2021.08.11

介護保険でレンタルできる手すりの種類と特徴!快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2022.12.01
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

不安定な動作を安定させることができる手すり

手すり

手すりは、私たちが生活するあらゆる場所で設置されているものです。普段、手すりにつかまる機会がないと気が付きにくいものですが、家庭内だけではなく、公的な場所などでも多く見られるようになりました。手すりには歩行や立ち上がり、段差、階段の昇り降りの身体の動きをサポートしてくれる役目があり、介護者が付き添っていないときにでも、手すりがあることで、高齢者が座ったり、立ち上がったりすることができます。また、とっさに転んでしまいそうなときに、手すりにつかまることで命拾いした経験を持つという人もいるはずです。大けがになりそうな局面で、傷ひとつなく済んだのは手すりのおかげということもあるでしょう。

介護保険で手すりをレンタルすることのメリット

介護保険

介護保険を使って手すりをレンタルすることにはさまざまなメリットがあります。介護保険を使うには、まずは介護認定を受けないといけませんが、認定を受けると介護用品のレンタルが安くなるというメリットがあります。

・取り付けに工事を伴わない
手すりのレンタルは住宅工事を伴わないものがあるで、賃貸にお住まいの人でも備え付けることができます。工事を伴わない手すりであっても、高齢者をしっかりサポートしてくれるものですし、確実に「あってよかった」と思うものばかりです。工事を伴わないことで、費用も低く、その日からすぐに使うことができるというのも助かります。

・支援1~介護5までレンタル可能
手すりのレンタルに関しては、支援1~介護5まで介護保険を使うことができます。介護認定を受けていても、認定の段階によっては利用できないことも多いなか、支援1から利用できるというのは大きなメリットと言えるでしょう。

・電話ひとつで対応してくれる
レンタルの場合手すりの点検や、他の手すりを使いたいなど、さまざまなことに対して電話ひとつで対応してくれるというメリットがあります。また、分からないことも、直接質問することができるので、安心して使用することができるでしょう。

手すりの種類

トイレ_手すり

手すりにはさまざまな種類があります。どの手すりも高齢者の動きをサポートしてくれるものであり、生活には欠かせないものばかりです。

・据え置き型手すり
据え置き型手すりは、ベッドサイドや布団の横に置くタイプの手すりです。高齢者の体重を支えることができるため、しっかりした作りとなっています。高齢者が体を起こす動きをサポートしてくれます。

・天井からの突っ張り手すり
天井から突っ張るタイプの手すりもあります。あらゆる場所で使用可能であり、レバーひとつで簡単に設置できるというものです。トイレや、日常生活を行う居室などで使うことが多いようです。

・トイレ便器に取り付ける手すり
トイレで座ったり、立ち上がったりするときにサポートしてくれる手すりです。便器に簡単に取り付けできるので、すぐに使うことができますし、高齢者がひとりで排泄をするのに役立ちます。

場所と身体状況で選ぶ

介護

手すりにはさまざまな種類があり、設置する場所によって適しているものがそれぞれ違います。また、高齢者の身体状況によっても、必要とする手すりは変わってくるものなので、状況に応じて手すりを選ぶことが必要です。業者に相談しながら、どの手すりが適しているかアドバイスを受けることができるでしょう。必要な場所、高齢者の身体の状態に適した手すりを選べば、かなり動きが楽になるはずです。

寝室

寝室に設置する手すりは、ベッドサイドに設置したり、和室でも布団の側に設置したりします。高齢者が起き上がる際にサポートすることが目的で、ひとりで起き上がり、立ち上がることを可能にしてくれるというものです。このほかに、寝室の壁沿いに設置するタイプの手すりもあり、こちらは寝室内を動くときや、部屋を出たりするときに歩行をサポートしてくれるというものです。また、部屋のドアを開ける為に、出入り口付近に小さめの手すりを付けると、部屋の出入りが楽になることでしょう。

トイレ

トイレに設置する手すりは、高齢者のトイレで座ったり、立ち上がったりという動きをしっかりサポートしてくれるものをメインとし、様々な手すりがあります。車椅子を使っている高齢者だけではなく、自力で歩行できる高齢者にとっても、トイレの手すりはなくてはならないものです。トイレの出入り口に小さめの手すりを設置することもありますし、トイレ内の移動、便座の前で身体の方向を変える、お尻を拭くなどトイレといってもあらゆる動作があります。これらの動作で、どのポイントで手すりが必要かを考え、動かしにくい方の手足を確認して、どこに設置するか決めてからレンタルしましょう。

お風呂

お風呂に設置する手すりは、入浴に伴う動作を楽にし、入浴中の事故を防ぐために役立ちます。浴室は濡れていて、すべることもあるため、実は高齢者でなくても手すりがある方が安全と言えるでしょう。さらに気になるのが、血圧についてです。入浴中は血圧の急変が起きやすく、そのため体調が悪くなる可能性もあります。健康面を考えても手すりが必要というわけです。お風呂の手すりをレンタルするという場合、工事の必要がなく置くだけで手すり代わりになるものがあります。浴槽に設置するタイプの手すり、もしくは、天井と床に突っ張る棒状のタイプです。浴室に設置する手すりは場所を取らないタイプもあるので、ご家庭の浴室の状況に応じてレンタルする介護用品を選びましょう。

玄関上がり框

玄関の段差があるご家庭では、高齢者は外出がしにくく、この段差を緩和するためにあるのが、玄関あがり框です。たとえば、玄関の段差が30㎝ほどあると外出がしにくいと言われますが、その段差が半分の15㎝ほどになり、手すりがあれば外出がしやすくなるでしょう。たった15㎝の差と手すりがあるだけで、高齢者の日常は変わり、介護者の負担も軽減できるのです。この玄関上がり框は、置くだけで工事は不要なので、レンタルしたその日から使うことができます。手すりも同時にレンタルすると、高齢者の負担はかなり軽減され、外出が楽になるでしょう。

屋外の段差

玄関から出た場所や、縁側など屋外の段差は意外と危ないものです。住宅環境によっては、これらの段差がある場合もあるでしょう。屋外でも使える手すりについても、レンタルすることができます。屋外専用というより、屋内でも屋外でも使える手すりがあり、工事がなく置くだけものや、玄関先では天井と床を使って突っ張る棒状のタイプのものもあります。屋外で高齢者が転倒すると、屋内での転倒に比べてケガの程度がひどくなると思われます。それを防ぐために必要なのが、屋外で使える手すりなので、必要に応じて検討してみることをおすすめします。

まとめ

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手すりがあると日常生活の転倒リスクを軽減することができます。特に高齢者はちょっとしたことで転倒する可能性が高く、大ケガにつながることもあるため、手すりを設置するようにしたいものです。また、介護者も手すりがあることで、介護負担を軽減することができます。ひとりでできることが増えると、介護負担はかなり軽減されます。手すりについては、レンタルも可能であり、介護保険も利用できることから、費用面の負担が少なくて済みます。是非、ご家庭でレンタル商品の導入を検討してください。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。