2021.08.09

高齢者の胸痛・腹痛について対応方法をご紹介

最終更新日:2021.08.09

急激な胸痛や腹痛は命に関わる病気の可能性

高齢者_腹痛

胸痛や腹痛の原因はさまざまです。放置しても問題ないケースもあれば、ときに重大な疾患を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。特に、高齢者の胸痛や腹痛は、命に関わる可能性があることを理解しておきましょう。本記事では、高齢者の胸痛・腹痛で考えられる病気の種類、具体的な対応方法などを解説します。

胸痛で疑われる病気

心臓の病気

数ある臓器の中でも、心臓は全身に血液を送るポンプの役割をもつとても重要な臓器です。心臓の病気にもさまざまな種類がありますが、代表的なのは狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心不全などが挙げられます。狭心症や心筋梗塞は、虚血性心疾患とも呼ばれ、発作に起因して突然死してしまうケースも少なくありません。

血管の病気

血管は、人体の中を無数に走る血液の通り道です。血液は人間の生命活動に必要不可欠なものであるため、血管の病気に起因して死にいたるケースも少なくありません。代表的な血管の病気としては、大動脈瘤や大動脈解離などが挙げられます。これらの動脈疾患は、高齢化社会の現代において急増しているといわれています。

食道の病気

食道とは、食べ物や飲み物を胃に運ぶための道です。喉と胃を結んでいる臓器であり、頸部食道、胸部食道、腹部食道などがあります。食道関連の病気には、食道がんや逆流性食道炎、食道アカラシアなどがあり、ほかにも食道静脈瘤、マロリーワイス症候群などもよく知られています。

胸部消化管の病気

逆流性食道炎がもっともよく知られています。胸やけやげっぷ、胸の痛みなどのほか、咳や喘息などの症状が出ることもあります。逆流性食道炎をそのまま放置してしまうと、バレット食道を引き起こしてしまい、やがて食道がんを発症するおそれがあるといわれているため、注意が必要です。症状が確認できたときは、早めの診察が望ましいでしょう。

骨の病気

骨は、人体を構成する骨組みです。骨に関連する病気も多く、変形性膝関節症や椎間板ヘルニア、関節リウマチなどがよく知られています。また、骨がもろくなってしまう骨粗鬆症や、骨軟化症など、挙げるときりがないほどたくさんあります。特に骨粗鬆症は、骨がもろくなるため、高齢者にとっては危険な病気であることを覚えておいてください。

腹痛で疑われる病気

胃潰瘍

高齢の方に限らず、若い方でも発症することの多い病気です。原因としては、ピロリ菌への感染と非ステロイド性抗炎症薬の服用が挙げられます。進行具合により症状が異なりますが、初期から痛みを生じるケースも少なくありません。症状がさらに悪化してしまうと、出血や吐血、貧血などを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

十二指腸潰瘍

胃の内部で分泌された胃液が、胃壁を浸食しダメージを与えることにより発症します。十二指腸の内部は、ダメージを受けないように粘膜が守ってくれていますが、何らかの理由で粘膜の機能が低下してしまうと炎症を生じてしまいます。みぞおち部分へ強い痛みや吐血などの症状が見られ、出血量が多いケースでは貧血になることも珍しくありません。

腸閉塞

腸の中に、消化された食べ物や消化液などが詰まってしまう状態を腸閉塞と呼びます。外部からの圧迫やねじれなど、腸閉塞になってしまう原因はいくつもあります。放置すると腸がどんどん張ってしまい、強い痛みを生じることがほとんどです。また、吐き気や嘔吐を伴う腹痛も、腸閉塞の代表的な症状です。

虫垂炎

虫垂に炎症が生じる病気です。10~20代に発症することの多い病気ですが、高齢者がかかることも少なくありません。発症すると強い痛みが出て、放置してしまうと腹膜炎へと進行してしまうこともあります。そこから敗血症へとつながるおそれもあるため、決して甘く見てはいけない病気のひとつです。

急な胸痛の対応

介護

胸痛の原因がはっきりわからない以上、素人ができることは多くありません。特に胸痛を伴う病気には、心臓や血管に関わるものもあるため、対応の遅れが命に関わることも十分考えられます。こうした理由から、急な胸痛を訴えたときはなるべく早めに、医師の診断を受けましょう。深夜や早朝の時間帯に胸痛を訴えたとき、病院が開院するまで様子を見る方もいますが、これでは手遅れになってしまうおそれがあります。冷や汗が出ており、強い痛みを訴えているようなら、一刻の猶予もありません。このケースでは、すぐにでも救急車呼びましょう。受診するときには、以前から胸痛を訴えていたことがあるのか、痛みを訴え始めたきっかけはなんだったのか、などをきちんと伝えてください。

急な腹痛の対応

介護

痛みが少ないようなら、姿勢を変えてあげることで痛みを和らげることができるかもしれません。仰向けに寝た状態で膝を立て、上半身を起こし、やや前にかがむような姿勢がもっとも楽といわれています。苦しくない、痛みの少ない姿勢を探りながら変えてあげましょう。激しい痛みを訴えているのなら、何かしら重大な病気が発症している可能性があるため、なるべく早めに病院で診察を受けてください。早朝や深夜の時間帯なら、救急車を呼びましょう。なお、介護を受けている高齢者は、腹痛が生じていても我慢してしまう方が少なくありません。痛みに対し鈍感になっている方もおり、なかなか自己申告しない方もいます。顔色や素振りなどをチェックし、周囲の人が判断してあげてください。

介護者が注意すべきこと

高齢者_手

高齢者介護で大切なのは、ムリをしないことです。介護者が医療に精通しているのならともかく、そうでないのなら少しでも早めに医療機関で診察を受けるべきです。無理に自分たちで何とかしようとするのは、リスクが高いため注意してください。高齢者の中には、救急車を呼ばれることを嫌がる方もいます。恥ずかしい、近所の迷惑になってしまう、と考え救急車を拒否する方もいますが、そのようなことは聞いていられません。強い痛みが生じているのなら、命に関わる可能性があるため、迷わず救急車を呼びましょう。

東海林 さおり
看護師
看護師資格修得後、病棟勤務・透析クリニック・精神科で『患者さん一人ひとりに寄り添う看護』の実践を心掛けてきた。また看護師長の経験を活かし現在はナーススーパーバイザーとして看護師からの相談や調整などの看護管理に取り組んでいる。