を吐いたあと自分のペースでくり返し呼吸をしたあと、口を自然にあけます。眉間をはじめ顔全体の力も抜き、ひと息吐くたびにベッドと触れた部分が重く沈んでいく感覚を感じましょう。次に大きく息を吐いて鼻から吸い、ゆっくりと口から吐く呼吸を3回行いましょう。そのあとは自分のペースの呼吸をしていくと、次第に眠りにつけるでしょう。

眠れないときは寝室を出る

なかなか眠れないと感じたときは、20分を目安に寝室から出ましょう。ただ横になるだけでも体が休まるとはいいますが、寝つけず辛い気持ちが残るとまた眠りにくくなる可能性があります。リビングなどで部屋の明かりを暗めにしゆっくり過ごしましょう。不安や心配があり眠れなければ、紙に書き出して気持ちを整理する、ノンカフェインドリンクを飲んでひと息つくなど、時計やスマホを見ずに過ごします。次第に眠気が訪れてから寝室へ行くと眠りやすくなります。

快適に眠りにつくために心がける事

睡眠改善の為に心がける事とは

眠れない原因は寝室や寝具など、眠る環境やそのときの心境だけではありません。日常生活でも質の高い睡眠にする方法を心がけましょう。日中の過ごし方が眠りの訪れ方にも影響するため、寝る前に限らず生活習慣を整えることをおすすめします。ここでは眠りを深くするために、日頃から取り組める睡眠改善のポイントを解説します。

部屋を片付けておく

物が散乱した部屋で生活するうちに、片付けられない自分を責めてダメな人間だと思う場合があります。くり返し自分を責めると自己肯定感が低くなり、他の物事に対してもマイナス方向へ考えやすくなります。ネガティブな感情を持っていると眠りが浅くなり、疲労が十分とれず不安が強まる悪いサイクルにおちいる可能性があります。散らかった部屋はほこりやゴミがたまり衛生面も心配で、アレルギーの発症や咳くしゃみで寝づらくなるかもしれません。部屋は少し散らかった程度でもすぐに片付けて、清潔で整った状態のキープを心がけましょう。

夕方以降は照明を夕陽の色にする

人の体は明るさで目覚めと眠りを左右されるため、室内の照明の明るさもリラックス度合いに関わります。眠りを促すメラトニンは1,500ルクス以上の明るさで分泌が止まるため、それを下回る明るさで夕方以降は過ごしましょう。目安は夕陽の色、照明の色でいうと電球色がおすすめです。外の明るさに近い照明で過ごすと体内時計が狂いにくく、自然とリラックスし眠くなると期待できます。眠れないときは照明が明るすぎるかもしれません。不安を感じない程度の明るさにし、テレビやパソコンなどの強い光を見ないようにしながら、ゆっくり過ごしましょう。テーブルライトやライトスタンドなど間接照明にすると、光がやわらぎ穏やかになります。キャンドルの炎の明かりで過ごす、できるだけ小さな明かりで夕方以降は過ごすなど、可能な対策をとりましょう。

デジタルデトックスをする

デジタルデトックスとは、スマホやパソコンなどのデジタル機器を一定期間使わず距離を置いてストレスを減らし、現実世界でのコミュニケーションや自然との関わりを中心にすることです。完全にデジタル機器を切り離すわけではなく、日々の生活で触れない時間をつくり、その中で新しい発見や人との交流が期待できます。デジタルデトックスを行うと、睡眠の質が上がる・気持ちが軽くなる・クリエイティブな考えがはかどる・眼精疲労がとれる・脳の疲れがとれる・安心するなどのメリットもあるといわれます。デジタル機器に触れ続けると焦りや緊張を感じやすいですが、自然の中にいると心にゆとりが生まれやすく、安心感につながります。眠りにくいと感じるときは、デジタルデトックスがおすすめです。

靴下を履いて寝ない

冬の寒い時期や冷え性の人は寝るときに靴下をはく場合があります。しかし靴下を履いたまま寝ると、質の高い睡眠に必要な深部体温の大幅な下がり方が難しくなります。ぐっすり眠るためには寝る前に深部体温を上げ、上がった分と同じだけ下げる働きが必要ですが放熱する足先を靴下で覆うと、熱が体内にこもってしまいます。しかし足先が冷えても寝づらいため、寝る前に足首を回す、曲げ伸ばしをする運動で血行改善する方法や、10分間の足浴をしましょう。足浴は40℃のお湯を洗面器などに張り足首より上まで15分ほどつかります。全身が温まるため深部体温が上がり、質の高い眠りにも役立ちます。

自分に合った対処法を見つけよう

睡眠改善の為に心がける事とは

夜ベッドに入っても眠れないときは、波や川など自然の音や入眠に役立つクラシックを聞いて心を落ち着けましょう。寝ながら瞑想をする方法も、心身のリラックスにつながるためおすすめです。どうしても寝つけないときは20分を目途にいったん寝室から出た方が、眠りにくさ解消になります。暗めの部屋でゆっくりとすごし、眠くなった頃また寝室へ入ります。眠りやすくするための日常生活のポイントは、ふだんから片付いた部屋で過ごし夕方以降は照明を暗めにしましょう。デジタルデトックスや寝るときは靴下履かないこともおすすめです。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。