2021.09.01

在宅介護とは?実際にかかる費用について解説

最終更新日:2021.09.01

自己負担の仕組み

介護保険制度では、高齢者がサービスを利用した場合、利用料を支払うことが原則となっています。利用料は高齢者の収入によって、1割負担から3割負担まで区分されており、その割合は前年度の所得に応じて決定される仕組みとなっています。

在宅介護サービスにかかる費用

それぞれの在宅介護サービスには、国が定めた介護報酬単価にもとづいて利用料が決まっています。要介護度や提供時間、地域区分や事業所の体制によって細かく報酬が設定されていますので、ここでは、「要介護3の山田さん(仮名)」がサービスを利用した場合を想定して、どのくらい利用料金がかかるのか、を具体的に紹介します。なお、算定基準は介護給付費単位数等サービスコード表(令和元年10月施行版)に基づきます。

訪問介護(ホームヘルプサービス)

山田さんが訪問介護サービスを受けた場合、以下のとおりとなります。なお、訪問介護は要介護度による介護報酬の設定ではなく、サービス提供時間により単価が定められています。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
(身体介護)週に1回ホームヘルパーさんに入浴、食事、トイレなどの介助を30分以上1時間未満受けた場合 396円
(生活援助)週に1回ホームヘルパーさんに買物、掃除を20分以上45分未満手伝ってもらった場合 183円

訪問看護

山田さんの自宅に、かかりつけ医の指示のもと看護師が訪問し、医療ケアをおこなうサービスです。事業所の形態によって、単価が異なります。訪問介護同様、基本的に看護師が一人で訪問看護をおこないます。訪問看護の介護報酬は、要介護度による介護報酬の設定ではなく、サービス提供時間により単価が定められています。緊急時や終末期の看取りまで対応してくれる事業所がありますが、別料金となります。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
訪問看護ステーションによる訪問看護の場合
30分以上1時間未満の場合 821円
緊急時訪問看護加算 574円/月
病院または診療所による訪問看護の場合
30分以上1時間未満の場合 573円
緊急時訪問看護加算 315円/月

訪問入浴

山田さんの身体状態や環境上の理由で自宅で入浴することが必要な場合、入浴設備を備えた車が、山田さんの自宅に浴槽を積んで訪問します。訪問入浴サービスは看護職員1名と介護職員2名によりサービス提供することが定められており、訪問入浴の介護報酬は、要介護度による介護報酬の設定ではなく、サービス提供回数により単価が定められています。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
訪問入浴サービス 1,260円

訪問リハビリ

山田さんの自宅に理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフが訪問してリハビリをおこないます。日常生活の場面でリハビリを行なうので、具体的な生活動作の訓練や改善につながります。

1単位10円の地域で、 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
訪問リハビリテーション 307円

居宅療養管理指導

医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士又は歯科衛生士等が、通院が困難な利用者の自宅を訪問して、心身の状況や生活環境等を把握し、住み慣れた自宅で生活できるよう療養上の管理及び指導を行います。なお専門職に応じて、訪問回数や単価が異なっています。

サービス内容 訪問回数 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
医師・歯科医師 月2回まで 514円
薬剤師(病院又は診療所) 月2回まで 565円
薬剤師(薬局) 月4回まで 517円
管理栄養士 月2回まで 544円

通所介護(デイサービス)

山田さんがデイサービスの送迎により自宅から外出し、その事業所において、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受けることがデイサービスの内容となります。実際は事業所によって定員やサービス提供時間により介護報酬が異なっています。ここでは、6時間以上7時間未満のサービス提供時間で運営している通常規模型通所介護をもとに紹介します。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
通所介護費(6-7)・要介護3 792円

なお、通所介護の場合は、入浴介助加算Ⅰ(40円)Ⅱ(55円)や個別機能訓練加算Ⅰ(46円)Ⅱ(56円)、栄養改善加算(200円)など、様々な加算が事業所により提供されます。また、介護報酬とは別に自費として食事代(約600円前後)がかかる場合があります。

通所リハビリテーション(デイケアサービス)

山田さんが事業所の送迎サービス等により自宅から外出し、その事業所で理学療法士や作業療法士などによりリハビリを受けられるサービスを通所リハビリテーションといいます。事業所は、主に介護老人保健施設や、病院、診療所などの施設に併設されているところが多くみられます。また事業所によって定員やサービス提供時間により介護報酬が異なっています。ここでは、6時間以上7時間未満のサービス提供時間で運営している通常規模型通所介護をもとに紹介します。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
通所介護費(6-7)・要介護3  974円

なお、通所介護同様に入浴介助加算Ⅰ(40円)Ⅱ(60円)や栄養改善加算(200円)、リハビリテーションマネジメント加算(330円/月)などの別加算によりサービス内容が異なります。また、介護報酬とは別に自費として食事代(約600円前後)がかかる場合があります。

短期入所生活介護

短期入所生活介護は、特別養護老人ホームなどの専用ベッドもしくは空きベッドに、数日間入所して介護サービスを受けることをいいます。また、そこでは食事や機能訓練、入浴などの介護サービスを24時間を受けることができます。利用する部屋のタイプや施設環境によって費用が異なります。今回は山田さんが、特別養護老人ホームに併設されているショートステイを利用した場合を想定してご紹介します。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
特養併設型・多床室 724円
特養併設型・従来型個室 724円
ユニット型個室
(全個室・スタッフ固定タイプ)
824円

このほかに、個別機能訓練加算や送迎加算(184円/回)などの費用と合わせて、個室使用料や食事代といった実費がかかります。事業所によって、加算の有無や個室料、食事代の金額は異なります。

短期入所療養介護

短期入所療養介護は介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所して、食事や機能訓練、入浴などのサービスを受けるサービスのことです。短期入所生活介護と比べて看護職員の配置が手厚いので、医療ケアや24時間の介護サービスが受けられます。今回は山田さんが、老人保健施設に併設されているショートステイを利用した場合でご紹介します。

サービス内容 1単位10円の地域で、
自己負担額が1割の場合(円/回)
老健併設型・多床室 939円
老健併設型・従来型個室 861円
ユニット型個室
(全個室・スタッフ固定タイプ)
943円

このほかに、個別機能訓練加算や送迎加算(184円/回)などの費用と合わせて、個室使用料や食事代といった実費がかかります。事業所によって、加算の有無や個室料、食事代の金額は異なります。

居宅介護支援

紹介した在宅介護サービスを調整する介護支援専門員(ケアマネジャー)への相談、プラン作成や訪問費用について、利用者の自己負担はありません。また、要介護度の申請や変更、要介護認定の新規または更新に関する調査についての費用を負担する必要はありません。

まとめ

これらの在宅サービスについて、介護支援専門員はご利用者にとって必要なサービスを、必要な回数だけ組み合わせてマネジメントします。しかし、介護保険制度では要支援・要介護に応じて利用限度額が設定されていますので、限度額を超えてサービスを利用する場合は、利用限度額を越えた分は自己負担(10割負担)となります。

介護度 利用限度額 自己負担額
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

 

増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。