2021.11.08

介護保険でレンタルもできる福祉用具 認知症の方の危険を回避する認知症老人徘徊感知器|快適介護用品・福祉用具

最終更新日:2022.05.26
長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

認知症老人徘徊感知器はどんな状態のときに使うべきか

介護

認知症老人徘徊感知器とは、認知症を患っている方の安全を守るための福祉用具です。センサーや赤外線を利用するタイプと、発信機(GPS端末)を携帯するタイプの2種類が代表的です。玄関やベッドなどにセンサーをおき、対象者が動いたとき、玄関を出たときなどに検知し、知らせてくれます。認知症老人徘徊感知器という名称からわかるように、基本的には認知症を患った方の安全を守るために利用します。なお、要支援1・2、要介護1の介護度の方は介護保険でレンタルできないため注意しましょう。

認知症老人徘徊感知器はどんな悩みを解決することができるのか

手

ベッドからの転倒リスク

認知症を患っている方は、思いがけない行動をとることがあります。おとなしく寝ていたと思えば、突然起きてどこかへ出かけようとするケースも少なくありません。認知症を患っているうえに、足腰も衰えている方の場合では、ベッドから降りると転倒しケガをしてしまうリスクが考えられます。認知症老人徘徊感知器なら、こうしたリスクを回避できます。センサーを設置しておけば、ベッドから離れたときに音や光で知らせてくれるため、介護者や家族がすぐ様子を見にいけるのです。

外出によるリスク

認知症の方がひとりで外出してしまうのは、さまざまなリスクがつきまといます。自宅の場所がわからなくなり迷子になる、交通事故に遭う、他人に迷惑をかけてしまうなどです。利用者の方が危険なのはもちろんですが、他人に害を加える可能性もゼロとは断言できないため、認知症を患った方がひとりで外出するのはリスクが高いといえるでしょう。認知症老人徘徊感知器を導入し、センサーを玄関に設置すれば、利用者が外出するのを未然に防げます。たとえ玄関を出たあとだったとしても、初期段階で気づくことができれば、すぐに対応できるため危険を回避できるのです。

介護者の負担

前述したように、認知症を患った方がひとりで外出してしまうのは、さまざまなリスクがつきまといます。そのため、認知症の方が知らないうちに外出してしまうと、家族や介護者は家の外を探し回らなくてはなりません。認知症の方は、自分がどこに向かっているのかすらよくわかっていないことも多く、家族や介護者が追跡するのは困難です。認知症でも身体は元気といった方はいるため、そのような場合では思いがけないほど遠くへ行ってしまう可能性もあります。認知症老人徘徊感知器を利用し、外出の兆しを察知できれば、未然に防げるため、介護者や家族が外を探しまわる手間がかかりません。大幅な負担の軽減が可能です。

認知症老人徘徊感知器の利用時における注意点

高齢者_夫婦

スイッチや電源を確認

認知症老人徘徊感知器は、電源を必要とする機器です。電池やコンセントからの電源が必要で、機器にはスイッチが設けられています。設置の際には、きちんと電源コードや電池の有無をチェックし、動作確認も済ませましょう。当たり前のことですが、スイッチが入っていない、電池が切れている、コンセントから抜けている、といった状態では機能してくれません。知らず知らずのうちに電源コードが抜けていたり、電池が切れていたりする可能性もあるため、定期的な確認をおすすめします。

見破られてしまう可能性がある

認知症を患っている方の中には、センサーが設置されていることに気づく方もいます。センサーが反応すると家族が来てしまうと理解している方なら、巧みにセンサーを避けて自宅を抜け出そうとするケースも考えられるのです。センサーの設置場所に気づいている方なら、電源コードを抜く、スイッチを切るといったことも考えられます。このようなことが起きないよう、センサーの設置場所にも十分注意しましょう。もし、そのようなことをしそうな方の場合は、見つからないように隠して設置することも考えなくてはなりません。

尊厳を傷つけない

認知症の初期段階なら、まだ記憶障害も少なく、しっかりしているケースが多くあります。このような方の場合、自分が認知症であることを認めたがらない傾向があり、認知症老人徘徊感知器を設置されることに不快感を示すことも考えられます。利用者が携帯する、発信機(GPS端末)タイプの機器にしても、持たせようとすると尊厳を傷つけられたと感じるかもしれません。たとえ認知症であっても、ひとりの人間であり感情があります。発信機(GPS端末)を持たせるときも、どうすれば尊厳を傷つけずに携帯してもらえるか考える必要があります。

認知症老人徘徊感知器の種類と選び方

高齢者

テクノスジャパン「家族コール3B・スマート」HKSM-3B

認知症のご家族へおすすめの徘徊感知器_家族コール3B・スマート

マットにセンサーが仕込まれているタイプです。主に、ベッドの横へ設置するケースが多く、利用者がベッドから離れたときに音や光で知らせてくれます。足腰が衰えている方で、自宅内でも転倒などのケガをしてしまうリスクがある方なら、センサーマットタイプが適しています。また、ベッドのマットレス上にセンサーを設置する製品なら、起き上がったときに通知があるため、利用者の状況に応じて使い分けましょう。 

家族コール3B・スマートについて詳しく見る

テクノスジャパン「家族コールワイド・D」HKW-1D

認知症のご家族へおすすめの徘徊感知器_家族コールワイド・D

玄関やドアにセンサーを設置し、利用者が通過したときに知らせてくれるタイプです。身体が自由に動かせる方で、比較的アクティブな方に適した機器です。製品によっては、複数のセンサーがセットになったものもあるため、玄関だけでなく屋内のドアや勝手口などにも設置できるものや、Wi-Fiに接続し画像などをスマートフォンやタブレットに動作を察知した時に知らせてくれものもあります。設置時には、人が通過したとき、きちんと作動するかどうか確認しておきましょう。

家族コールワイド・Dについて詳しく見る

発信機(GPS端末)タイプ(福祉用具貸与なし)

利用者が携帯するタイプの認知症老人徘徊感知器です。小型の発信機(GPS端末)を携帯し、ご家族や介護者のスマートフォンやタブレットなどで位置情報の確認ができます。特定の場所から50m刻みでエリアを設定できるので、そこへの出入りが確認されると、通知が届く機器もあります。利用者が素直に携帯してくれれば問題ないのですが、携帯してくれないときはお守りに入れる、衣服に縫い付けるなど工夫しましょう。また、靴の中へいれて使用できる端末もあります。素直に携帯してくれる場合でも、うっかり捨ててしまう、紛失してしまうおそれがあるため、そのあたりも考えなければなりません。

まとめ

認知症老人徘徊感知器を導入すれば、認知症を患った方の安全を確保できます。転倒や外出時の事故、迷子といったリスクを回避でき、なおかつ介護者や家族の負担も軽減できます。ひとりで外出してしまい、なにか起きてからでは遅いため、認知症を患った方に、なるべく早めの導入を検討してみましょう。

長谷川 大祐
介護福祉士、福祉用具専門相談員、住環境コーディネータ2級

福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。