2021.08.17

高齢者にみられがちな病気とは

最終更新日:2021.08.17

高齢者にみられがちな病気とは

血糖値

高齢者と病気は切っても切り離せないものです。持病を持っていない高齢者は少なく、多くの高齢者が病院に通院したり、薬を服用したりしています。今回は、高齢者に見られやすい病気を紹介するので、病気の早期発見に役立てましょう。

頭部

高齢者に多い頭部の病気として、脳卒中から硬膜下血種、認知症があります。これらの病気は患者数が多いこともあり、よく聞く病気ではないでしょうか。正しい知識を得ることが、高齢者を守ることにつながります。

①脳卒中

脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。それぞれの病気について確認していきましょう。
・脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管がつまったり、血栓により脳の動脈がつまったりすることで、酸素や栄養を受けている神経細胞が死ぬため、さまざまな症状を起こす病気です。脳の血管の詰まった箇所により、起こる障害も変わり、歩行障害、言語障害、顔のゆがみなどが現れます。

・脳出血
脳の細い血管が破れて脳の中に出血し、半身のまひ、しびれ、ろれつが回らない、歩けない、視野がかける、ものが二重に見えるというような症状を引き起こす病気です。高血圧持ちの人がなりやすく、頭痛を伴うことも多いです。

・くも膜下出血
くも膜下出血は、脳を覆っている組織の内側層と中間層との間にあるすき間に出血が起こることで、動脈瘤の破裂によるものが多く、突然激しい頭痛が起き、同時に吐いたり、意識を失ったりするという病気です。

②硬膜下血腫

硬膜下血腫には、急性のものと慢性のものがあります。
高齢者に特に多いのは、慢性硬膜下血種であり、転倒して頭部をぶつける、交通事故などにより起こるものです。特に目立つケガがないのに、数週間後から数ヵ月後に頭痛やもの忘れの症状が出ることもあります。症状の度合いによっては、手術となることもある病気です。

③認知症

認知障害のひとつで、後天的に起こる病気です。記憶障害や、言葉の意味が理解できなくなったり、しゃべるのが難しくなったりします。また、実行機能障害が起き、料理のレパートリーが減る、暴言や暴力、徘徊が起きることもあります。日常生活に支障をきたし、もの忘れの自覚があまりないことが特徴です。65歳の4人に1人が認知症とその予備軍とされています。

高齢者と眼の病気は切っても切り離せないものです。白内障や緑内障といった昔からよく聞く病気から、ここ数年で一気に患者数が増えている病気まで、眼の病気もさまざまな種類があります。それぞれの病気について確認していきましょう。

①白内障

眼の中のレンズの役割をする水晶体が濁る病気で、加齢によって発症し、早い人は40代、80歳を超えるとほとんどの人が程度の差はあっても白内障になると言われています。白内障は放置しなければ失明するということはありませんが、最終的には手術するしか方法がない病気です。初期の段階で病気を見つけることができれば、薬で進行を遅らせることも可能です。

②緑内障

緑内障とは、眼圧が上昇することで視神経に異常が起こり、視力や視野の障害が起こる病気です。しかし、一定数の人は眼圧が上昇していないにも関わらず、緑内障になってしまう例もあり、注意が必要でしょう。病気の進行がゆっくりで、自覚症状に乏しいため、初期で発見するのが難しいと言われていますが、病気を初期の段階で発見することができれば、薬によって進行を遅らせることができ、失明を防ぐことができます。

③糖尿病性網膜症

糖尿病が原因によって起こる病気であり、糖尿病の進行とともに糖尿病性網膜症の症状も変化します。糖尿病患者の3分の1が罹患すると言われており、患者数は約300万人と言われています。定期的な検診や早期治療により、失明を回避することができますが、実際のところでは日本において中途失明の代表的な病気のひとつでしょう。

④加齢黄斑変性症

加齢に伴い眼の網膜にある黄斑部が変性を起こす疾患であり、視力低下や視野が欠けてしまうなどの症状が起きます。原因は、加齢、生活習慣、光線によるダメージ、遺伝などであり、放置していると失明に至る病気です。また、喫煙や肥満も病気の発症に関与しており、脂肪分の多い食事や塩分の多い食事も一因となることが分かっています。

難聴

高齢者に多い難聴は、高音を聞き取りにくい状態となり、「サ行」が「カ行」に聞こえたりすることが多いため、高齢者と会話をしていると介護者も発見しやすいでしょう。原因として、騒音や遺伝、喫煙や運動不足、栄養状態や、持病などあらゆる要因が複雑に絡み合って発症するとされています。老人性難聴の場合は、補聴器を使って聴力を補う方法が取られます。

肺疾患

高齢者と肺疾患は切っても切り離せないものであり、高齢者が肺炎に陥ると命を落とす危険性が高まります。さらに、肺気腫という病気も高齢者には多く、病気の状態によっては命に関わることもあるでしょう。これらの病気について見ていくことにしましょう。

①肺炎

肺炎にもさまざまな種類がありますが、高齢者の肺炎は無症状のまま病気が進行するという場合が多く、発見されたときは既に病状が進行している場合が多いでしょう。仮に症状があっても、高齢だからという理由にしてしまうことが多いのも、病気の発見を遅らせることとなりがちです。特に冬場はあらゆる感染症が流行しますし、その結果として肺炎を起こすということもあるため、寒い時期は特に注意が必要だと言われています。まずは感染症に罹患しないように努めることが必要です。

②肺気腫

タバコなどの影響で肺に長期間の炎症が起きると、肺が膨らんだまま縮まないという状態になります。いわゆる、肺のはたらきが低下した状態であり、症状として息切れを起こすことが多いでしょう。タバコを吸う人で息切れがあるという場合は、肺気腫の可能性が高く、病気そのものは治りません。それは、一度タバコの煙によって壊れてしまった肺というのは元に戻らないからです。禁煙したとしても、ゆるやかに症状が進むので注意が必要です。

運動器

高齢者は骨折をすることが多く、何気ないことですぐに骨折してしまいます。骨折といっても、どこをどのように骨折するのかはさまざまな種類があるのですが、そのなかでも高齢者に多い骨折について見ていきましょう。

①大腿骨頸部骨折

大腿骨の一部である大腿骨頚部に起きる骨折のことを言い、脚の付け根に痛みがあり、立つことも歩くこともできなくなります。転倒や転落、しりもちなどで大腿骨は骨折しやすく、診断もX線検査で分かることがほとんどです。大腿骨を骨折することによって、ベッドにいることが多くなり、結果的に寝たきりになってしまうことが問題視されています。

②腰椎圧迫骨折

腰椎の椎体(背骨を形成する平べったい骨)に、縦軸方向の外力が加わることで生じる骨折のことです。この骨折は、交通事故や骨粗しょう症、がんの骨転移などで起こることが多いとされています。腰椎の内部には重要な神経が多く存在することから、骨折の痛み以外にもしびれや筋力低下も起きやすくなると言われています。

内分泌

高齢者が罹患しやすい内分泌系の病気は、生活習慣病である糖尿病や、甲状腺機能低下症が多く、長期的に治療をしなければならない病気、あらゆる合併症を気にしなければならない病気と言えるでしょう。これらの病気について見ていくことにしましょう。

①糖尿病

血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)値が一定の基準を超えている状態を指します。1型と2型があり、2型の糖尿病がほとんどです。2型の糖尿病は、いわゆる生活習慣による糖尿病のことを言います。症状としては、血糖値がかなり高くなると、口渇・多飲・多尿という糖尿病特有の症状が現れ、血糖値がさらに高くなると、神経や目や腎臓などにさまざまな障害を起こす合併症が起こります。

②甲状腺機能低下症

女性の高齢者が罹患しやすい病気に、甲状腺機能低下症があります。高齢者の約10%に見られる病気です。慢性的な甲状腺炎や、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで起き、代表的な症状としては、疲れやすい、寒さに弱い、体がむくみやすい、体重増加、肌の乾燥があります。治療は、甲状腺ホルモンの補充療法を行い、投与量は徐々に増やして2~3ヶ月かけて正常に戻していくというものです。

循環器

高齢者が循環器系の病気に罹患することは多く、ほとんどの高齢者がなんらかの病気にかかっているか、その予備軍であることが多いようです。循環器の病気は、直接命を落とす可能性のある病気も多いので注意が必要であり、介護者も注意深く見守っていくことが必要でしょう。

①高血圧症

血圧が正常範囲を超えて高い状態を指します。高血圧そのものの症状はあまりないのですが、あらゆる心疾患や脳卒中や腎不全と関わりがあるということが問題です。最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されますが、繰り返しこの数字が出なければ診断されません。塩分の摂取を控え、降圧剤の服用により、血圧を下げていきます。

②動脈硬化

動脈硬化とは、動脈に コレステロール や 中性脂肪 などがたまることにより、血管がつまったり、固くなったりするというもの。血液がスムーズに流れなくなることから、あらゆる臓器に必要な酸素や栄養の供給が行われなくなります。問題は、動脈硬化であることにより、あらゆる心疾患や脳血管障害を引き起こすということ。これらの病気の引き金になる状態なので、予防と改善が必要です。

③狭心症

狭心症とは、心臓の冠動脈が詰まって狭くなることにより、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気のことです。虚血性心疾患のひとつであり、血液そのものが不足した状態を指します。原因のほとんどは動脈硬化であり、高血圧などの要因により、血管が柔軟性を失い、さらに血管そのものが硬くなってしまったために起こります。

④心筋梗塞

虚血性心疾患のひとつであり、心臓の筋肉に酸素を送る血管(冠動脈)が詰まることにより、心筋が酸素不足になり障害を受ける病気のことです。直接の死因となることもあり、注意が必要です。発症すると激しい胸痛、冷や汗や吐き気、冠動脈が詰まる部位によっては突然死することもあります。原因は動脈硬化と言われていますが、病気の前兆は必ず起こるものではないと言われています。

⑤心不全

心不全とは心臓の機能が低下している状態であり、全身に充分な血液が循環しない状態となることを指します。その結果、呼吸困難やむくみ、動悸、疲労感など、さまざまな症状が現れます。急性と慢性に分けられますが、個別の疾患名ではなく、原因疾患によって心臓機能が弱くなった状態のことです。

腎臓・泌尿器系

高齢者は、腎臓や泌尿器系の病気に罹患することも多く、なかには神経性のものもあります。主に男性の高齢者によく見られる前立腺系の病気が多くありますので、介護に役立てましょう。

①神経因性膀胱

神経因性膀胱とは、排尿に関わる神経経路のいずれかの具合が悪くなることにより、排尿のシステムそのものが上手くいかなくなる状態のことを言います。排尿に関することは、脳や神経が関係しており、それらのどこかが悪くなっていることが原因です。膀胱機能障害が起こる病気である糖尿病、直腸がんや脊髄損傷の後に起こることが多いとされています。

②前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、加齢とともに前立腺の内腺の細胞数が増加し肥大化した状態のことです。前立腺が肥大することによって、尿道が圧迫されて、排尿に関わるさまざまな問題が出現します。60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%が前立腺肥大を起こすと言われていることから、高齢者には避けられない疾患と言えるでしょう。

③前立腺がん

前立腺がんとは、前立腺に発症するがんのことで、男性だけのがんであり、特に高齢男性が発症します。早期発見できれば90%以上の人が完治しますが、ゆるやかに進行するがんのひとつと言われており、多くの場合は自覚症状がないのが特徴です。進行すると、排尿の問題と同時に、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みが起きます。

④慢性腎不全

慢性腎不全は、腎機能が徐々に低下し、腎臓のろ過能力が正常時の30%以下になってしまう状態のことです。症状は、夜間の尿が増え、トイレに行く回数も増える、疲労感、吐き気、食欲不振、かゆみ、むくみ、高血圧など多岐にわたります。治療法は、原因になっている疾患を治療することで、一時的に腎機能が良くなることはありますが、かなり悪化してしまった場合は回復の見込みはないとされています。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。