2022.06.22

腰痛で寝ると痛いとお悩みの方へ|腰に負担のかからない寝方をしよう

最終更新日:2022.07.25
加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

腰痛と寝方の関係について

腰痛に悩む男性

普段、皆さんはどのような姿勢で睡眠をとっていますか?腰痛の方にとって睡眠中の姿勢は腰が楽になる時間だったり、逆に負担がかかる時間になってしまったりします。腰痛にとって同じ姿勢を長時間とることは血行不良を招き症状を悪化させる原因にもなります。正しい寝方というのは睡眠の質の向上にもつながるため腰痛にとっては有効な改善策の一つです。

寝起きに腰が痛くなる理由

腰痛に悩む男性

腰痛の方で寝起きに腰が痛いという経験をされている方も多いかと思います。では、なぜ休息である睡眠から目覚めた後に痛みを感じるのでしょう。それは、睡眠中の姿勢に問題があるのかもしれません。寝ている時間というのは、首、腰、肩に特に負担がかかりやすい状態になります。長時間負担がかかった状態で突然動き出そうとすることで痛みを感じます。それだけ睡眠中に負担を分散することが大切なことだということです。

具体的にどのようなことが原因で負担がかかり寝起きの腰痛が引き起こされているのでしょうか。
主に3つの原因が考えられます。

寝具が自分に合っていない

腰に体重が集中し、腰回りの筋肉が緊張している状態で寝ていることで疲労物質や痛みの原因物質が溜まっていきます。

血流が悪くなる

前述している通り、血流が悪くなるというのは痛みを感じることに直結します。睡眠中の血流が悪くなる原因として寒さ、ストレス、更年期障害などがあげられます。

肥満

肥満は単純に体重が重く負担が大きいだけでなく、睡眠の質を下げることになる危険性を持っています。

腰の負担を軽減する寝方

腰の負担を軽減する寝方

腰痛の方は特に腰に負担がかからないような寝方をしなければいけません。寝ているだけで腰が楽になり、痛みが緩和されたように感じるかもしれませんが、腰に負担をかける寝方をしていると悪化する原因にもなります。また、睡眠の質にも影響し更に生活に支障がでる可能性もあります。

あおむけ寝

仰向け寝は腰に負担のかからない寝型の代表的な姿勢です。しかし、仰向けが必ずしも良いというわけではなく、逆にデメリットになることもあります。仰向けで寝ることによって、体重の40~50%が腰回りに負担がかかると言われています。腰回りとは、主に腰周辺の筋肉または骨を指します。つまり、筋力が少ない方は睡眠中にうまく寝返りが打てず、圧力の分散ができない状態が続き血管が圧迫されることで、痛みを発症するケースがあるということです。筋力不足の方以外にも反り腰の方は注意が必要です。反り腰の方は、背中の広い面で圧力を分散できず、点で体重を支える状態になるからです。そんな方は膝の下にクッションを入れ、自然に膝を少し曲げてあげることが大切です。膝の下にクッションを入れることで腰反りが解消され、太ももの前側の筋肉の緊張を緩和させ、体重の加圧を分散することができます。

横向き寝

腰痛の方にとって、横向きで寝るのも有効な手段の一つです。背骨の自然な湾曲をコントロールしやすく、腰を休めるには足を曲げて自然なカーブを作ることで負担を少なくすることができます。しかし、背中を丸めすぎると逆に背中側が伸びて負担がかかるので加減が大切です。横向き寝は仰向き寝に比べ接地面が少なく、点で支えやすい分、そこには負担が増えます。ウエスト部分にタオルを入れたり、抱き枕のようにしたりと接地面を増やす工夫が必要です。横向き寝は仰向け寝に比べ気道が確保しやすく呼吸が安定していびきをかきにくくなります。睡眠時無呼吸症候群の方などにはおススメの寝方です。睡眠時の良質な呼吸は、睡眠の質と直結するため回復の面でも大切にしたいところです。

うつぶせ寝は腰に負担がかかる

うつぶせ寝は腰に負担がかかる

うつ伏せで寝ると腰痛が出る原因として骨盤の可動域が狭くなってしまうことが挙げられます。骨盤を動かす左右前後に動かすには、骨盤に付着している大腿筋や腰椎の働きが必要です。うつ伏せは股関節の動きが制限されてしまい、長時間その姿勢でいることで必然的に骨盤の動きも悪くなります。さらに、同じ姿勢を長く続けていることで筋肉の拘縮は強くなり腰回りの筋肉が硬くなることで腰痛を発症してしまいます。うつ伏せ寝は骨盤が常に沿った状態になります。骨盤が沿っていることで腰回りの筋肉は緊張しやすく、筋肉が硬直することによって筋疎血が引き起こされます。筋疎血の症状としては、筋疎血が起きた場所に筋肉痛に似たような痛みが起きます。つまり、筋肉が緊張するというのは、肩こりなども同様ですが痛みを招くということです。

マットレスの選び方に気をつける

マットレスの選び方

朝、布団から起き上がる時に腰に痛みを感じる方はマットレスが合っていない可能性があります。マットレスが合っていないと腰にかかる負担が大きくなり、睡眠中にうまく寝返りを打てず同じ姿勢が長時間続き腰痛の原因となります。もし、皆さんが使っているマットレスが合っていなければ、それが原因で腰痛が引き起こされている可能性があります。
・腰が沈む
・硬すぎる
・柔らかすぎる
このようなマットレスを使っている場合は腰痛になったり、それを悪化させたりする原因となるので注意が必要です。では、実際にどのようなマットレスを選ぶと良いのかポイントをご紹介していきます。

2層以上マットレス

一般的なマットレスと言われるものはウレタン1枚で作られているものもあります。しかし、1枚では体圧をうまく受け止められない可能性がかなり大きいです。2層以上をおススメするのは、1層は体に当たった感触、もう1層は硬さを調節できるからです。硬め、柔らかめなど、感触の好みと自分の体に合う硬さという両方の面から選ぶことができるのもメリットですし、1層だけだと、どうしても体が沈みすぎてしまうので、確実に2層を選んでいただくのが良いかと思います。

折りたたみ式はNG

お部屋のスペースを有効活用するために折り畳み式のマットレスを選ばれる方も多くいます。しかし、折り畳みベッドは単純に寝心地が良くないというデメリットがあります。これはどうしても避けられない問題です。省スペース性を確保するためには厚みというのは邪魔になりますのでどうしても寝心地の面では劣ります。また、ほとんどの場合、マットレスの厚み、固さ、スプリングの種類を選べないことが多いです。つまり、自分に合ったベッドを選びにくいということです。

ある程度の金額は出すべき

高いものはいいものというのはわかっていても、何十万もする金額は出せない方がほとんどですよね。では、価格が高いものを選ぶ理由は何でしょう。それは耐久性です。耐久性が高いものは経年劣化が少なく沈みが起きにくいです。沈みが起きることで腰痛を引き起こす原因になります。劣化は突然くるものではなく、徐々に劣化していきます。つまり、気づかないうちに体が徐々に沈んでいくマットレスに慣れ、気づかないうちにマットレスが原因で腰痛を引き起こす可能性があります。何十万もするマットレスの購入をすすめるわけではありませんが、1万円以下で買えるマットレスなどは確実に控えておいた方が良いでしょう。

適度な硬さ

柔らかさや硬さを売りにしているマットレスをよく見かけますが、過度な高反発、低反発は逆に腰痛を悪化させる原因になります。また、体重や寝姿勢によっても高反発が合っているのか、低反発が合っているのかは違います。柔らかすぎるマットレスはお尻や腰が沈みすぎてしまうことから、腰や肩に負担がかかります。硬すぎるマットレスは逆にお尻や肩が沈まないため腰が反ったような状態になってしまい、背中に痺れや筋肉痛のような症状が現れる可能性があります。

迷ったらこれ

寝返りをスムーズに打ちたい方は比較的高反発のマットレスが合っています。高反発といっても厚みは重要なポイントです。厚みがないことで支える部分への負担が大きくなります。推奨は10cm以上の厚みがあり、やや高反発のマットレスを買うのがいいでしょう。しかし、体重が45kg以下の方で仰向け寝の方は低反発の方が合っているケースもあるので自分に合ったものを探してみましょう。

腰に負担のかからない寝方を意識しよう

腰に負担のかからない寝方

普段の寝方というのは習慣になり体に染みついています。いつもと違った寝方で寝るというのは難しいことかもしれませんが、体にとって一番良い寝方を習慣にすることで睡眠の質や生活の質が向上します。また、睡眠と腰痛には寝具の選び方も大切なので是非参考にしてみてください。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。