2021.06.02

床ずれ(褥瘡)予防ができるマットレスについて

最終更新日:2022.12.01

介護保険でレンタルできる主な福祉用具(共通)

介護保険を利用すれば、さまざまな福祉用具をレンタルできます。福祉用具の多くは、介護を必要とする方の日常生活をサポートするために用いられますが、身体の機能訓練が可能なものもあります。介護保険でレンタルされることの多い福祉用具としては、マットレスや車いす付属品(クッション・ブレーキ)、介護ベッド付属品などが代表的です。ほかにも、歩行器・体位変換機・スロープ・歩行補助杖・移動用リフト・自動排泄処理装置・認知症老人徘徊感知器などがよくレンタルされています。

マットレスはどんな状態のときに使うべきか

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介護用マットレスは、高齢者や介護を必要とする方の日常生活をサポートするための設計が施されています。多くの製品は、床ずれを防ぐ設計を施しているため、床ずれが頻繁に起きている方が使うべき福祉用具です。また、電動介護ベッドに対応しているのも特徴です。そのため、介護を受けている方が、電動介護ベッドを使用しているのなら、併せて導入するのもよいかもしれません。原則として要介護度2以上の方を対象としていることも覚えておきましょう。

マットレスはどんな悩みを解決することができるのか

床ずれを防止できる

寝たきりの方に多く見られるのが、床ずれです。正式には褥瘡(じょくそう)と呼ばれ、身体の一部が圧迫されることにより、皮膚に潰瘍ができる症状を指します。寝たきりの方に限らず、介護を受けている高齢者や、認知症、麻痺のある方にも起こりやすい症状です。介護用マットレスなら、床ずれの防止が可能です。介護用マットレスは、主にやわらかい素材を使用しているため、寝たきりの状態でも体の一部分へ負担がかかりません。体圧を均等に分散できるため、床ずれ防止に効果的なのです。ただ、やわらかい素材を使用しているため、ベッドの上で動きにくいデメリットがあります。また、人によっては寝心地が悪いと感じることもあるようなので、注意が必要です。

介護ベッドにマッチする

一般的なマットレスは、構造上介護用のベッドに使用するのは向いていません。介護用ベッドの多くは、上半身を起こせるよう設計されているので、一般的なマットレスは曲がらないため使えないのです。一方、介護用マットレスなら、ベッドの動きに合わせて曲がります。そのため、すでに介護用ベッドを導入しているケースで、マットレスや布団選びに悩んでいるのなら、介護用マットレスの導入をおすすめします。

掃除が楽になる

介護を必要とされる方は、ベッドで食事をとるケースが少なくありません。ただ、ベッドで食事をとっていると、どうしても食べ物や飲み物をこぼすこともあり、布団やシーツなどが汚れてしまうこともあります。頻繁に食べ物や飲み物をこぼしてしまうと、布団やシーツをそのたびに洗濯しなければならず、介護者の負担が増してしまいます。介護用マットレスなら、このような悩みも解決できます。介護用マットレスの中には、撥水加工が施されたものもあるからです。撥水加工を施し、なおかつ清拭消毒に対応しているものもあるため、掃除も容易です。こうしたタイプの製品は、湿気に強い設計を採用しているため、基本的に耐久性も問題ありません。

マットレスを利用するメリット

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褥瘡(じょくそう)を回避できる

先ほどすでにお話しした内容でもありますが、最大のメリットは床ずれ(褥瘡)を回避できることです。たかが床ずれ、と甘く考えている方もいるかもしれませんが、重症化してしまうと感染症を合併し、最悪死にいたることもあります。床ずれが重症化すると、皮膚が壊死してしまい、体のさまざまな部分を浸食してしまいます。しだいに皮下脂肪や骨などにも壊死が広がり、そこから細菌に感染するおそれがあるのです。やわらかい素材を使用し、体圧分散効果を高めた介護用マットレスなら、このような心配がありません。すでに褥瘡が確認できているのなら、一刻も早い導入を検討してみましょう。

ベッドの上で動きやすい

一般的なマットレスは、基本的に寝心地を重視して設計されています。そのため、適度な弾力ややわらかさがあり、ベッドの上で動くのにはあまり適していません。健常者なら問題ないのですが、介護を必要とする方にとって、動きにくいのは問題です。寝たきり状態の方は、1日のほとんどをベッドの上で過ごします。食事をするときもベッドの上といったケースが多いため、動きにくいマットレスでは生活が不便になってしまうのです。標準マットレスと呼ばれる介護用マットレスなら、やや硬めの設計を採用しているため、ベッドの上で動きやすい特徴があります。寝返りや起き上がりがしやすく、食事もとりやすいのが特徴です。

介護者の負担軽減

ベッドの上で動きやすい設計のため、介護者の負担を軽減できます。寝返りや起き上がりなどの動作において、介護者のサポートが不要になるケースが多いからです。また、前述した通り、清掃しやすいタイプの製品もあります。このようなタイプの介護用マットレスを導入すれば、介護者や家族が掃除をする手間を少なくでき、負担軽減が期待できます。

マットレスの種類と選び方

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標準型

介護用マットレスは、大きく標準型と床ずれ防止型の2つにわけられます。標準型は、表面がやや硬めに仕上げてあり、ベッドの上で動きやすいことが特徴です。自身で寝返りや起き上がりができる方に向いています。通気性や安定性に優れているのも特徴です。通気性のよい素材を採用した製品が多く、夏場など暑い時期でも汗で蒸れることを防いでくれる効果が期待できます。

床ずれ防止型

やわらかい素材を使用しており、高い体圧分散効果が期待できます。体の一部分に強い負担がかからないため、床ずれ防止に高い効果を発揮してくれます。やわらかいためベッドの上では動きにくく、自分で身体を動かせる方には向きません。自身で起き上がりや寝返りができない方に適しています。

マットレスの選び方

使用する方の身体状況に応じて選びましょう。自分で動ける方は標準型を、動けない方には床ずれ防止型を選ぶべきです。また、製品によってサイズが異なるため、ベッドに合うかどうかを事前に確認しなくてはなりません。確認しておかないと、すでに導入しているベッドに入らない、といったことが起きてしまいます。マットレスの硬さも、製品によって違いがあります。硬さは寝心地にも大きくかかわってくるため、可能なら使用者本人の好みを確認しておきたいところです。

まとめ

介護用マットレスを導入すれば、要介護者は日常生活をより快適なものとできるでしょう。床ずれも回避でき、電動介護ベッドにも対応できるため、日々の生活がより豊かになります。また、介護用マットレスは介護者の負担も軽減してくれます。最小限のサポートで済み、製品によっては清掃の手間を少なくできるからです。このように、介護用マットレスは要介護者と介護者、双方に多大なメリットをもたらしてくれます。介護保険でレンタルできるため、この機会に導入を検討してみませんか?