2021.06.14

トイレ介助(排泄介助)|トイレのリフォームと排泄介助で大切なこと

最終更新日:2021.06.14

同居する家族に介護が必要になると、まず考えなくてはいけないのがトイレ介助です。特に、車いすで生活する際はトイレのリフォームが必要になります。こちらの記事では、在宅介護で不安を抱える方に向け、トイレのリフォームと排泄介助のポイントを解説します。

トイレのリフォームについて

トイレ_リフォーム

在宅介護の現場では、高齢者の身体状況に応じてトイレのリフォームが必要になる場合があります。排泄は日に何度も必要な行為のため、トイレは安心で安全な場所であることが大切です。トイレのリフォームは、高齢者が自分で排泄ができるように環境を整えることがポイント。また、介護者の負担を軽減するためにも、介護度が高いほど一定のスペースが必要です。出入口は広く設計し、扉は開閉しやすいものを選びます。衣類を上げ下げするために、トイレ内は動きやすさを重視すると良いでしょう。足腰に負担をかけないよう、便座は適切な高さを確保。同居する家族にとって、便利で快適な場所であることも大切です。また、スリッパの着脱で転倒しないよう、床材は素足でも冷たくなく、滑りにくい材質が理想的。掃除しやすく清潔が保ちやすい構造であれば、介護者の負担もより一層軽減されるでしょう。

車椅子で入りやすいトイレの設計

車いすで使用するトイレは、一定のスペースを確保することが大切です。特に、トイレ内で介助者が必要な場合には、無理なく介助できる点がポイントとなります。車いすが出入りするためには、最低でも横幅80cm以上の出入り口が必要。ドアはスライドしやすい引き戸が理想的です。安全に出入りするためにも、トイレの出入り口と廊下の段差はなくしましょう。トイレ内で介助者が補助する場合は、便座前方85cm、側方100cm以上のスペースを確保。高齢者本人がつたい歩きやつかまり立ちをする際は、適切な場所に手すりが必要です。便座横につける手すりは座った状態を安定させるだけでなく、車いすへの移乗時にも役立つでしょう。

排泄介助で大切なこと

介護士

排泄介助はなるべく手を出しすぎず、本人に任せてできない部分を手伝うことが大切です。高齢者の自立支援になるだけでなく、プライベートの配慮にもつながります。また、介護現場で重視されているのが「排泄最優先の原則」です。排泄は、生理的現象のためコントロールが難しい行為。そのため、他に何かしていても、要介護者が便意や尿意を訴えた際は最優先でトイレへ案内し、できるだけ自立した形で排泄してもらうことが必要になるのです。「排泄最優先の原則」は、高齢者とともに生活する在宅介護の現場でも重要視される原則。高齢者の中には家族に遠慮して便意をがまんしてしまうケースもあるため、朝食後など排便しやすいタイミングでトイレへ案内するようにしましょう。

排泄介助で心がけること

排泄は生理現象である一方、羞恥心をともなうデリケートな行為です。高齢者と介護者双方が気持ちよく毎日を過ごすためにも、排泄介助の際は以下のポイントを心がけておきましょう。

尊厳を傷つけない

排泄介助でまず注意したいのが「尊厳を傷つけない」ということです。排泄介助は介護負担のひとつでもありますが、同様に、介護される側にとっても心理的・肉体的負担が大きなものになります。特に、排せつの失敗は高齢者本人の自尊心を傷つけることもあるため、常に思いやりの心で寄り添うように心がけましょう。

転倒の注意

限られたスペースで移動し、衣服の上げ下ろしや立ち座りをするトイレは、転倒の可能性が高い場所です。高齢者が自分の力で安全に排泄するためには、トイレ内の環境を整える必要があります。プライベートを確保しつつ排泄時から排泄後まで注意することを忘れず、転倒リスクに備えるように心がけましょう。

こまめな水分補給

高齢者の中には、身体的・心理的負担からあえて水分を控えるケースも見受けられます。しかし、熱中症の心配がある夏場だけでなく、冬場の脱水を防ぐためにも水分補給は必要です。水分不足は便秘の原因にもなるため、健康な排泄のためにも日頃からこまめな水分補給を心がけましょう。

自然な排便をするのに必要な3つの力

健康な排便は高齢者の健康維持につながります。自然な排便を促すために必要な3つの力について、介護者も周知しておきましょう。

直腸の収縮力

便が直腸へと移動すると直腸内が収縮し、その刺激が骨盤神経を伝わり、便意として大脳へ伝わります。この便意を我慢する機会が重なると、やがて刺激を感じにくくなり、慢性的な便秘へとつながってしまいます。健康的な排便を継続するためにも、直腸の収縮による便意を感じるタイミングでトイレに行くことが大切です。

腹圧

大脳から排便の指示が出されると、腹筋が緊張し腹圧が増加します。同時に、肛門括約筋がゆるみ、排便へとつながるのです。体力が低下し腹筋が低下すると、十分な腹圧がかけられず、慢性的な便秘症になる可能性があります。

重力

腸は、重力がかかると活動しやすい仕組みになっています。そのため、便意を促すためには、座位(座った状態)をとるのがおすすめです。起き上がれない場合には、あおむけの状態で腹式呼吸をしたり、直接お腹をマッサージして腸を刺激したりするように心がけましょう。

排泄介助で悩みの方へ

在宅_介護

排泄介助は、高齢者を介護するうえで欠かすことのできないケアです。在宅介護の現場では、高齢者が安心・安全に排泄できることが、介護者の負担軽減にもつながります。そのためには、環境を整えるだけでなく、排泄に関する知識を持ってケアにあたることがポイント。健康の基本である自然な排泄を促し、高齢者も介護者も笑顔で毎日を過ごせるよう心がけましょう。

 

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。