2021.05.13

トイレ・排泄関連 介護用品の種類と特徴‼快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2022.08.18
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

トイレ・排泄での動作を快適にするために

 

トイレ

排泄は生活の尊厳にかかわる、非常に重要かつデリケートな問題ということもあり、できる限り高齢者が自らできることが望ましいといえます。加えて、排泄に関する介護は、介護者の負担も大きいことも問題です。近年、福祉用具・介護用品は便利なものが揃っており、使わないともったいないものばかり。それぞれの介護用品を紹介しましょう。

ご自宅のトイレに行ける方に

 

トイレ

高齢者のなかでも、自宅のトイレに自分でいけるという場合、できる限り高齢者だけで排泄をすることが望ましいといえます。これは、高齢者自身の自分でできることを減らさないという意味でも重要であり、介護者も付き添いをしなくて済むため、介護の軽減が可能です。しかし、トイレは立ったり座ったりすることもあり、高齢者には危険がつきもの。高齢者が安心してトイレに行くことができるように、トイレにはどのようなものを設置したらいいのでしょうか。

トイレ内での立ち座りを支援する

トイレ内の立ち座りを支援するものに、トイレの壁に設置する手すりがあります。この手すりがあることにより、高齢者は安全に立ったり座ったりができますし、事故を防ぐという意味で、介護者にとっても安心できる介護用品です。このトイレの手すりについては、レンタル商品もあります。車いすの高齢者がトイレに行くときも便利な手すりや、壁に固定された大型背もたれつきのものなどがあり、月単位でレンタルできるようになっています。また、レンタル代金には介護保険を使用できるため、費用の負担も軽減できるでしょう。一方、トイレそのものを改修するという方法もあります。トイレそのものを広くしたり、手すりを取り付けるというもので、工事期間は半日~数日あれば可能であり、費用も数万円程度なので負担は少ないでしょう。

トイレ(便器)に設置(取り外しできる)手すりの設置

トイレに手すりを設置したいけど、大掛かりな工事はしたくないという場合、取り外しが可能な手すりを設置する方法があります。

 

1.便器に挟み込みタイプ
現在のトイレに簡単に設置できるもので、通信販売でも購入ができます。価格も10000円以下であり、形はメーカーによって個性があり、なかには持ち手の素材にこだわったものもあるとか。高さ設定ができるタイプがほとんどであり、届いたその日から簡単に設置できるため、利用するご家庭も多いようです。

 

2.天井突っ張り手すり
天井と床を使って突っ張り固定するタイプの手すりがあります。しっかりと固定されるので安心感がありますし、捕まりやすいことから、トイレの立ち座りがしやすいでしょう。手元のレバーを引いて固定するだけなので、設置もしやすく、トイレにこだわらずに、あらゆる場所で使いまわせることから人気があります。

住宅改修による手すりの設置

住宅改修をおこなって、トイレそのものを改修するという方法があります。その際に、介護に適したトイレに改修するご家庭もあるようです。レンタルや簡易的なものを購入して設置するという方法もありますが、トイレそのものを改修すると、より一層安心できる介護環境を整えることができるでしょう。手すりは、出入り口の動作安定のために必要な縦手すりや、便器の立ち座りと座位の安定のために欠かせないL型手すり、身体の向きを変えたり車椅子から便器に移乗したりするための横手すりが必要です。手すりの高さなどは使用する高齢者に使いやすいように、住宅改修業者が考えてくれます。充分な手すりがあると、高齢者も自分でトイレがスムーズにできるようになるでしょう。介護保険の住宅改修制度は、要介護・要支援認定を受けた方が利用できる助成制度もあるので、費用面はかなり軽減できます。

補高便座

補高便座とは、自宅のトイレの便器の上に置くだけで簡単に設置できるものです。一般のトイレの便器と比べて素材が柔らかく作られており、痩せておしりが小さくなることに対応したタイプもあります。高さも商品によって各種揃っているので、使用する高齢者に合わせて選ぶことができるでしょう。

簡易設置腰掛便座(簡易設置洋式トイレ)

簡易設置腰掛便座は、自宅のトイレが和式の場合などに、こちらを設置するだけで洋式トイレにすることができるという商品です。購入してすぐに設置することができる上に、背もたれ式なので、和式トイレの苦痛から解放されます。足腰が悪い高齢者には和式のトイレを使うことは大変なので、この商品があると負担を軽減することができるでしょう。

電動昇降便座

電動昇降便座とは、便座が電動で昇降する便座であり、高齢者にとってより一層トイレがしやすく作られています。便座の昇降ができるタイプの便座があれば、身体機能がかなり衰えたとしても、自分でトイレに行くことが可能でしょう。リモコンスイッチを使って使うことができるため、便座の横に設置すれば、常にスムーズに使えます。

ご自宅のトイレに行くことが大変な方に

 

トイレ

骨折後や寝たきりなど、身体的にトイレに行くことが難しくなることがありますよね。高齢者のなかには、介護者に遠慮してトイレの介助をして欲しくないという場合もあり、自宅のトイレを使うために介助してもらうことが嫌だという場合もあるようです。また、寒い時期はトイレが寒い場所にあることで、ヒートショックを起こすこともあるでしょう。それぞれの身体的に危険な状態を解消するために、自宅のトイレを使わずに排泄を済ませる方法があります。このようなトイレを使うことによって、高齢者の身体的負担を軽減するだけではなく、介護者の負担も軽減でき、介護疲れを少しでも防ぐことができるはずです。トイレに行かずに排泄ができる商品は複数あり、どのように使うか、使い勝手はどうなのかという視点から説明しましょう。

ポータブルトイレ

ポータブルトイレとは、一般的にはトイレがないような場所でもトイレができるために作られたものです。トイレの無いバスや電車の車内に設置されているのを見たことがある人も多いことでしょう。
一般的なトイレと比べると使い勝手は良くはありませんが、ポータブルトイレがあることで助かる局面は多いはずです。特に高速道路の渋滞時や、災害時にはその実力を発揮しています。このトイレ、実は高齢者の介護にも大変便利であり、利用しているご家庭も多いとか。高齢者がベッドから起き上がって、自力でトイレに行く場合、同室にトイレがあると大変便利。また、介護用のポータブルトイレはしっかりとした作りになっていて、安定感があります。

尿器

尿器は病院などではよく見かけますよね。自宅での介護でも、使い勝手が良い商品ということで利用されているご家庭が多いそうです。男性用、女性用と分かれており、自動吸引型もあります。尿器があると、トイレまで行かずに尿をすることができるため、寝たままでも可能ですし、足腰を傷めている場合でも楽に排泄をすることができます。おむつと比べて尿が肌に接触しないため、皮膚トラブルにもなりにくいです。

差し込み便器

差し込み便器とは、ベッドの上から動くことなく排泄ができる商品です。特に女性が排泄するときには、尿器よりも差し込み便器ですと失敗も少なく、スムーズに排泄できるでしょう。下半身を動かすことが難しい高齢者や、腰を浮かせることが難しい高齢者でも使える点が大きなメリットです。

自動排泄処理装置

自動排泄処理装置は、介護者の負担をかなり軽減することができる商品であり、同時に高齢者にとっても見られることがないため、ストレスの軽減になります。特に夜のトイレの回数が多い高齢者を介護している場合、慢性的な睡眠不足に陥る介護者が多いため、自動排泄処理装置は画期的な介護用品でしょう。自動で排泄物の吸引や洗浄、乾燥までを行ってくれ、センサーが感知するので安心です。トイレが間に合わないというようなことからも解放される、画期的な介護用品となっています。

>>自動排泄処理装置について、もっと詳しく知りたい方はこちらへ

まとめ

 

トイレ

高齢者も介護者も、排泄の介護が一番難しい問題だと言います。それは、できる限り自分自身でトイレまで行って排泄をしたいという高齢者の気持ちもありますし、排泄の介護そのものが介護者の負担として大きいからです。トイレに関する介護用品を上手に使いこなすことによって、お互いの希望を叶え、ストレスを軽減することにつながります。これらの介護用品については介護保険が使える場合もあるので、費用面でも無理なく使うことができるでしょう。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。