2022.02.17

歯周病の原因とは?|間接的要因について分かりやすく解説

最終更新日:2022.02.17
東海林 さおり
看護師

歯周病の直接的要因

歯周病の原因_間接的要因

歯周病は、歯茎や歯にダメージを与え、最終的に歯を失ってしまうおそろしい病気です。口腔内だけでなく、歯周病菌によりさまざまな全身疾患を引き起こす可能性も指摘されており、心疾患や脳梗塞、糖尿病などを発症するおそれもあります。歯周病の直接的原因としては、歯垢が挙げられます。細菌の塊である歯垢は、歯と歯茎のすき間に蓄積され、発生した毒素が歯茎にダメージを与えてしまうのです。

歯周病の間接的要因

歯周病の原因_間接的要因

歯垢だけが、歯周病を発症させる原因ではありません。正しくない嚙み合わせや食いしばりなど、間接的な要因により歯周病が発症してしまうこともあります。ただ、基本的には口腔内を衛生的に保つことが、歯周病予防につながります。日常的なブラッシングによる口腔ケアで、口腔内を衛生的に保つことが大切です。

正しくない噛み合わせ

正しくない噛み合わせが、歯周病の間接的な要因になることをご存じでしょうか。歯茎へのダメージに加え、嚙み合わせの乱れによる過大な力が加わったとき、歯周病につながるおそれがあるといわれています。ここからは、歯周病の間接的な要因となりうる、不正咬合について解説していきましょう。

上顎前突

上顎前突とは、歯が前に出っ張った状態を指します。いわゆる、出っ歯といわれる状態です。上顎前突の原因としては、遺伝や子どものころの指しゃぶり、口呼吸などが挙げられます。上顎前突は、口がきちんと閉じられないため、口が渇いてしまう、虫歯になりやすいなどのデメリットがあるほか、細菌が繁殖しやすく歯周病の原因になりやすいデメリットもあります。また、特徴的な見た目になってしまうため、自身の見た目にコンプレックスを抱いてしまう方も少なくありません。

下顎前突

下顎前突とは、文字通り下あごが前に突き出している症状を指します。いわゆる、受け口やしゃくれと呼ばれる状態です。下顎前突の原因は、遺伝が多くを占めているといわれていますが、子どものころの指しゃぶりや口呼吸などにより、引き起こされることもあるようです。口をうまく閉じられない、ものを噛みにくいといった症状があり、歯や歯茎周辺に細菌が溜まりやすいのがデメリットです。そのため、虫歯や歯周病の原因になってしまうこともあるのです。

叢生

叢生(そうせい)は、乱杭歯とも呼ばれます。でこぼこした歯並びが特徴的で、歯がねじれている、重なりあっている、といった症状もよく見られます。叢生は見た目がよくないだけでなく、さまざまな口腔内トラブルを引き起こすリスクがあります。歯のねじれや重なりなどにより、ブラッシングがしにくく、しっかりと歯垢を除去できないため、細菌の繁殖を促してしまいます。その結果、虫歯や歯周病を発症してしまう、といったケースが少なくありません。

正中離開

いわゆる、すきっ歯と呼ばれる状態です。上顎の前歯2つが離れている状態を指す、不正咬合の一種です。上唇小帯の付着異常が原因といわれていますが、幼少時の指しゃぶり、母子吸引癖などにより引き起こされることもあります。歯と歯のすき間に食べ物が挟まりやすく、細菌の繁殖を促してしまうデメリットがあります。そのため、意識的にしっかりとブラッシングしないと、虫歯や歯周病を誘発してしまうおそれがあるのです。

開咬

オープンバイトとも呼ばれる症状です。ものを噛んだとき、奥歯のほうが先に噛み合ってしまい、前歯と周辺の歯がうまく噛み合わない状態を指します。そのため、奥歯ではしっかりとものを噛めるものの、前歯や周辺の歯ではきちんと噛めません。幼少時の指しゃぶりをはじめとした癖が原因になることもありますが、骨格的な問題で開咬になってしまうこともあります。治療法としては、筋機能治療やブラケット治療などが代表的です。

交叉咬合

クロスバイトとも呼ばれる状態です。上の奥歯が下の奥歯内側に入っているような状態です。歯の生える位置がずれた、頬杖など外部からの力が加わったこと、遺伝などさまざまな原因が挙げられます。交叉咬合は、アゴの成長に影響を与えるほか、顔が歪んでしまうおそれもあるため、決して軽視できません。また、顎関節症をおこしやすく、頭痛や肩こりなどが頻発する方もいます。しっかりと咀嚼できないことも多く、食べかすが歯の根元などに付着してしまい、結果的に虫歯や歯周病の原因となることもあるのです。

過蓋咬合

歯を噛み合わせたとき、上の歯が下の歯にかぶさってしまうような状態を指します。ディープバイトと呼ばれることもあります。奥歯が虫歯になり高さを失った、あご骨の発達がアンバランスである、顎関節の異常などが主な原因です。また、歯ぎしりや食いしばりなどが原因で、 過蓋咬合になってしまうケースもあります。治療法には、ワイヤー矯正や顎顔面矯正、インビザラインなどが挙げられます。

切端咬合

切端咬合は、上の前歯が下の歯と重ならず、前に出ていない状態を指します。正常な歯列の場合、上の前歯が下の前歯にやや重なっていますが、 切端咬合ではそれがありません。幼少時の癖や口呼吸、骨格や歯並びの問題などが、主な原因といわれています。この状態を放置してしまうと、上下の前歯が干渉し合ってしまい、前歯の欠損や割れなどを引き起こすおそれがあります。咀嚼機能低下や顎関節にも影響を与えるおそれがあり、虫歯や歯周病の原因にもなりかねません。

食いしばり

食いしばりとは、無意識下において歯を強く食いしばってしまうことです。また、力仕事やスポーツをしているとき、力を出すために歯を強く食いしばってしまうこともあります。食いしばりを放置してしまうと、歯がすり減る、知覚過敏、肩こり、頭痛などさまざまな弊害をもたらします。歯周病を発症しているケースでは、食いしばりにより歯茎へダメージが加わってしまい、歯茎が余計に痩せやすくなってしまいます。

定期的に歯科検診を受けよう

歯周病の原因_間接的要因

さまざまな間接的要因により、歯周病の発症や悪化リスクが高まります。歯周病にならないことがベストですが、そのためには定期的な歯科検診で、口腔内を健康的に保たなくてはなりません。冒頭でもお伝えした通り、歯周病は糖尿病や心疾患を引き起こすおそれもあります。このような事態を回避するためにも、定期的に歯科検診を受け、口腔内のコンディションをチェックし、必要に応じて治療を行いましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。