2022.08.22

頻尿を改善する骨盤底筋体操や膀胱トレーニングを紹介

最終更新日:2022.08.22
東海林 さおり
看護師

骨盤底筋体操とは

骨盤底筋とは、骨盤の底にあり、直腸や子宮、膀胱が下がらないように骨盤を支えている筋肉のことです。骨盤底筋は鍛えることによって他の筋肉と同様強くなります。頻尿はこの筋肉の強さに多く影響をもたらします。筋力が弱くなることで尿道が緩み尿意を感じやすくなります。筋肉量が少なくなることが原因であることから、年を重ねるとこのような症状になりやすいと言えます。この骨盤底筋を鍛えることで頻尿を改善しようというのが骨盤底筋体操です。

骨盤底筋体操のやり方

骨盤底筋体操のやり方

骨盤底筋体操には様々なやり方があります。その中でも一番やりやすい方法をピックアップしてご紹介いたします。それは仰向けで行う体操です。仰向けの状態は全身の力が抜けやすいため、力を入れた時にどこに力が入っているのかを自覚しやすい姿勢です。骨盤底筋は遅筋と速筋という二つの筋肉で構成されています。遅筋は膣や肛門を閉め続けるために使う筋肉で、速筋はそれを瞬間的に閉める働きをします。この両方を鍛えることで尿漏れはもちろん頻尿の改善にも期待できます。

あおむけで行う骨盤底筋体操

では実際に仰向けでどのように体操を行うのか手順を説明していきます。

遅筋トレーニング

1.仰向けになり、両手を体の横に置きます。

2.足を肩幅に開き、膝を立てます。

3.全身の力を抜いてリラックスした状態にします。

4.男性は肛門と陰茎の付け根、女性は肛門と膣と尿道を意識しておへその方へ引き上げるつもりで10秒間締める。

5.5~10秒休憩する。

これを10~20回繰り返す。

速筋トレーニング

1.仰向けになり、両手を体の横に置きます。

2.足を肩幅に開き、膝を立てます。

3.全身の力を抜いてリラックスした状態にします。

4.男性は肛門と陰茎の付け根、女性は肛門と膣と尿道を意識してキュッと1~2秒短く締める動きを3回繰り返す。

5.5~10秒休憩する。

これを10~20回繰り返す。これらを1セットにして、1日に4~6回行うのが推奨されています。

椅子に座って行う骨盤底筋体操

椅子に座って行う骨盤底筋体操はより効果を期待できる方法です。

前述した仰向け体操でも、もちろん骨盤底筋に働きかけるのですが、骨盤底筋が体の奥にあることから意識したとしても本当に使えているのかがわからない、または意識して使っているつもりだったけど使えていなかったという方は効果が出づらいです。

この方法はよりわかりやすく骨盤底筋が使えているのかがわかるため効果が期待できます。

1.薄手のフェイスタオルを四つ折りにし、くるくる巻いて輪ゴムで止めます。

2.椅子の座面に置いて座ります。この時に、タオルに会陰が当たらないように座ります。

3.上半身を前後に揺らします。骨盤底筋の前部を鍛えたい場合は膝を閉じ、後部を鍛えたい場合は膝を開いて行います。

4.タオルを骨盤底筋で掴んで持ち上げるイメージで、息を細く長く吐き出すようにしながら膣を閉めます。

5.息を吐き終わったら骨盤底筋で挟んでいたタオルを離すイメージでゆっくりと吸い込みます。

※背筋は伸ばした状態で行いましょう。

膀胱トレーニング

膀胱トレーニング

膀胱トレーニングとは、頻尿や尿漏れがある方が、セルフケアとして、尿を膀胱に溜めて置き、膀胱の容量を拡大することを目的とした取り組みです。

膀胱訓練

膀胱の容量を拡大するために膀胱訓練を行う方法があります。膀胱訓練とは、すぐに尿意を感じたり、トイレまで我慢できなかったりする、排尿を正常にコントロールできない状態を改善するために行う訓練のことです。主な目的は膀胱の働きの改善や排尿回数を減らすことです。

ただし、以下の方はこの訓練に適さないのでご注意ください。

・神経の病気で切迫性尿失禁がある方

・身体に麻痺がある、または痴呆症の高齢者

・膀胱に持病がある方

・膀胱炎などの感染症を持っている方

では、実際にどのような訓練があるのでしょうか。「訓練」という名前がついていると難しく考えてしまいがちですが、やることは簡単です。簡単に言うと、トイレを我慢するだけです。ただし、頻尿の方はトイレに行きたくなったらどうしよう、という心配もつきものです。段階的に行うことが必要です。

まずは時間です。トイレに行きたいという尿意を感じてからまずは5分我慢してみましょう。そして、できるようになってきたら10分、20分と伸ばしていきましょう。

次に場所です。頻尿の方にとってトイレがない場所に行くのはとても不安なことです。家にいる状態と外出先では緊張感が違います。外出先でも我慢ができるようトイレがある外出先でも段階的に試していきましょう。

次に記録です。今日はどれくらいの感覚で排尿が出たのか、回数や時間、可能であれば量なども記録しておくと良いでしょう。記録することで自分がだんだん我慢できるようになっていることが可視化されモチベーション維持にもなりますし、どんなタイミングで出やすい、尿意を感じやすいという自分のことを知ることで安心感にも繋がります。

膀胱訓練を行う際には病気のこと以外にも注意点があります。それは、尿意には波があるということを知っておくことです。頻尿ではない方は下痢の状態を思い描いてみると良いでしょう。下痢の時は急にお腹が痛くなったり、治ったりします。それと同じように尿意にも強弱があります。そのため、はじめは絶対5分は我慢、としなくても尿意が弱いときは我慢するというスタンスで取り組んでみるのもよいかと思います。また、万が一に備えて、尿失禁用のナプキンやパットを用意しておくのも安心につながるので良いでしょう。

竹を使った足踏み

実は頻尿予防ができるツボというものが存在します。それは足に多くあり、特にかかとに集中しています。有効な手段として竹の足踏みをすることが挙げられます。竹に土踏まずを付けて足踏みをします。これだけで頻尿予防になります。1回に長い時間行うよりも、1日に何回も行う方が効果的です。

毎日時間を決めて継続的に行おう

運動をする夫婦

頻尿予防や改善には様々な方法があります。どれも継続することが大切なことには変わりありません。自宅の生活環境の中でどのようにしたら取り入れやすいかを考えて継続できるように試してみましょう。

東海林 さおり
看護師

看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。