2022.06.20

腰痛を改善する食べ物とは|バランスの良い食事で腰痛を予防しよう

最終更新日:2022.06.20
東海林 さおり
看護師

腰痛と食べ物の関係とは

カップ麺

太っていると腰痛に上半身の重みが集中して大きな負担になることは想像しやすいです。それだけでなく太っていると姿勢にも変化が現われてきて、腰椎に大きな負担をかけます。お腹が出ている人は重心が前方にあるため、体のバランスを取ろうとして腰を反らせてしまいます。それによって、背骨のS字カーブが失われて腰椎に負担がかかり腰痛を招きます。肥満は運動だけでなく食べ物だけでも、充分に解消できる為ため腰痛予防には有効な手段です。

食べすぎによる肥満

肥満の方はまず自分の適正体重を知ることが大切です。必要以上に食事を摂っていませんか。適切な体重までの減量、またその維持のためにまずは食事量を減らし、食事は腹8分目を目安に規則正しく食べることが必要です。運動によって体重を減少させるよりも、食事を制限して体重を落すことを先にお勧めします。なぜなら、体重が重たいと運動に向き合うことが億劫になるからです。しっかりと運動で体重を管理して行くのは、今よりも体重が軽くなってからでも遅くはありません。体重を落とすだけでも腰椎への負担は大きく変わります。

偏った食べ物による栄養不足

偏った食生活で適切な栄養が摂れていない状態では骨や軟骨、筋肉や靱帯または神経に悪影響を及ぼします。これによって運動機能が弱くなり腰痛を招くことがあります。一番分かりやすいのは筋肉です。背骨を支える腹筋、背筋が衰えることで腰椎への負担が大きくなります。偏った食生活は当然肥満にもなりやすく、さらに悪循環を生み出します。適切に栄養が摂取できていないと、肥満だけでなく骨粗鬆症になりやすかったり、筋肉量が減ったりと運動機能に影響を及ぼすことがあります。また、ダイエット中の方も適切な栄養素は摂取しないと腰痛になりやすくなります。無理なダイエットは自分の体重を支える筋肉や骨を弱らせることになりかねません。体重減少の数字だけに囚われず、必要な筋力を維持しながらダイエットしていくために栄養の摂取は非常に大切になります。痩せているように見えても骨格を支える筋肉よりも脂肪の蓄積が多い方は膝や腰に大きな負担がかかるので注意が必要です。

腰痛改善に効果的な食べ物

腰痛と食べ物の関係

では具体的に腰痛改善のために何を摂取したらよいのでしょうか。腰痛は骨や軟骨、筋肉や骨と骨をつなぐ繊維である靱帯、あるいは神経など様々な要素で招く病気です。具体的にどのようなものを摂取するのが推奨されているのか、摂取の注意点などを含めご紹介して行きます。

カルシウム

カルシウムは骨の材料になる栄養として広く認知されています。しかし現状は一日の推奨摂取量よりも摂取量が少ない方が多いです。カルシウム不足の原因の一つとして、腸で吸収されにくいという特性があります。口から摂取した栄養素はそのまま体内に吸収されるわけではありません。一部は取り込まれずに体外に排出されます。吸収力の良い食品として、牛乳などの乳製品が最も高く50%と言われています。その他にも 小魚、豆腐、納豆などの大豆製品や小松菜、青梗菜などの緑黄色野菜がカルシウムの含有量が高いと言われています。カルシウムと合わせて摂取するのが良いとされているのが、小腸でカルシウムが体内に吸収されるの助け、沈着しやすくする働きのあるビタミンD、骨の形成を促す働きがあるビタミンKです。ビタミンDが多く含まれている食材としてサケ、サンマ、うなぎ、きくらげ、干しシイタケなどがあります。ビタミンKが多く含まれる食品として納豆、キムチなどの発酵食品、ほうれん草、小松菜などに多く含まれます。

たんぱく質

たんぱく質は筋肉を作る栄養素として広く認識されていますが軟骨や靱帯を作るのにも必要な栄養素です。特に高齢者の方は粗食になりがちでたんぱく質の摂取量が減ってしまう傾向にあります。ただし、積極的に摂ることを推奨されない方もいます。それは腎機能が低下している方です。 腎機能が低下している方は医師の指示に従いながら食事の指導をしてもらうとよいでしょう。たんぱく質が多く含まれる食材として肉、魚、大豆製品、卵などがあります。肉にはたんぱく質が豊富に含まれていますが、脂質も多く含まれている種類があるので摂取する肉の種類には注意する必要があります。適切な運動と食事によって筋力を付けることで背骨を支える腹筋や背筋が鍛えられ姿勢が安定します。また、筋肉量が多くなることで基礎代謝が上がるため、脂肪燃焼効果があり体重の維持にもつながります。

ビタミンB12

腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアでは神経にダメージが受けやすく、神経の修復を促すビタミンB12を摂取することが推奨されます。ビタミンB12が多く含まれる食材としてあさり、しじみといった貝類、 イワシなどの魚、牛乳やチーズなどがあります。ビタミンB12の摂取量は1日あたり2.4マイクログラムの摂取量が推奨されています。しじみ100gあたり 68.4マイクログラム、あさり100g当たり52.4マイクログラム、いわし100g当たり29.3マイクログラムのビタミンB12 が含まれているため比較的補給しやすい栄養素と言えます。補給しやすいとはいえ、意識しないとビタミンB12は摂れない方もいます。それは、ビタミンB12を多く含む食品の多くが魚や貝類だからです。ビタミンB12は欠乏症になると衰弱、疲労感、便秘、食欲不振、体重減少などの症状がる方もいます。ビタミンB12は血液を作る役割があるため、不足すると貧血を引き起こす可能性もあります。その他にも末梢神経に障害が発生し、手足の痺れや痛みが現れることもあります。記憶障害やうつ病など、精神や認知機能に異常をきたすことになる可能性もあります。とはいえ、摂取しやすいビタミンB12が不足する方はいわゆる菜食主義のような動物性食品を避ける方です。

バランスの良い食事で腰痛悪化を予防しよう

腰痛と食べ物の関係

腰痛の大きな要因として自分の体重を支えているということがあります。自分の支えられる適切な体重でいることが腰痛予防に大きく役立ちます。1日3回食べる食事を見直すだけでも肥満の方は大きな変化を得られます。バランスの良い食生活を送り、健康な体を手に入れましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。