2021.06.25

認知症改善に特化したサービス|認知症対応型通所介護とは?

最終更新日:2022.07.07
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

認知症を発症することは決して珍しいことではありません。2012年時点では65歳以上の方の約7人に1人は認知症患者でしたが、2025年には5人に1人まで増えると見込まれています。認知症を発症したときに利用できる「認知症対応型通所介護」について見ていきましょう。

認知症対応型通所介護とは

 

介護

認知症対応型通所介護とは、認知症の方が家庭で生活をしながら利用できる通所型の介護サービスです。症状や重症度によってサービスの内容は異なりますが、入浴や食事等の日常生活における介助を受けたり、身体の運動機能回復のための訓練を受けたりすることができます。

対象者は要介護1以上で認知症の高齢者

認知症対応型通所介護の対象者は、要介護1以上で認知症の方です。居住地と同じ自治体で提供されている介護サービスを利用することができます。なお、自治体によっては要介護度とは別に「認知症高齢者の日常生活自立度」の確認が必要になることもあるでしょう。

要支援で認知症の高齢者向けに介護予防認知症対応型通所介護がある

要支援に認定されている認知症の方は、「介護予防認知症対応型通所介護」の利用が可能です。介護予防認知症対応型通所介護は将来の介護を予防する目的のサービスで、認知症対応型通所介護と同様、介護保険が適用されます。

デイサービス(通所介護)との違い

介護

介護保険が適用される通所型介護サービスには、「デイサービス(通所介護)」もあります。自宅で日常生活を送りながら施設に通い、日常生活の介護や機能回復訓練を受けるという点はどちらも同じです。しかし、認知症対応型通所介護では、より認知症の症状や特徴に合ったサービスを提供するため、通常のデイサービスとは定員や配置人員の基準が異なります。例えば認知症対応型通所介護の定員は12名以下であるのに対して、デイサービスは特に取り決めがありません。また、認知症対応型通所介護では、専従の看護職員もしくは介護職員が2名以上必要ですが、デイサービスでは看護職員は1名以上、介護職員は利用者15名に対して1名以上、以後、利用者が5名増えるごとに必要人員数が1名増えます。認知症対応型通所介護では認知症の特徴に合わせた環境で手厚いサービスが受けられるというメリットがありますが、定員数が少ないため希望する日時に希望する施設に通えないケースも少なくありません。反対に通常のデイサービスでは定員数が多いため、希望する日時に希望する施設に通いやすいというメリットがあります。

施設には3つの種類がある

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認知症対応型通所介護には、仕組みによって3つの事業所タイプがあります。「単独型」は他の社会福祉施設等に併設されていない事業所のことです。「併設型」は社会福祉施設等に併設された事業所、「共用型」は社会福祉施設等の利用者と一緒に利用するタイプの事業所を指します。例えば地域密着型老人施設等の食堂で、施設利用者と通所利用者が同じ介護サービスを利用する場合は共用型と分類できるでしょう。

利用料の区分

介護保険被保険者証

認知症対応型通所介護の利用料は、要介護度と施設のタイプ、利用時間によって決まります。要介護度が高くなり、利用時間が長くなるほど料金は高額です。また、共用型、併設型、単独型の順で利用料が高くなります。

実際の利用料の目安

例えば単独型の施設を要介護1の方が3時間以上4時間未満利用する場合の利用料金は5,420円です。介護保険1割負担の方なら自己負担額は542円、2割負担なら1,084円、3割負担なら1,626円になります。同じ要介護1の方が共用型の施設を3時間以上4時間未満利用する場合の利用料金は2,660円です。介護保険1割負担の方なら自己負担額は266円、2割負担なら532円、3割負担なら798円になります。

※料金には送迎サービスも含まれています。

こんな方におすすめ

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少ない人数で手厚い介護サービスを利用したい認知症の方や、機能回復訓練を受けたい認知症の方には、 認知症対応型通所介護が適しています。送迎込みで利用できるので、移動手段がない方も利用しやすいでしょう。認知症で要介護1以上の方は通常のデイサービスだけでなく、定員数が少なく看護職員・介護職員の配置人数が多い傾向にある認知症対応型通所介護も利用できます。ケアマネージャーやかかりつけの医師と話し合い、適したサービスを選びましょう。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。