2021.06.16

介護保険料はいくらかかる?実際の費用を紹介

最終更新日:2021.06.16
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

介護保険に対するお金については、介護保険料と介護保険自己負担分があります。まだ介護保険を使っていない方でも、介護保険料を支払っていない方でも、いずれは関わる話になってくるかと思います。ここでは、それぞれに実際どの程度費用がかかるのかご紹介していきます。

介護保険料の費用負担について

日本の介護保険制度では40歳になった年から介護保険料を支払う必要があります。働いている方であれば給料から天引きされる形で徴収されるので、知っている方も多いのではないでしょうか?

①40歳~と65歳からで負担料金が異なる

40歳から64歳までの方を第二号被保険者、65歳以上の方を第一号被保険者と区分をします。第一号被保険者の方が基本的には負担額は大きく、平均をすると月に約5500円負担を負担しています。第二号被保険者の場合は月に約5300円と若干安いことが分かります。月々の金額にするとそこまで高くないと思いがちですが、年間にすると6万円から7万円程かかってきますので、大きな金額であるといえます。

②収入によって負担額が異なる

収入が高いと保険料が上がるのが介護保険の基本であり、介護保険料もその例外ではありません。第二号被保険者の場合は一律ですが、第一号被保険者の場合は、収入によって負担金額の段階が定められています。一例を取ると、東京の杉並区の場合は、全部で14段階あり最も高い段階の場合基準額(上記の5300円)の3倍納めないといけません。反対に収入が低く最も低い段階の場合は標準負担額の3割程度納めるだけでいいのです。収入に応じて保険料額も変わりますので注意が必要です。

③将来的に上がる可能性が高い

高齢者が増加してきている現在、将来的に更に高齢者の数が増加してくることが予想されます。介護保険は40歳以上が納める保険料で成り立っている部分が大きく、高齢者が増加する=介護を受ける方が増える=保険料が大きくなるということが一般的です。そのため、将来的に介護保険料は増加していくことが予想されます。介護保険は創設されてから定期的に保険料の見直しが行われており、見直し内容は毎回増額なのです。

介護保険自己負担額の費用負担について

介護保険自己負担額(以下、自己負担額)は、介護保険のサービスを受けと発生する自己負担の費用になります。そのため、基本的には介護保険サービスを使っている、要介護者や要支援者のみに関係します。自己負担額は具体的にいくらぐらいになるのでしょうか?

①自己負担割合によって大きく異なる

介護保険は創設当初自己負担額は一律で1割でした。しかし、介護保険の財政が厳しくなり、収入が多い方からは多く徴収するようになったのです。収入が低い方は1割、中程度であれば2割、現役世帯なみの収入がある場合は3割となります。つまり10万円分の介護保険サービスを使った場合、1割の人は1万円、2割なら2万円、3割なら3万円となります。1割の方と3割の方を比べるとその差は3倍になりますので、非常に大きな額であるといえます。また、自己負担割合は前年度の収入に応じて決められるので注意が必要です。住宅の売買や株の売買で一時的に所得が上がった場合でも、収入に応じて3割になる可能性もありますので注意が必要です。

②在宅サービスの最大額とは

在宅サービスの場合は、介護保険で利用できる額が要介護度によって決められていますので、最大額を知ることは簡単です。1割負担のケースですが、使える介護サービスを最大限使ったとしたら月々にかかる費用として、要支援1は5032円、要支援2は10531円、要介護1は16765円、要介護2は19705円、要介護3は27048円、要介護4は30938円、要介護5は36217円となります。また、2割負担、3割負担の方はその2倍、3倍支払うことになりますが、高額介護サービス費がありますので、一定の額を超えた分は後から返還されます。思ったよりも多いと感じる方もいますが、これはあくまでも最大分を利用した場合です。ほとんどの方は最大額以下分しか使いませんので、これよりも低くなることが多いです。

③サービスが充実している所は利用料が高い

在宅介護には訪問介護やデイサービス、ショートステイなどのサービスがあります。どこを利用しても同じと考えがちですが、事業所によって利用料が違うことを知っておきましょう。それは加算の関係です。同じサービスを提供しても職員体制が充実している、資格者を置いている、一定のサービス以上のことをしている場合は、事業所は加算を取ることができます。加算を多くとっているところはそれだけサービスも良いといえますが、加算分だけ料金が高くなりますので注意が必要です。例えば、デイサービスの場合を見てみましょう。入浴を実施しているところは、入浴介助加算があり、1日40単位で40円の自己負担が必要です(1割の場合)、個別的なリハビリを実施している場合は個別機能訓練加算がありこれは一日56単位で56円の自己負担(1割負担の場合)、栄養士を置いて栄養状態の改善に取り組むと1回200単位で200円の自己負担(1割の場合、月に2回のみ)かかります。このようにリハビリなど、良いサービスを提供しているところを利用するのは、それなりの加算金を支払う必要がありますので注意しておきましょう。

④自己負担額を抑えるためのポイント

自己負担額を低く抑えたいのであれば、まずは加算をあまり算定していない事業所を選択することです。これをすると大きく変わりますのでケアマネジャーなどに相談をしてみましょう。また、サービス全体の見直しをするのも良いでしょう。例えば、訪問介護であれば時間を短くして料金を抑える。デイサービスでも同じように利用時間を短くする。ショートステイであれば多床室を選択するなど、見直しをすることで自己負担額が減額される可能性もあります。

まとめ

介護保険料には大きく分けて、40歳から負担をする介護保険料と、介護保険サービスを利用した際に負担する自己負担額があります。高齢者が増加してくる現在、その両方共の料金が増額されることが予想されますので、補助金やサービスの見直し、収入の適正な申告などを実施して出来るだけ負担額を減らすことをお勧めします。

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。