2021.08.27

若年性認知症(若年性アルツハイマー)とは|具体的な原因・症状など

最終更新日:2021.08.27

認知症は高齢の方がなる病気だというイメージが強いですが、実は若い方も発症するリスクがあります。40代や50代の方も認知症を発症することがあり、介護が必要になるケースもあります。若年性認知症とは何か、どのような症状が見られるのか、また、どのような方がなりやすいのかについて見ていきましょう。

若年性認知症とは

若年性認知症の診断

若年性認知症とは、65歳未満で発症する病気です。認知症を発症したときの年齢が若いために「若年性」という名前がつけられおり、進行が早いのが特徴です。ただし、発症時に現役世代であることが多いために、日常生活や社会生活に影響が及ぶことがあります。また、子どもが自立していない場合などは、家族にも影響が及ぶことがあるでしょう。

発症の平均年齢は51歳

若年性認知症は2009年の時点で約37,800人の患者数が報告されています。平均発症年齢は51.3歳で、働き盛りのときに診断を受けることが特徴です。なお、若年性認知症は女性よりも男性が多いという点にも注目することができるでしょう。通常の認知症は女性患者のほうが男性患者よりも多く、認知症全体の約64%が女性と報告されています。

若年性認知症になりやすい人、なりにくい人

若年性認知症になりにくい人の特徴として、以下の10項目があげられます。自分には関係のないと思っている20代、30代の方々も、10項目の中から1項目でも多く実行すれば、これからの長い人生にかならず益することが多いと考えられます。

① 自分はまだ若いと思う気持ち

自分はまだ若いと思っている人は、若い人と同じようにさまざまな物事に対する興味や関心が強く、また意欲が盛んであることから、脳は常に新しい刺激に対応していることにもなります。

② 血圧が正常で、高血圧でない

血管の老化により、成人病や老年病の代表といえる狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血が起こります。脳の血管が若ければ、脳血管障害にはなりません。

③ 不必要なストレスは取り除く

自分に関係のないことにはつまらない神経を使わないようにしましょう。

④ 太りすぎる人はいない

肥満は心臓の負担となり、高脂血症を誘発して動脈硬化を促進することにつながります。また、脳の細い動脈を荒らす糖尿病を発生させ、さらに膝関節の負担から膝の痛みを誘発します。

⑤ 両親も比較的長寿

例外もありますが、長寿には遺伝が関係している可能性があります。

⑥ 大病の経験がない

大きな病気をするということは遺伝を除いて、普段の生活が大きく関係してきます。健康に気を付けている人は大きな病気にはなりにくいです。

⑦ ほどんどの人がたばこを吸わない

たばこは健康に大きくかかわっています。たばこを吸う人より、吸わない人のほうが健康です。

⑧ 深酒をしない

深酒で塩分を過剰に摂取してしまった、破目をはずすなど、健康に悪いことばかりです。

⑨ 運動を心掛けている

運動は、足腰を鍛えるのみではなく、脳の血流を増やし、脳の新陳代謝を盛んにすることになり、老化予防、ぼけ予防につながります。

⑩ 文章を書く

文章を書くということは、有意義な表現であり、脳の老化を遅くし、ぼけを防ぐのに必要と考えられています。

若年性認知症の原因と考えられる要因は複数ある

若年性認知症の原因となる疾患

 「若年性認知症ハンドブック(平成27年改訂版)」より

若年性認知症は、血管性認知症やアルツハイマー病、頭部外傷後遺症、前頭側頭型認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などが原因として挙げられます。特に脳血管性認知症とアルツハイマー病が多いとされています。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血から引き起こされることがあるので、血管が詰まりやすいような食生活や生活習慣は避けることができます。例えば動物性脂肪が多く含まれている食事や塩分の強い食事は避け、太り過ぎないように注意し、たばこは吸わないことも大切です。ストレスをためないように意識することも、脳血管性認知症の予防につなげることができるでしょう。

アルツハイマー病

アミロイドβという老廃物が神経細胞の周辺に蓄積することや、神経細胞の内部で重要な動きを担うタウタンパク質が変性して起こります。最初にダメージを受けるのが、記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分で、ここから徐々に大脳皮質(神経細胞の層)全体が死滅・脱落し、脳全体が委縮します。ごくまれに遺伝性のものがある為、家族や親族にアルツハイマー病の方がいる場合は注意をすることができるでしょう。

若年性認知症の症状

若年性認知症の症状

若年性認知症は進行が早く、放置しておくと短期間で重症化する恐れがあります。若年性認知症に見られる症状を紹介しますので、該当する症状が見られるときは早めに医療機関を受診するようにしましょう。若年性認知症を発症すると、認知機能の低下によるさまざまな症状がでてきます。例えばもの忘れを頻繁にするようになったり、計算ミスが増えたり、思っている言葉が出てこなくなったりすることもあるでしょう。そして、若年性認知症が進行していくと、症状も徐々に悪化することがあります。例として、もの忘れが深刻化すると、夕食を食べても食べたという出来事を忘れ、何度でも食事をしようとしたりします。また、今までできていたことやルールがわからなくなることがあります。話したり、読んだり、書いたりすることができなくなることもあるでしょう。その他にも、運転中に車を止める方法が分からなくなったり、標識の意味が分からなくなったりすることもあります。

家族が最初に気づいた若年性認知症の症状

厚生労働省 若年性認知症家族への調査

厚生労働省が行った家族への調査では、最初に気づいた症状で1番多かったのが「もの忘れ」、さらに「行動の変化」、「性格の変化」、「言語障害」と続きます。行動・性格の変化とは、それまでと比べて自己中心的になったり、他人への配慮が無くなったりします。あなたやあなたの家族が、若年性認知症の初期症状に当てはまっていないか、チェックしてみましょう。

中核症状

中核症状とは、脳細胞がダメージを受け、脳本来の働きが低下するために起こります。主に次のようなものがあります。
● もの忘れなどの記憶障害
● 話したい言葉が出てこない、話している言葉や文章が理解できないなどの失語
● 日常的な動作ができなくなるなどの失行
● 料理など目的がある作業ができなくなる遂行機能障害
● 目の前にいる人が誰か分からないなどの見当識障害

周辺症状

周辺症状とは、中核症状による不自由さや性格、環境などが複雑に絡み合って起こる症状です。精神的、身体的に様々な症状があり、多言・多動、暴力・暴言、不安・焦燥、幻覚・妄想、せん妄、徘徊、介護拒否、尿や便の失禁・弄便(便をいじる行為)、不潔行為、憂鬱、睡眠・覚醒障害、昼夜逆転などがあります。周辺症状はすべての人に見られるわけではありませんが、強く出る場合は、家族などの介護者を困らせます。

若年性認知症の診断について

若年性認知症の診断

 

若年性認知症は若くして発症するため、もの忘れなどの症状が見られても認知症だと自覚しにくいです。しかし、早期に診断し、発見して早期に治療を開始することで、進行を遅らせ、症状に適応した生活を営むことができるようになります。少しでも違和感を覚えるときはなるべく早く医療機関を受診し、診断を受けるようにしましょう。若年性認知症は、症状が出始めたと思ったらすぐに診断することで進行スピードを緩めることができます。また、早く発見することで、症状に合わせて日常生活や社会生活を変化させることもできるでしょう。

若年性認知症の診断

まず、家族への問診があります。聞かれる内容は、①生活歴②家族構成③既往症④生活習慣⑤日常生活⑥現在の状態などで、あらかじめ準備しておきます。次に本人への問診があります。記憶力や知的能力をみる簡単な心理検査が行われます。ここで認知症が疑われると、原因となる病気を探すために血液や脳の検査を行います。

若年性認知症と診断されたら?

若年性認知症は65歳未満で、家庭を抱えている方、働き盛りである方が発症する病気です。子どもが自立していないときに発症するケースもあり、通常の認知症よりも家族への影響が大きくなる傾向にあります。

仕事

若年性認知症になると、仕事の業務を普段通りに続けていくことが難しくなってきます。難しくなった業務を回避するように配置転換を希望することもできますし、障害者認定を受けることで企業の障害者雇用枠で働くこともできます。男性は一家の大黒柱として、女性は家庭の支柱として、家族を引っ張る年代で発症するケースが多いです。厚生労働省のアンケートでは、発症後約7割の家庭が、収入が減ったと回答しており、家族介護者の負担は大きいです。若年性認知症が悪化してくると仕事を続けること自体、困難になっていきます。重い家族負担を助けるため、若年性認知症に対する公的サービスが増えつつあり、介護保険も適用されます。

介護保険サービスを利用する

介護保険は、通常は満65歳以上の方が介護サービスを受けるときに利用できる公的保険制度です。しかし、若年性認知症の場合は、満40歳以上65歳未満の方も介護保険が適用され、1割の自己負担で介護サービスを利用することができます。介護保険が適用される介護サービスは以下の通りです。

● 入浴や食事、その他の日常生活に必要な介助を受ける「訪問介護」
● 入浴設備を持ち込んで入浴介助を受ける「訪問入浴介護」
● 看護師や理学療法士等が訪問して療養に関わる世話や診療補助を行う「訪問看護」
● 理学療法士や作業療法士等が訪問してリハビリテーションを行う「訪問リハビリテーション」
● 医師や薬剤師等が訪問して療養管理や指導を行う「居宅療養管理指導」
● デイサービス等の通所施設に通って介護サービスを受ける「通所介護」
● 介護老人保健施設や病院等に通ってリハビリテーションを行う「通所リハビリテーション」
● 特別養護老人ホーム等で短期入所して介護サービスを受ける「短期入所生活介護」
● 介護老人保健施設等で短期入所して介護サービスを受ける「短期入所療養介護」
● 有料老人ホーム等で介護サービスを受ける「特定施設入居者生活介護」
● 車いすや特殊寝台などの福祉用具を借りる「福祉用具貸与」
● 腰掛便座や簡易浴槽を購入する「特定福祉用具販売」

悩まずにまずは相談しよう

若年性認知症

若年性認知症は進行が早い病気です。もし、家族の中で若年性認知症と思われる症状が出る方がいたら、誰かに相談をすることが大切です。また、公的サービスが整いつつあるので、不安を抱え込みすぎないようにしましょう。まずは、市区町村の担当窓口に相談してみましょう。発見が早ければ、進行を遅らせることができ、今後の家族の支援の仕方について対策を考えていくことができるでしょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。