老人ホームを決めるときは、実際に老人ホームまで足を運んで設備の中まで詳しく見学することが必要です。どのようなポイントをチェックすれば良いのか、また、老人ホームを見学する前にどのような準備ができるのかについて解説します。納得できる老人ホームを選ぶための参考にしてください。
目次
老人ホーム見学の重要性
老人ホームの雰囲気は一つひとつ違います。同じ会社が運営している老人ホームであっても、異なるスタッフが働いていれば施設の雰囲気や居心地は大きく異なります。また、立地も重要です。老人ホームのパンフレットに「駅から5分」と書かれていても、実際には坂道が多く5分では着かないかもしれません。
さらに、老人ホームの周辺環境については、実際に足を運ばなくては知り得ない情報です。どのようなサービスを希望するのかによって、理想とする老人ホームは異なります。パンフレットに記載されている情報だけで判断することは難しいため、入居を決める前に必ず候補となっている老人ホームは見学するようにしましょう。
老人ホーム見学前の準備
何の準備もせずにいきなり老人ホームの見学に行くと、知りたいことの半分も聞かないまま見学を終えてしまう可能性があります。少なくとも以下の3つの準備をしてから老人ホームの見学に行きましょう。
● 老人ホーム見学の申し込みを行う
● 事前にパンフレットに目を通す
● 確認しておきたいことをまとめる
老人ホームでは、申し込みをせずに訪れると、「対応できるスタッフがいない」という理由で見学を断られる可能性があります。何度も足を運ばなくても良いように、事前に見学の申し込みをしてから見学に行きましょう。直接老人ホームに問い合わせるかケアマネージャー経由で、事前にパンフレットを入手して目を通しておきましょう。老人ホームの概要や特徴を大まかに理解しておくことで、的確な質問ができるようになります。直接老人ホームに問い合わせるかケアマネージャー経由で、事前にパンフレットを入手して目を通しておきましょう。パンフレットを入手したら、隅々まで確認し、質問したいことをまとめておきます。ホームページを作成している老人ホームも多いので、インターネットで検索して、現場で確認したいことや聞いておきたいことをまとめておきましょう。
老人ホーム見学時にチェックすべきポイント
老人ホームのパンフレットやホームページに目を通し、見学の申し込みを行ったら、いよいよ老人ホームの見学です。老人ホーム見学の際にチェックすべきポイントを紹介します。
設備についてのポイント
老人ホームでの暮らしやすさは、どのような設備があるかによって左右されます。設備について確認すべきポイントを「居室」と「施設全体」、「浴室」に分けて見ていきましょう。
居室
居室の広さや間取り、日当たりについて確認します。居室によって間取りや日当たりは異なるので、入居が可能な部屋すべてを見せてもらうほうが良いでしょう。次に居室の設備も確認します。介護ベッドの使い心地や収納の多さ、テレビやインターネットを利用できるのか、室内に洗面所があるのかも確認しておきましょう。緊急コールやインターフォンの使い勝手も忘れてはいけないポイントです。何かあったときにすぐにスタッフに連絡ができるようになっているのか、確認しましょう。
施設全体
食堂や娯楽室庭などの共用スペースも確認してください。居室からアクセスしやすいかはもちろんのこと、居心地の良さや一人あたりの面積、椅子やテーブルの備品がきれいに管理されているかもチェックします。廊下や玄関、トイレなどが美しく管理されているか確認しましょう。駐車場から老人ホームにスムーズにアクセスできるのかについても、実際に移動して確認しておきます。
浴室
浴室も確認が必要です。2か所以上浴室がある場合には、すべての浴室を確認しておきましょう。居心地が良く十分なスペースがあるのか、脱衣場は空調設備が整っているのかについても確認します。座位が難しい入居者はどのように入浴するのかについて、スタッフに尋ねてみましょう。老人ホームによっては重度化した場合に備えて、座位が難しい方用の機械浴が導入されていることが多いです。
対応面についてのポイント
設備が整っている老人ホームであっても、スタッフなどの対応に問題があるならば居心地よく過ごすことはできません。また、医療機関との連携や、毎日の食事、機能訓練なども気になります。対応面で確認すべきポイントについて見ていきましょう。
スタッフ
老人ホームの良し悪しはスタッフによって決まるといっても過言ではありません。スタッフに笑顔が多く、積極的に入居者に関わっている様子が見られる場合は、暮らしやすい老人ホームと考えられるでしょう。しかし、スタッフは基本交代制なため、あるときは「感じが良く明るいスタッフが多い」と判断しても、別のときに行くと「ピリピリした雰囲気だなあ」と真逆の印象を持つ場合もあります。できれば2回は見学に行き、スタッフが替わると雰囲気がどう変わるのか確認しておきましょう。
医療体制
急変したときに備えて、医療機関との連携についても確認する必要があります。どの病院と連携しているのか、どのような協力を得られるのかについて老人ホーム側に確認しておきましょう。また、健康観察や健康診断の頻度、看護師は何人常勤で配置されているのかも確認します。
食事
毎日の食事は大切なポイントです。おいしく、体調や病状に合った食事が提供されるのか、メニューは選択できるのかについても尋ねておきましょう。実際に食事の内容を見せてもらったり試食をすると、より理解しやすくなります。入居者にとっても食事は楽しみのひとつなので、必ずチェックしておきましょう。
リハビリ
寝たきり状態を回避し、現在の運動機能を維持・向上させるためにもリハビリについて確認が必要です。リハビリサービスは受けられるのか、また、頻度やリハビリ室についても確認しておきます。できればリハビリの様子を見学させてもらい、機能訓練指導員の指導の様子や患者の取り組み方などもチェックしておきましょう。
レクリエーション
老人ホームでの生活が楽しいものになるためにも、レクリエーションは不可欠です。どのようなレクリエーションを準備しているのか、多くの入居者が参加しやすいようにどのような配慮・工夫をしているのか確認しておきましょう。レクリエーションの頻度についてもぜひ尋ねておきましょう。
複数の老人ホームを見学して比較する
パンフレットやホームページで公開している情報がどんなに素晴らしくても、良い老人ホームとは言えません。必ず老人ホームへ足を運び、ご自身や家族の目で確認するようにしましょう。また、パンフレットなどの情報だけで1つの施設に絞り込んでしまうと、本当に合う老人ホームに出会えない可能性があります。2か所以上のホームを見学し、比較してから納得できる老人ホームを選ぶようにしましょう。
納得のいく老人ホームを選ぼう
老人ホームは、必ず2か所以上の施設に実際に足を運び、ご自身やご家族の目で納得できる場所を選ぶようにしましょう。見学前にパンフレットを取り寄せて、尋ねたい内容を書き出しておくことも大切です。立地や居室、共用スペース、浴室、スタッフ、医療体制などをポイントに分けてリストを作成し、チェック漏れがないように準備をしてから見学に出かけましょう。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。