2022.01.18

睡眠不足でお悩みの方へ|睡眠の質を高める運動とは

最終更新日:2022.07.25
東海林 さおり
看護師

睡眠の質を高める運動とは

睡眠の質を高める運動とは

運動すると睡眠の質を上げる役に立ち、短時間でも深く眠りやすくなります。どのような運動でも睡眠改善につながるわけではないため、ポイントを押さえた運動をして質の高い睡眠を促しましょう。睡眠の質を高める運動の方法を紹介します。

寝る数時間前に軽いウォーキングやストレッチ

寝る数時間前に軽い運動を取り入れると、精神的な緊張をほぐし眠りやすい状態になります。運動強度は少し強めが良いですが、あまり強くすると逆に疲れすぎて眠りにくくなるため自分にちょうど良い強度を見つけましょう。ウォーキングは、普段あまり運動しない人は30分程度からスタートします。目標を1日1万歩に設定しますが、週で平均し1日あたりの歩数達成を目指します。速さの目安は心拍数がほどほどに上がり汗ばんでくる程度です。ストレッチは入浴後に無理のない程度に行います。両手を頭の上で組んで背伸び・あぐらの状態で両脚の裏を合わせて座り股関節を伸ばす・足首や手首をゆっくり回すなど、気持ち良さを感じる程度が目安です。入浴後の筋肉がやわらかい状態では伸ばしすぎる場合があるため、体の硬い人は様子を見ながら行いましょう。

座った状態や横たわったままできる筋弛緩法

筋弛緩法とは不眠症改善の効果を期待去れる運動で、正式には漸進的筋弛緩法という名称です。緊張とリラックスのバランスを使った方法で、初めに体に力を入れ緊張を自覚したあとに体の力を抜いてリラックスさせます。すると体のリラックスが心にも影響し、心がほぐれて深く眠れるといわれます。筋弛緩法を行う前には腕時計やベルトをはずし、テレビなど周りの音もできるだけ消しましょう。安定する硬さのイスに浅く座り、肩幅程度に脚を開いて床に足の裏全体をくっつけます。膝は90°に曲げて手は膝の上に置いて始めます。初めに全身に全力の8割程度の力を入れて5秒間過ごし、その後力を抜いて20秒過ごします。力の抜けた感覚をよく確認して行い、時間のカウントは自分のペースでかまいません。

ヨガがベースの「ワニのポーズ」

数あるヨガのポーズのうち、ワニのポーズは仰向けに寝た状態で行うため、ベッドで寝る前に取り組みやすい運動です。寝る前に行うと腰まわりからお尻の筋肉がゆるんで、リラックスしやすくなります。初心者も取り組みやすい片足ワニのポーズは、仰向けに寝た状態で右脚を持ち上げ、膝が床から90°になるよう曲げます。両手はベッドへ置き、肩の高さまで上げましょう。90°に曲げた右脚を左ももの方へゆっくりと倒し、そのまま3~5回深呼吸をくり返しますが、目を閉じるとよりリラックスを感じられます。左脚も同様に行い、心身の緊張がほぐれてリラックスし、質の高い睡眠を導きます。

就寝2~3時間前に行うスロージョギング

スロージョギングはゆっくりしたペースのジョギングですが、遅すぎるとウォーキングになるためポイントを押さえて行いましょう。正しく行うと消費エネルギーは2倍といわれ、睡眠の質以外のメリットも期待できる運動です。姿勢はあごを軽く上げて背筋を伸ばし、着地はかかとをつけず足の指つけね辺りで行います。10cmほどの歩幅でリズミカルに走り、スピードは通常のウォーキングと同じから早歩きより遅い程度です。体の力を抜いてリラックスし腕は軽く振りましょう。1日あたり30~60分が目安で、運動経験や体力に応じて調整します。寝る数時間前が難しければ、日中の空いた時間でこまめに取り組む方法もあります。

運動量を上げる筋力トレーニング

不安を解消する方法として筋力トレーニングが注目されており、健康な人の不安を大きく改善させるとの研究結果も報告されています。筋力トレーニングを適度に行うと心身の健康を維持しやすく、質の高い睡眠を期待できます。週3~5回、1回あたり45分以上の筋力トレーニングで心の健康に良い効果が認められたそうです。筋力アップはウォーキングやジョギングなどをしやすくし、運動量を自然と増やします。自分の体に合った運動を気持ちよく行うためにも、筋力トレーニングはおすすめです。初心者向けの筋トレに腕立て伏せと腹筋があります。腕立て伏せは、両手を肩幅よりやや広めに開いて床に置き、うつ伏せの状態になります。手首が肩の高さにくるように置き、両脚をそろえて足の指の付け根で床をとらえ、頭からかかとまでが一直線になる姿勢を維持します。息を吸いながらゆっくりひじを曲げ、息を吐きながらひじをゆっくり伸ばします。この運動を15~20回目安に行いましょう。腹筋は仰向けになり、太ももを床に対して90°にあげてひざは軽く曲げた状態から始めます。そして両手を頭の後ろで組み、肩を床から離しておへそを見る姿勢をとります。息を吐きつつ体の奥の筋肉を意識しながら頭を膝へ近づけましょう。腕立て伏せと同じく、15~20回くり返し行います。

前後20回ずつの肩回し

両手の指先をそれぞれ肩につけ、ひじを後ろ側と前側へ向けて大きく回す運動です。肩甲骨周りを緩めるストレッチで、筋肉が伸び温かくなったと感じる人もいます。寝る前に寝室で、リラックスタイムを過ごすリビングでなどどこでも行える運動です。場所もとらないため、出張先のホテルなどでも気軽に取り組めます。

タオルを使ったストレッチ

フェイスタオルを使うと、肩甲骨周りの筋肉のストレッチを簡単に取り込むことができ、睡眠の質の向上に役立ちます。手のひらの上にタオルを置き、巻き込むように手首を返して持ち、足を肩幅に開いて立ちましょう。手を頭の上にあげ呼吸をしながら10秒保ち、その後横へ体を倒す運動を、ゆっくりと左右2往復します。その後手を上にあげた姿勢で後ろを振り向く運動を左右2往復します。

ストレッチポール

ストレッチポールは㈱LPNの登録商標で、ジムなどでエクササイズに使われる円柱型の器具です。
ストレッチポールの上へ仰向けに寝ると緊張がほぐれ、実際に使った人からはよく眠れたとの声が多数寄せられています。仰向けの状態で肘を床につけ、腕を上下させる運動や、膝を外側へ倒して股関節をゆっくり広げる運動など、さまざまな方法があります。

日々、コツコツと続けていこう

睡眠の質を高める運動とは

運動は1日だけ行っても疲労感から心地よい眠りを得ますが、継続した方が心身の健康に役立ち、質の高い睡眠を期待できます。自分に合った適度な運動を続けると、睡眠の質向上だけでなく体力アップや不安感の減少にもつながるため、運動する習慣づけがおすすめです。ここで紹介した運動の中から取り組みやすいものを選び、早速始めましょう。どこでも定期的に体を動かせるよう、いくつかの方法を身に着けておくと便利です。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。