2021.05.20

介護保険でレンタルできる福祉用具 利用者の安全を確保する介護ベッド付属品|快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2022.08.18
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

介護ベッド付属品はどんな状態のときに使うべきか

高齢者

特殊寝台とも呼ばれる介護ベッドは、介護が必要な方の負担を軽減するためのベッドです。背上げや足上げ、高さ調整など、さまざまな機能が備わっています。介護ベッド付属品は、この介護ベッドに使用する福祉用具の一種で、介護を必要とされる方や、介護者の負担軽減、快適性向上のために用いられます。介護ベッド付属品を使うべきなのは、日ごろから介護ベッドを使用している方です。ベッドの上で過ごすことの多い方、落下のリスクがある方、ベッドで食事をとる方などにおすすめの用具です。

介護ベッド付属品はどんな悩みを解決することができるのか

布団

ベッドからの転落

介護ベッドから転落してしまうと、骨折や打撲などのリスクが考えられます。特に、高齢の方は骨がもろくなっているケースがあり、骨粗鬆症を発症している方ならさらにリスクが高まるでしょう。こうしたリスクを回避するため、介護ベッド付属品のひとつサイドレールが用いられます。サイドレールは、介護ベッドに取り付けて使用する福祉用具です。柵状に設計されたものが多く、利用者の転落や寝具の落下防止などに用いられます。介護ベッドの多くは、サイドレールを脱着できる設計を採用しており、手軽に取り付け、取り外しが可能です。寝具の落下も防げるため、寝ているとき布団が落ちてしまい、体が冷えてしまう心配もありません。よく寝具をベッドから落としてしまう高齢者にも適しています。

食事のしにくさ

寝たきりの方や、自分の力で起き上がれない方は、食事をするのも大変です。介護ベッドで上半身を起こして食事をする場合でも、膝の上やベッド横などに料理を置くため、食べにくいのも事実です。食事のしにくさを解消するには、介護ベッド付属品のテーブルが役立ちます。ベッドのフレームに挿しこめるタイプもあるため、目の前のテーブルに料理を並べて食事ができます。キャスター付きのものが多いため、車椅子と組み合わせて使用するケースも少なくありません。テーブルの片側だけに脚がついたタイプや、サイドレールと組み合わせて使用できるものなど、さまざまな製品がリリースされています。利用者の状況に合わせて選ぶことが大切です。

ベッドの乗り降り

高齢の方や介護を必要とされる方は、ベッドへの乗り降りにも時間がかかります。著しく体力が衰えている方や、体の一部が不自由な方なら、自らの力でベッドへの乗り降りができないケースも珍しくありません。このようなときサポートしてくれるのが、介護ベッド付属品のベッド用手すりです。ベッドの側面に取り付けて使用する手すりで、利用者がベッドへ乗り降りするときの安全性を高めてくれるアイテムです。介護ベッドの多くは、ベッド用手すりを取り付けられる設計となっています。1人で行動できるものの、ベッドへの乗り降りに時間がかかる、転倒しそうになったことがある、といった方に適したアイテムです。介護者の負担を軽減する効果も期待できるでしょう。

介護ベッド付属品の利用時における注意点

介護ベッド

レールを手すり代わりにしない

ベッドの横に取り付けるサイドレールは、あくまで柵として利用するアイテムです。睡眠中における利用者の転落や、寝具の落下などを防ぐことが主な目的です。そのため、サイドレール自体はそれほど強固なつくりになっておらず、手すり代わりにするのはリスクがあります。製品によりますが、多くのサイドレールは2~3本の軸足をベッドの穴に挿しこんで設置します。ベッドへ乗るときにサイドレールを手すり代わりに使ってしまうと、軸足が曲がってしまうおそれがあるのです。そのため、タイミングを崩して転倒してしまうリスクが考えられます。ベッドへの乗り降りをスムーズにしたいのなら、手すりの設置を検討しましょう。

サイドレールのつくりに注意

サイドレールの多くは、柵状のつくりとなっているため、あいだに手足が入りこんでしまう可能性があります。手足が柵のあいだに入りこんでしまうと、体を動かしたときに捻ってしまったり、骨折したりといったことが考えられます。こうしたリスクを回避するには、柵状ではないタイプのサイドレールを選びましょう。製品によっては、板状になったものもあります。これなら、うっかり手足が隙間に入ってしまうこともありません。

移動時に注意

車椅子と組み合わせて使用できるタイプのテーブルは、便利なため移動時に利用する方も少なくありません。自宅や施設内などで車椅子移動をするとき、テーブルもセットで移動してしまうのです。それ自体は大した問題ではないのですが、テーブルの上に飲み物や食べ物などを置いた状態で移動してしまうのはリスクがあります。うっかりこぼしてしまったり、周りの人に迷惑をかけたりといったことが考えられるのです。移動時にはテーブルの上に何も置かないほうがよいでしょう。

介護ベッド付属品の種類と選び方

介護用ベッド

サイドレールの選び方

サイドレールにもさまざまな種類があるため、利用者の状況に応じて選びましょう。たとえば、開閉式スイングアームタイプのサイドレールなら、ベッドへの乗り降り時に手すりとしても利用できます。形状による握りやすさ、使いやすさも異なるため、できれば事前に確認したほうがよいでしょう。寝相の悪い方は、睡眠時に手足が柵のあいだに入らないように、板状のものをおすすめします。

テーブルの選び方

導入する目的を明確にしましょう。テーブルにもさまざまな種類があり、それぞれに特徴があるからです。ベッドの上で食事をするのに利用したいのなら、ベッドフレームをまたげるタイプや、サイドレールにはめ込むタイプがおすすめです。車椅子での移動時にも利用したいのなら、キャスター付きで高さ調整可能なものがよいでしょう。使用しないときのことも考え、収納しやすいサイズかどうかも事前に確認してください。

マットレスの選び方

介護ベッド付属品のマットレスを選ぶときは、素材をチェックしてください。自分で寝返りが打てる、起き上がれるといった方は、硬めの素材がおすすめです。逆に、寝たきり状態の方は、しっかりと体圧を分散させられるやわらかい素材を用いたマットレスをおすすめします。利用者の状況によって選ぶのはもちろんですが、好みも確認したうえで導入を検討してください。

まとめ

介護ベッド付属品を導入すれば、要介護者の安全性や快適性を向上させられます。介護者や家族の負担軽減にもつながるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。やみくもに選ばず、利用者の身体状況や好みなども考慮しながら選んでください。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。