家庭で、高齢の方を介護していると精神的にも肉体的にもきつくなって来ます。近年はだいぶ少なくなってきましたが、嫁である以上家で介護しなければならないという風潮も事実まだあります。家庭での介護をする中で、辛くなるのが認知症でもあります。認知症とは、脳の機能低下により、記憶や思考に対して影響が出る病気です。これから、認知症についての簡単な説明と、診断時の注意点を解説して行きます。
目次
どのように診断するの?
もの忘れイコール認知症ではありません。例えば、入院していて退院したらもの忘れがひどくなった。という事もあります。認知症の場合もありますが、一次的な機能低下や混乱の症状で起こっている事もあります。認知症で無い場合は、一次的な為次第に元に戻る事もあります。
認知症の診断は、検査と診察を元に医療機関で医師の診断が必要です。具体的には、認知機能に対する検査、運動と感覚を含めた脳神経の異常の診察が行われます。
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
認知症の中で一番症例が多いものです。男性より女性に多く見られる傾向があります。脳質が拡大すると言われ、脳が委縮してしまう事で症状が現れます。症状としては、短期記憶と呼ばれる新しい記憶を覚えておく事が難しくなります。具体的には、食事をした事やトイレに行った事を忘れてしまい確認を繰り返す事等が日常生活では多く見られます。
ADLと言われる日常生活動作の身体機能には直接影響が無い事が多いです。
レビー小体型認知症
認知症の中で、アルツハイマー型認知症に続き二番目に多いと言われています。主に65歳以上で出現する事が多いですが、30歳以上で症状が起きる事もあります。女性より男性に多く見られる傾向があります。タンパク質が神経細胞に溜まりレビー小体が出来る事が原因となります。運動機能や認知機能に障害が出ます。パーキンソン病と似て、手足の震えや歩行困難などの症状もあらわれます。また、幻視や幻覚の症状があわられる事もあります。
脳血管性認知症
脳血栓(脳の血液が固まりつまる)や脳出血(脳の血管が破れる)を原因として発症します。日によって、症状に波があります。その為、「なんで今日は分からないの?」と介護者が混乱してしまう事があります。感情に波がある事も多く、急に怒ったり泣いたりする事もあります。
医療診断
アルツハイマー型認知症
問診により、現状を医師が把握します。この問診は、本人だけではなく一緒に暮らしているご家族からも状況を聞き取ります。神経心理検査検査で認知機能を確認します。その後、画像検査を行います。画像検査では、脳の委縮があるか確認が行われます。
レビー小体型認知症
他の認知症とは違い、脳の委縮が目立たない傾向があります。その為、画像診断では判断できない事が多くあります。医師の問診によって、状況を聞き取った後に認知機能検査を行います。幻視・認知機能変動・パーキンソン症状・睡眠時行動異常の中で、2つ該当しているとレビー小体型認知症と判断されます。SPECT検査では、脳の血流とドパミン神経細胞の減少を確認できます。
脳血管性認知症
頭部のCTやMRI等の画像診断を行います。その中で、認知機能に影響する前頭葉・側頭葉・後頭葉・視床・海馬等で脳梗塞があるか確認します。脳梗塞を起こしていなくても、血流が減っている事で症状があらわれる事もある為、必要に応じて血管の状況を調べる検査も行われます。脳血管障害の原因となる生活習慣病に対して、血液検査・コレステロール・中性脂肪等の検査も行われます。
医療診断時の注意点
診察前
適正な診断をしてもらうためには、診察時はなるべくいつもと変わらない状態で痛いものです。その為、前日はなるべく休息を取り落ち着いて診察に臨む事が必要です。画像検査や血液検査での影響は少ないですが、問診や認知機能検査には緊張や過度な不眠は影響を及ぼします。しかしながら、認知機能の障害により不眠や精神不安定がある場合は神経質になって早く寝てもらおうとして介護者が疲れきる事はありません。
診察中
医師の前では、適度な緊張も影響して問診や検査時に家と違う様子になる事があります。私自身も、初対面や慣れていない方と接する時は緊張して取り繕ったり良く見せようとする事があります。例え認知症が疑われる方でもそれは変わらない事があります。問診では特に、いつもと違う所は家族が補足する事が必要です。唐突に補足すると、その方の自尊心が傷ついたり怒ってしまったりする事も想定される為、受診者の様子を見ながら補足するのが良いでしょう。医師もプロなので、配慮してくれますが受診者の前で言いにくい事は本人のいない場面で伝える等すると良いでしょう。
おわりに
家庭で介護すると、身体的・精神的な負担は多いです。認知症状があらわれると、同じ事を何度も言わなければならないという精神的負担は特に増大します。認知症と言っても、これまで紹介したようにさまざまな症状があります。その認知症にあった治療や処方を受ける事がとても大切です。現在は改善はなかなか難しいと言われていますが、進行を遅らせる為の治療が確立されつつあります。その為、介護サービスも上手く使いながら認知症の方も介護者も負担が少なく生活できるようになりたいものです。
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多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。