日本は、世界の中でもトップクラスの長寿大国といわれています。世界保健機関(WHO)は、2000年に健康寿命を提唱しました。それ以降、ただ単に寿命を延ばすだけではなく、いかに健康に長生きするかということに世界中の関心が高まっています。平均寿命や健康寿命とは、どのような寿命のことをいうのでしょうか?健康に長生きすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、平均寿命と健康寿命の特徴についてわかりやすく解説するとともに、健康寿命の重要性について解説します。
目次
平均寿命と健康寿命の違い
平均寿命と健康寿命についてと日本人のそれぞれの寿命について詳しく見てみましょう。
平均寿命とは
平均寿命とは、人間が生きる平均的な年数をいいます。つまり、0歳の乳幼児が生存すると考えられる平均余命になります。厚生労働省の「簡易生命表」から、日本人の平均寿命を見てみましょう。2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳となっています。前年と比較すると、男性は0.16歳、女性は0.13歳長くなっています。また、平均寿命の男女差は、6.04歳で女性が男性よりも長くなっています。日本人の平均寿命は、世界ではどれくらいの順位に位置するのでしょうか?2019年の平均寿命世界ランキングでは、日本は第2位となっています。しかし、2020年以降は日本が第1位となっており、世界一平均寿命が長い国となっています。
健康寿命とは
健康寿命とは、健康に何の問題もなく、介護などの援助なしで自立して日常生活を送ることができる年数をいいます。厚生労働省で平均寿命は毎年発表されていますが、健康寿命は3年ごとに発表されています。2019年の日本人の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。前回の調査と比較すると、男性は0.54歳、女性は0.59歳長くなっています。また、健康寿命の男女差は、2.7歳で女性が男性よりも長くなっています。日本人の健康寿命は、世界ではどれくらいの順位に位置するのでしょうか?2019年の平均寿命世界ランキングでは、日本は第2位となっています。しかし、2021年には日本が第1位となっており、世界一健康寿命が長い国となっています。
健康寿命と平均寿命との差を縮めることが大切
長寿大国といわれる日本の平均寿命と健康寿命は、延び続けています。しかし、平均寿命と健康寿命の差の縮小はあまりみられず、平行線をたどっています。平均寿命と健康寿命の差は、何を表しているのでしょうか?平均寿命と健康寿命の差は、病気などが原因で自立した日常生活を送ることが困難になった期間を表しています。2019年の平均寿命と健康寿命の差は、男性は8.73歳、女性は12.07歳となっています。平均寿命と健康寿命の男女差は、3.34歳で女性が男性よりも長くなっています。超高齢化社会になっている日本では、年々医療費の負担が大きくなっています。この平均寿命と健康寿命の差を縮めることが、国全体の医療費負担を軽減するためのポイントにもなっています。また、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが、老後の豊かな生活を送る上で大切になってきます。
健康寿命を延ばすことのメリット
健康寿命を延ばすことのメリットは、主に2つに分けられます。健康寿命を延ばすことの1つ目のメリットは、将来への不安が軽減されるということです。年齢を重ねるごとに病気や介護などへの不安やリスクは高まっていきます。病気になると治療するために医療費が必要になります。また、日常生活に支障をきたし、介護が必要な状態になると介護費が必要になります。健康寿命が延びることは、病気や介護とはほとんど無縁になるため、医療費や介護費が必要なくなります。健康寿命を延ばすことの2つ目のメリットは、充実した快適な老後を送ることができます。健康に過ごすことで、長く働くことができる他、旅行や趣味などを楽しむことができます。
リタイア後の生活を自由で豊かな時間を楽しめる
健康でいることで、リタイア後の生活を自由で豊かな時間として楽しむことができます。仕事をリタイア後、子供も自立している場合は自身の趣味や社会貢献などに時間もお金も費やすことができます。また、時間に制限されないため、旅行が好きな方は長期にわたって国内のみに限らず、海外への旅行を楽しむことができます。趣味や社会貢献などに取り組むことは、生き生きと過ごすことができる他、認知症予防にもなります。
働くことができ収入の確保ができる
健康でいることで長く働くことができ、社会参加の継続や収入の確保ができます。年金のみではなく、収入の確保ができることは金銭面への不安軽減にもつながります。
医療費や介護費の費用負担が減る
健康でいることは、医療や介護などが必要ないため、日常生活における制限がありません。そのため、本人をはじめ、家族にとっても肉体面・精神面・金銭面の負担が少なく過ごすことができます。
健康寿命 都道府県別ランキング
健康寿命は、どの都道府県が長いのでしょうか?男女別に健康寿命のランキングを見てみましょう。
順位 | 都道府県 | 男性の健康寿命 | 順位 | 都道府県 | 女性の健康寿命 |
1 | 大分 | 73.72 | 1 | 三重 | 77.58 |
2 | 山梨 | 73.57 | 2 | 山梨 | 76.74 |
3 | 埼玉 | 73.48 | 3 | 宮崎 | 76.71 |
4 | 滋賀 | 73.46 | 4 | 大分 | 76.60 |
5 | 静岡 | 73.45 | 5 | 静岡 | 76.58 |
6 | 群馬 | 73.41 | 6 | 島根 | 76.42 |
7 | 鹿児島 | 73.40 | 7 | 栃木 | 76.36 |
8 | 山口 | 73.31 | 8 | 高知 | 76.32 |
9 | 宮崎 | 73.30 | 9 | 鹿児島 | 76.23 |
10 | 福井 | 73.20 | 10 | 富山 | 76.18 |
厚生労働省.「第16回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22740.html,(参照2022-8-26)
大分県や山梨県、静岡県、鹿児島県、宮崎県では、男女ともに健康寿命が長い県であることがわかります。
要介護状態を防ぐために
要介護状態を防ぐことが、健康寿命を延ばす1つのポイントといえるでしょう。つまり、要介護状態にならないように年齢を重ねる必要があります。
要介護認定を受ける原因
厚生労働省の2019年の国民生活基礎調査によると、要介護認定を受ける原因は、以下のような結果になっています。
順位 | 原因疾患 | 割合 |
1位 | 認知症 | 24.3% |
2位 | 脳血管疾患 | 19.2% |
3位 | 骨折・転倒 | 12.0% |
厚生労働省.「2019年国民生活基礎調査の概況」.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf,(参照2022-8-26)
要介護認定を受ける原因となった疾患の第1位は認知症で24.3%、第2位は脳血管疾患で19.2%、第3位は骨折・転倒で12.05%となっています。
介護予防の重要性
介護予防とは、要介護状態になることを予防すること、または要介護状態の悪化をできるだけ防ぐことを意味します。介護予防は、健康寿命の延伸につながる取り組みであるともいえます。要介護状態になってしまってから、再び自立した生活が送れるようになるには、とても難しく大変な努力が必要になります。そのため、要介護状態にならないように若い時から、常に健康維持に取り組む必要があります。
健康でいられるよう、生活習慣や食生活に気をつけよう
世界中の人々が、長寿大国である日本の生活習慣や食習慣に注目しています。世界でもトップクラスの長寿大国である日本の平均寿命と健康寿命は、延び続けています。しかし、超高齢化が進む日本では年々医療費の負担も大きくなっており、健康寿命を延ばすことが国や自治体全体の課題となっています。平均寿命は、医療の進歩により一人ひとりが努力しなくても延ばすことができます。しかし、健康寿命は一人ひとりが努力しないと延ばすことができません。一人ひとりが健康寿命を延ばすために意識し、さらに充実した快適な老後の生活を送りましょう。
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看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。