2021.08.23

介護保険でレンタルできる福祉用具 安全性と快適性を高める車椅子付属品|快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2022.08.18
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

車椅子付属品(クッション・ブレーキ)はどんな状態のときに使うべきか

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車椅子付属品のクッションとは、車椅子使用時における座圧を分散するための福祉用具です。座圧の分散だけでなく、姿勢保持のために用いられるケースも少なくありません。ブレーキは、逆転防止用や延長レバーつきなどの種類があります。これらの車椅子付属品は、日常的に車椅子での生活を余儀なくされる方が使うべきアイテムです。特に、長時間車椅子に乗ることが多い方は、身体への負担を軽減し、安全性を確保するためにも車椅子付属品を使用するべきでしょう。

車椅子付属品(クッション・ブレーキ)はどんな悩みを解決することができるのか

 

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利用時のお尻の痛み

車椅子を利用している時間が長くなると、お尻が痛くなることがあります。車椅子によっては座面が硬いものもあるため、座圧が分散されずに痛くなってしまうのです。このような悩みは、車椅子付属品のクッションを利用すれば解消できます。車椅子付属品のクッションは、主に座圧を分散するために用いられます。しっかりとした厚みのものが多く、体重の重い方でもしっかりと体圧を分散させ、お尻への負担を軽減してくれるのです。ただ、クッションはさまざまな製品がリリースされており、使用している素材がそれぞれ異なります。ウレタンフォームやゲル(ジェル)、空気(エアクッション)などがありますが、素材ごとに座り心地が異なるため注意が必要です。

姿勢の乱れや座面の滑り

車椅子利用時に、足が開いてしまう、どちらか一方に両足が寄ってしまう、といったことは珍しくありません。車椅子付属品のクッションは、姿勢保持の役割も担ってくれるため、こうした悩みも解消できます。クッションによっては、座面の形状をお尻や太ももに合わせて設計しており、しっかりとホールドしてくれます。両足を並行にそろえたい、安定した姿勢で車椅子を利用したい、といったケースでは車椅子付属品のクッションがおすすめです。また、座面が滑りにくい設計を採用したクッションもあります。これなら、急ブレーキをかけたときに、体が前に滑る心配もありません。

車椅子利用時のリスク

車椅子には、制動のためのブレーキが備わっています。ブレーキを操作することで、スピードを落としゆるやかに停止することができるのです。しかし、利用者によっては、ブレーキに手が届かないケースも少なくありません。たとえば、片麻痺が生じている方の場合、車椅子に備わっているブレーキに手が届かないおそれがあります。そこで活用したいのが、車椅子付属品の延長レバーです。延長レバーをつけたブレーキなら、手元でブレーキを操作できます。また、逆転防止用のブレーキが備わっている車椅子なら、上り坂などで万が一、手を離しても、車輪が逆転せず安全です。

車椅子付属品(クッション・ブレーキ)利用時の注意点

高齢者

座面の変化に注意

クッションを使用すると、座面の高さが変わります。クッションの厚みの分が高くなるため、座ったとき違和感を覚えてしまうかもしれません。違和感だけでなく、クッションの厚みで操作に支障をきたすおそれもあるため注意が必要です。座面が高くなれば、フットレストへの距離も変わります。フットレストに足をのせられなくなり、利用時に足腰へ負担をかけてしまうかもしれません。アームレストとの距離も変わるため注意しましょう。車椅子付属品のクッションを導入するときは、いきなり外で使用するのではなく、自宅や安全な場所で試験的に使用してみましょう。操作に支障がないか、違和感が強すぎないかを確認し、問題なさそうなら外出時の利用を検討してみましょう。

素材の通気性もチェック

クッションに使用されている素材によっては、蒸れやすいものもあります。このような素材を用いたクッションでは、長時間の車椅子利用時において、お尻や太ももが蒸れてしまい、利用者が不快な思いをしてしまいます。もともと汗をかきやすい方は特に、蒸れにくい素材を用いたクッションを選びましょう。また、頻繁にクッションを汚してしまうおそれがあるのなら、丸洗いできるものを選ぶと便利です。

ブレーキは定期的な点検を

車椅子のブレーキは、車椅子をきちんと制動するための大切な機能です。不具合が生じてしまうと、車椅子が止まらず追突してしまったり、勢いがつきすぎて転倒したりといったリスクが生じます。ときには命にかかわることもあるため、定期的な点検は欠かせません。少しでも不具合がみられるようなら、そのまま使い続けずに、点検を受けましょう。

 

車椅子付属品(クッション・ブレーキ)の種類と選び方

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クッションの種類

一般的なクッションは、ウレタンフォーム素材となります。他の素材に比べ安価で加工しやすいのが特徴です。水分や直射日光(紫外線)に弱く、長時間利用しているとへたりが生じやすい素材です。ゲル(ジェル)素材は衝撃吸収性にとても優れている特徴があります。材質変化が起きにくく、長時間利用しても効果が持続します。通気性にかんしては、蒸れやすいというデメリットがあります。空気圧調整式のエアクッションは、優れた座圧の分散性能があり、長い期間にわたり利用するのであれば、定期的な空気量のチェックが必要不可欠となります。クッション内の空気が動くため不安定に感じる方もいらっしゃいます。体圧分散に優れているのは、空気(エア)、ゲル(ジェル)、ウレタンフォームの順になります。

ブレーキの延長レバーの種類

ブレーキの延長レバーは、片麻痺などで車椅子に備わったブレーキを操作できない方に適しています。手元でブレーキを操作できるため、ブレーキまで手が届かない方にもおすすめです。

車椅子付属品の選び方

クッションを選ぶときは、素材の厚みややわらかさをチェックしましょう。快適性に直結する部分であるため、事前に確認することをおすすめします。また、目的に応じて選ぶことも大切です。姿勢保持のために導入したいのか、快適性を追及するのか、目的によって選ぶ製品が変わります。ブレーキは、安全性を重視して選びましょう。介護保険でレンタルできる車椅子付属品は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に車椅子利用者の症状や状況を相談すれば、適切な商品を何点か選定してくれます。お試し期間なども設けている場合もありますので、安心して選ぶことができます。

まとめ

車椅子付属品のクッションを導入すれば、車椅子利用者のお尻や太ももにかかる負担を軽減でき、快適性を向上できます。また、ブレーキの延長レバーを導入すれば、より安全に車椅子利用ができ、活動範囲も広げられるでしょう。要介護者はもちろん、家族や介護者も安心できるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。