2021.07.19

在宅介護を長続きするために|介護者が倒れないように

最終更新日:2022.07.25
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

介護者の置かれている立場

介護

介護者の多くが、さまざまなストレスを抱えているといわれています。外部の影響や介護そのものからくるストレスで、介護者自身が倒れそうになるケースも珍しくありません。そうならないよう、周囲の人々は介護者への配慮を欠かさないことが大切です。

外部の影響によるストレス

感謝の気持ちを言わない人

自分や家族、大切な人のために何かをしてもらったとき、感謝の気持ちを伝えるのは常識です。しかし、この当たり前のことができない方は意外に少なくありません。たとえば、妻が義父の介護をしているのに、夫が妻に感謝の気持ちをまったく述べないようなケースが挙げられます。感謝を口にするどころか、家族なのだから当然といった考えを持つ方もいます。また、介護に疲れている妻の愚痴を夫がまったく聞いてくれない、といったケースも多いようです。このように、感謝の気持ちも述べられず、愚痴も聞いてもらえないようでは妻のストレスは溜まる一方です。このようなケースでは、まず夫としっかり話し合うことが大切ではないでしょうか。介護の大変さを伝え、このままでは自分も共倒れになるかもしれない、と真剣に訴えることも大切です。自分の中に溜め込みすぎると、介護うつになるおそれもあるため、夫以外に愚痴を履き出せる相手も探してみましょう。

解決したトラブルであるが、公にしたがる人

介護サービス事業者とのあいだで、何かしらのトラブルが起きるケースもあります。本人や家族は頼りにしており、トラブルも解決していれば問題はないのですが、こうしたトラブルを公にしたがる人も少なくありません。要介護者の兄弟姉妹や、いとこなど、親族が問題を公にしようとするケースが考えられます。正義感からの行動かもしれませんが、その事業者を頼りにしている本人や家族からすると、迷惑な話でしかありません。このようなケースでも、介護者はストレスを抱えます。トラブルを公にされ、事業者と契約解除となれば、介護者の負担もさらに増えてしまいます。介護もしていない周りが余計なことをいわないでほしい、これが介護者の本音ではないでしょうか。解決策としては、公にしたがる人に対し毅然とした態度で、トラブルは解決していることを伝えましょう。また、そもそもトラブルになりそうな事業者とは契約しないことも大切なポイントです。

介護そのものからくるストレス

身体的ストレス

介護は体力も使います。車いすの乗降をサポートするとき、入浴の介助をするときなど、さまざまなシーンにおいて体力を消耗するのです。こうした肉体的な疲労が、ストレスの原因となることもあります。しっかりと睡眠をとれば疲労は回復しますが、介護者が安眠できる日は多くありません。真夜中に何度も排泄介助で起こされることもあり、ぐっすりと眠れない日が続くことも多々あります。このようなストレスを解消するには、周りのサポートが必要です。親族に頼れる人がいるのなら、一度話し合い交代で介護することも検討してみましょう。また、介護サービスの利用もおすすめです。訪問介護やショートステイ、デイケア、訪問入浴介護などのサービスを利用すれば、介護者の肉体的負担はかなり軽減されるでしょう。状況に応じて、介護施設への入居も検討するとよいかもしれません。

精神的ストレス

肉体的よりも、精神的なストレスに悩まされる介護者は多いようです。辛い介護の日々は終わりが見えず、絶望感に心を支配されてしまうケースも少なくありません。要介護者の症状は時間とともに悪化することも多く、さらに介護者の負担を増やしてしまいます。また、要介護者の認知症初期症状が確認できているにもかかわらず、それを周りが頑なに認めないケースでも、介護者のストレスになってしまいます。周りが理解してくれず、親族の中で孤立してしまうことも珍しくありません。精神的なストレスを解消するには、1人で抱え込まないことが大切です。身内に話せる人、相談できる人がいないのなら、公的な相談所に足を運んでみましょう。信頼できる友人がいるのなら、話を聞いてもらうだけでも気持ちが落ち着くかもしれません。ただ、これでは根本的な解決にはいたらないため、介護サービスの利用や介護施設への入居も視野に入れてみてはいかがでしょうか。介護の専門家へ相談すると、具体的なよいアドバイスをもらえるかもしれません。

孤立や抱え込みを防ぐには

介護士

現代では、誰もが介護者になる可能性があります。時代の流れとともに、介護の形が変わっているのも事実です。かつては長男の嫁が介護をするケースが一般的でしたが、今後は夫婦それぞれによる実子介護が主流になると考えられます。介護者が孤立や抱え込みを防ぐには、何もかも1人で抱え込まないことです。介護の話は他人にしにくいため、自分の中に抱え込む方が多いですが、それでは余計にストレスが溜まります。介護者の会合へ参加する、同じ境遇の人が集まるコミュニティに参加するなどすれば、相談できる人も見つけられます。併せて、介護サービスの利用や施設への入居なども検討しましょう。

介護者をケアする必要性について

介護_車イス

介護者の肉体的、精神的なストレスがピークに達してしまうと、心身に悪影響をおよぼし体調も崩してしまいます。介護する人が倒れるという、まさに負のスパイラルに突入してしまうのです。介護する人が倒れてしまえば、要介護者の世話は誰がするのでしょうか。こうした事態を引き起こすおそれがあるため、介護者のケアは適切に行わなければなりません。周りがきちんと介護について理解し、介護者の甚大な負担を少しでも軽減できるようサポートしてあげる必要があります。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。