2022.02.09

腰痛でお悩みの方へ|腰の負担を減らす正しい姿勢、負担がかかる姿勢とは

最終更新日:2022.06.20
加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

腰に負担をかける姿勢とは

腰痛で悩む女性

腰痛の原因として大きくかかわるのは姿勢です。腰に負担のかかる姿勢でいると腰痛になるリスクは大きく増加します。腰に負担がかかっている状態というのは、腰椎と腰椎の間にある椎間板を圧迫されている状態です。では、どんな状態がどの程度、椎間板に圧力がかかっているのか見てみましょう。

わかりやすいように、直立している状態を圧力が100かかっているとします。楽な姿勢だと思っていた椅子に座っている状態は140と直立しているよりも圧力がかかっています。また、荷物を持つ際には腰から前屈しても220、前かがみで座って荷物を持つ際には275と大きく圧力がかかることがわかります。ここで注目したいのは「前かがみ」です。ただ座っている姿勢も、前かがみになっているのと、腰から前屈するのでは大きな差が生まれるということです。特に、荷物の運搬や座っている状態ではついつい前かがみになりがちなので注意が必要です。

腰に負担をかけない姿勢とは

腰に負担をかけない姿勢

腰痛にお悩みの方は腰に負担のかからない楽な姿勢を模索しますが、楽な姿勢=負担のかからない姿勢ではありません。前述した通り椎間板に全く負担のかかっていない姿勢はありませんし、楽だと思っていた座る姿勢は立っているよりも負担が大きいのです。ここでは、日常の動作時に大きな負担をかけないポイントをご紹介します。腰痛の予防や再発防止の方法として「LLST療法」というものがあります。日本語では「腰椎前弯維持療法」と訳されます。背骨は横から見るとS字にカーブしており、腰椎は前方に前弯しているのがわかります。この前弯を保つという視点に基づくポイントとして6つのポイントがあります。
・いい姿勢
・下半身の関節をうまく使う
・腕の力に頼って持ち上げない
・筋力をつけることで背骨を支える
・腰をひねったまま動作をしない
・30分以上同じ姿勢でいない

椅子に座る時の姿勢

1日8時間、週5日、多くの時間をパソコンに向かって座り作業しているという仕事のスタイルの方も多いと思います。仕事のほとんどの時間を椅子に座っている方は、その姿勢によって大きく腰痛のリスクが変化します。ここでもポイントは腰椎がゆるやかに前弯することです。浅く腰かけて背中をもたれて座ると骨盤が後ろに傾くため腰椎は前弯しません。
ポイントは
・深く腰かける
・筋力を使い背筋を伸ばし、お腹を軽く引っ込める
・あごを軽く引く
これで腰椎前弯を維持することができます。なるべく姿勢を維持するために腰にクッションを入れるのもいいでしょう。キーボード操作が必要でどうしても前かがみになってしまう方は、両足を開いて浅く座り、腰を反らせることで負担を減らすことができます。また、デスクワークは長時間同じ姿勢を取りがちなので、適宜椅子から立ち上がり緊張をほぐすことも大切です。

椅子に座ってできるストレッチ

仕事に集中しているとどうしても同じ姿勢が長く続いてしまいます。30分に1回は姿勢を変えることが推奨されますが、姿勢を変えて仕事をするのは難しい場合もあります。そんな時は座ったままストレッチをして体をほぐすことがおススメです。では、座ったままのストレッチはどのようなことができるでしょう。

①椅子に浅く座り、足の裏をしっかり床に付け、正面を向いて骨盤を立てて背筋を伸ばす。

②後ろで手を組み、腕を下に引いてお尻は後ろへ突き出し、胸を張って5秒数える。

③前で手を組み、肩甲骨を広げて腕を伸ばす。おへそを覗きながら背中を丸めて5秒数える。

④手を頭の上で組、5秒数えながら左右に倒していく。

床に座る時の姿勢

床に座る時にまず、やらない方が良い座り方があります。それは「あぐら」です。腰痛を防ぐためには腰椎の前弯を保つ必要があります。あぐらは腰椎の前弯がなくなってしまうため、自然と負担が大きくなってしまいます。また、いわゆる「体育座り」のような姿勢も骨盤が後ろに傾くため腰椎の前弯がなくなりやすいため、避けた方が良いでしょう。では、床ではどのような姿勢を取ったらよいのでしょう。床に座りながら最も腰に負担が少ないのが「正座」です。正座は背筋を真っすぐに保ちやすく、自然と腰椎の前彎が生まれます。頭頂、肩、骨盤、足の裏が一直性になるのが理想です。膝や股関節が悪くどうしても正座が難しい方は、椅子に座ることが望ましいのですが、どうしても床に座る必要がある場合は、女性に多い「横座り」をしましょう。ただし、横座りは重心が偏るので適宜左右を変えて腰への負担を減らしましょう。

寝る時の姿勢

腰痛がある方にとって最も負担のかからない寝方は仰向けです。更に、寝るときには膝の下に座布団やクッション、タオルなどを入れて膝や股関節が軽く曲がった状態にしておくと腰椎が前弯した状態を維持しやすくなります。前かがみで痛みが出るような腰痛の方で仰向けに眠れない方は、お腹を突き出した横向きで寝るのが良いでしょう。後屈すると痛みが出るような症状の方は仰向け、または腰を丸めるように横向きで寝るのが良いでしょう。脊柱管が広がって神経への圧迫が緩和されます。

立つ時、歩く時の姿勢

長時間立ったり、歩いたりすると疲労によって前かがみになったり、腰を反ったりと姿勢が崩れてきます。そのため腰椎に負担がかかり腰痛を引き起こします。立位の時はとにかく背筋を伸ばすことが大切です。背骨のS字カーブを維持することが常に意識しましょう。このS字カーブがバネのように衝撃を吸収してくれます。
背筋を伸ばすコツとしては
・お尻を引き締める
・あごを軽く引く
・お腹を引っ込める
これらのことを意識しながら生活すると良いでしょう。

LLST療法の6つのポイントに注意しよう

LLST療法

LLST療法の目的は正しい姿勢で腰痛のない生活を送ることで、座った姿勢の時に背骨が自然な前弯になる状態を保存されるよう促す治療法です。正しい姿勢を保つポイントが6つあります。

1.適度な湾曲を保つ
2.膝や股関節を使い、中腰を避ける
3.腕の力だけに頼らず、体に手を近づけて物を持つ
4.腹筋、背筋を鍛え背骨を支える
5.腰を捻りながら前屈、後屈しない
6.30分以上同じ姿勢でいない

これらのポイントは決して特別なことではなく、私たちがついついやってしまいがちな行動を改善するものです。悪い癖を直すことで腰痛になりづらい体になります。

日常生活の中で姿勢を意識しよう

腰痛で悩む女性

今回ご紹介したものは、わかっていてもできないことが多かったのではないでしょうか。腰痛を改善したり、腰痛になりづらい体を作ったりすることは日常動作で悪い癖がついてしまっていることが多いです。悪い癖は楽なようで体に負担をかけています。まずは、正しい行動を身につけ自分の体を大切にし、腰痛を予防・改善していきましょう。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。
現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。
その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。