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老後の資産について
定年退職し再雇用制度で再就職しても、現役の頃よりは収入が下がります。子供の手が離れ教育費や生活費が減れば、必要最低限の金額も下がるため生活の不安はあまりないはずです。しかし老後に大きく資産を増やすことは難しいため、きちんとした資産管理が必要です。医療や介護、住まいなどについて、まとまった出費にも備えられるよう日頃から資産管理をしましょう。ここでは老後の資産管理を行うポイントを解説します。
マスコミなどの情報に惑わされない
テレビやネットニュースを見ると、老後に必要な金額は5千万円というところもあれば3千万円だと報じるところもあります。しかし老後に必要な資金は個人の生活スタイルや理想とする暮らし方などで大きく異なり、一概にいくらと金額は出せません。そのためマスコミが報じる老後に必要な金額を鵜呑みにして焦ることなく、着実に資金の準備と老後の生活の収支を考えましょう。
働けるうちは少しでも働く
人生100年時代といわれ、定年退職を65歳で迎えた場合、元気に過ごせば30年以上あります。その間貯蓄だけで暮らすには相当な額が必要で、入院や介護施設への入所にはまとまった費用がかかります。働けるうちは定年退職後も何らかの形で働き、収入を得た方が貯蓄を切り崩さずにすみます。それまで一生懸命働いた人ほど仕事がなくなると気が抜けて、一気に老けこんでしまいかねません。気持ちの張りを持たせる意味でも、元気なうちは働くことをおすすめします。受給した年金と給与などの収入が現役並みの所得になると、国民健康保険料などが高くなるため、年金受給額を確認して、働く時間や仕事を選びましょう。
資産運用はリスクを避ける
高齢になってからの資産運用は失敗すると取り返しがつかないため、ハイリスクや高利回りはなるべい避けましょう。損失リスクを最低限に抑えた商品がおすすめで、リスクの高いものより債権や投資信託積立の方が向いています。
介護が必要になった時の費用を考えておく
年齢を重ねると体力が落ち、自分の力だけでは生活が難しくなってきます。度合いに応じて介護サービスを受けられますが、そのためには費用がかかります。介護が始まると毎月平均8万円ほどかかるといわれ、介護ベッドの購入や住まいのリフォームが必要になるとさらにまとまった費用を支払わなければなりません。自宅で誰も介護できる人がいないと、介護施設へ入居のケースもあり、施設入居費用がかかります。介護保険では、介護度により公的介護保険のサービス料の支給限度額が変わります。介護に伴うリフォームは自治体などから補助金が出ている地域もあるため、事前に調べて役所などで相談すると大きな支出を抑えられます。
金融資産の口座は少しずつ絞り込む
現役時代には、給与振込・子供の学校や幼稚園の費用引落・住宅ローン・貯蓄用など、いくつもの銀行口座を持ちますが、必要のなくなった口座から閉じ最小限の口座にまとめましょう。定年退職後は2つほどの口座にしぼり金融資産の管理をすると、相続の際パートナーや子供が手間をかけずにすみます。口座がいくつもあると総金融資産がわかりづらく、自分でも財産管理が難しくなります。終活のひとつとして財産の全体を把握するため、老後に向けて口座を少しずつ絞り込みましょう。
お金をかけるものとは
老後のために準備した預貯金や退職金を大切に使うには、お金をかけるものとできるだけ節約するものの見極めが大切です。上手なお金の使い方ができると、貯金を使わずに受給した年金や働いた収入で毎日の生活を回せるでしょう。きちんとお金をかけた方が良い費用について解説します。
医療費
高齢になると体の衰えから病気になりやすく、病院にかかる機会が増えます。軽い風邪をこじらせて肺炎になるなど悪化するケースもあるため、医師の指示通り治療を続けましょう。そのためには病院での受診はお金がかかるからと我慢せず、気になるとときは早めにみてもらうことです。慢性疾患がある人は薬の使用や治療を中断せず、かかりつけ医の元で定期的に診察を受け、治療を続けましょう。後回しにしがちな治療に歯の疾患があり、現役時代は忙しくて虫歯や歯周病を放置したままの人もいます。年齢を重ねると唾液の分泌量が減り、虫歯菌が繁殖し悪化しがちです。虫歯で思うように食べ物を噛めないと認知症発症のリスクも高まるため、歯の健康を保つには定期検診がおすすめです。
寝具
毎日長時間使うものにお金をかけると人生の満足度が高まるというコンフォート原則からすると、1日の中で長い時間を過ごす寝具はお金をかけた方が良い部分です。年齢を重ねた人向けのマットレス選びは、自然に眠れることをポイントにします。一般的なマットレスよりも体圧分散・高反発で寝返りを助ける・多層構造で表面がやわらかいタイプを選びましょう。朝起きたとき、首や肩、腰の違和感やすっきりしない気分が現れる場合は寝具が体に合っていないかもしれません。体に合うマットレスへの変更を検討しましょう。
食事
好きなものを好きなだけ食べる、外食をするためにお金をかけるのではなく、必要な栄養補給をするためにお金をかけましょう。スーパーで旬の食品を購入し自炊する生活を送れば、栄養豊富な食事がとれます。同じ野菜でもオーガニックや無農薬のものもあり、やや値段が高いですがこだわりたい人はお金をかけても良いでしょう。無性に何かを食べたくなるときは、その食べ物に含まれる栄養素を体が欲している場合があるのでぜひ食べましょう。
節約できるものとは
現役時代は自由に使っていた金額をそのまま老後も使い続けると、貯蓄がいつの間にか尽きてしまいます。限られたお金を大切に使うためには、節約できるものを見極めて早めに節約を始めましょう。
自動車
都市部に住む人は公共交通機関が発達しており、車がなくても生活は難しくありません。自動車所有をやめるとローンを組んだ場合はローン返済・ガソリン・自動車税・車検費用・整備費用などそれまでかかっていたあらゆるお金が不要になります。買い替えせず売却すればその分お金が手に入る場合もあります。車がどうしても必要なときはレンタカーやカーシェアを利用すると、車に関する費用の節約になります。
生命保険
生命保険は現役時代の万一の事態に備えて、必要な医療費・入院費・生活費などを補う目的で加入します。しかし定年退職後、子供の自立など家庭に変化があれば掛金を下げる方法も節約になります。複数の生命保険へ加入している場合、比較して絞り込み不要なものは解約すると月々の費用を節約できます。
家電や電子機器
家電製品や電子機器の買い替えを行う際、通常のショップでは最新型の購入を進められることが多くあります。しかし、まだ十分利用が可能な中古品なども世の中には多く存在し、また最新の機器よりも少し古い型の方が設定や機能がシンプルで使いやすいといったケースも多くみられます。老後に向けた節約という点では、そういった質の良い中古品などを利用することで大きな出費を抑えることも可能です。高品質な中古スマホの購入ならこちらも参考にしてみてください。
無駄な出費を抑えて、充実した人生を送ろう
老後の大切な資金を無駄にしないために、資産管理を慎重に行いましょう。正しい情報を収集して不要になった口座は絞り込み、将来介護が必要になったときなどに備えます。老後の生活できちんとお金をかけるもの、できるだけ節約するものを家庭に合わせて決定し、無駄な出費を抑えて充実した毎日を送りましょう。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。