2022.02.07

ケアマネージャーとは|探し方や相談できること、悪いケアマネージャーの対応方法を紹介

最終更新日:2023.11.09
増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

ケアマネージャーとは?

介護

ケアマネージャーとは、介護に関わる職種のひとつです。正式には介護支援専門員ですが、一般的にはケアマネ、ケアマネージャーと呼ばれます。ケアマネージャーは、居宅介護支援事務所や老人ホーム、地域包括支援センターなどで業務を行うことが一般的です。ケアマネージャーの業務は多岐にわたり、要介護認定の調査や要介護認定の申請代行、課題分析などがあります。メインとなる業務はケアプランの作成で、利用者が適切な介護サービスを受けられるよう計画を立てます。ケアマネージャーは、利用者や介護者からヒアリングを行い、現状の把握や課題の抽出を行いつつケアプランを考えます。つまり、利用者にマッチしたサービスを受けられるかどうかは、ケアマネージャーにかかっているといっても過言ではないのです。

ケアマネージャーに相談するには?

介護
適切な介護サービスを受けるためにも、まずはケアマネージャーに相談しなければなりません。では、いったいどうすればケアマネージャーに相談できるのでしょうか。ケアマネージャーは、主に地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に在籍しているため、そこへ相談するのはひとつの手です。また、かかりつけ医に相談する、ケアマネージャーを知っている友人や知人に話を聞くといった手もあります。地域包括支援センターなら、介護に関するさまざまな相談を無料で受け付けているため、まずはここで相談してみてはいかがでしょうか。

ケアマネージャーの選び方・チェックポイント

ケアマネージャーを選ぶときは、経験が豊富かどうかをチェックしましょう。ケアマネージャーには、介護や医療、福祉など幅広い専門知識が求められます。また、適切な提案をするには経験も必要であるため、過去の実績や経歴を含め確認することをおすすめします。利用者や家族の親身になって相談にのってくれるかどうかも大切なポイントです。適切な介護サービスを提案するには、利用者や家族の気持ちをきちんと聞きとらなくてはなりません。一方的に考えやサービスを押し付けようとするケアマネージャーは避けたほうがよいでしょう。ケアマネージャーとは長い付き合いとなるため、信頼関係を築けるかどうかも重要です。利用者本人と家族とでは態度が変わるような方では、到底信用できません。安心して任せられる、裏表のない人を選びましょう。

ケアマネージャーとの関わりで注意するポイント

ケアプランを作成してもらうとき、ケアマネージャーに丸投げしてしまう方がいますが、これはNGです。たしかに、ケアマネージャーは介護に関するプロですが、介護サービスは利用者に即したものでなければなりません。丸投げしてしまうと、利用者に適したサービスを受けられない可能性があります。介護のプロだから、と丸投げするのではなく、きちんと考えや要望を伝え、話し合いの中で介護プランを決めなければなりません。また、無茶な要求をし過ぎるのもNGです。介護のプロだからといって、何でもできるわけではありません。あまりにも無茶なことばかり要求してしまうと、信頼関係を築けず理想的な介護サービスも受けられないおそれがあります。

ケアマネージャーに相談できること

介護
介護に関するさまざまな相談が可能です。高齢家族の介護で困っていること、介護サービスについてよくわからないことなど、さまざまな相談に対応してもらえます。また、介護認定をはじめとした、さまざまな介護関連の申請手続きを代行してもらえます。また、高齢者や介護サービス利用者の状況によっては、医療機関との連携も図ります。医療機関の医師や看護師と連携し、情報伝達や相談により高齢者や要介護者の生活をサポートするのです。

相談事例

高齢で介護が必要な家族をもつAさんは、どこに相談すればよいのか悩んでいました。知人に地域包括支援センターのことを聞いて、さっそく最寄りの施設で相談したそうです。そこでケアマネージャーの方から丁寧なヒアリングをしてもらい、介護保険サービスを利用するための計画をいろいろと提案してもらいました。介護制度に関する申請手続きをしようとしていたBさんでしたが、手続きが複雑でわかりにくかったため、しばらく放置していたそうです。しかし、このままではいつまで経っても制度を利用できないと思い、知人から紹介されたケアマネージャーに相談しました。その結果、ケアマネージャーが申請書類を用意してくれて、記入の仕方まで丁寧に教えてくれたそうです。市役所へ書類を提出するときも、Bさんに付き添ってくれたようで、不安はなかったとのことでした。

ケアプラン作成後のケアマネージャーとの関係

ケアプランが完成したら、ケアマネージャーとの関係が終了するわけではありません。利用者や家族の状況は変化するため、そのときどきに応じてプランの内容を更新しなければならないからです。そのため、ケアマネージャーはケアプラン完成後も、定期的に利用者のもとを訪問します。利用者の心身や取り巻く環境などに変化があったときは、必要に応じてケアプランも変更するのです。最初にケアプランを作成するときよりも、完成後のほうがケアマネージャーとの関りは増えるでしょう。だからこそ、担当のケアマネージャーとはよい関係を築かなければならないのです。

悪いケアマネージャーとは

男性
自宅で父親の介護をしているAさんは、担当のケアマネージャーと性格が合わないと悩んでいたそうです。父親は自宅での介護を望んでいたため、Aさんも頑張って介護をしていたのですが、ケアマネージャーからは「どうして施設にいれないのか」「もう自宅で介護するのは難しいのでは」と心無い言葉をかけられたそうです。また、母親の介護をしていたBさんもケアマネージャーとのトラブルに巻き込まれた1人です。あまり話を聞いてくれないケアマネージャーだったようで、Bさんがいくら要望を伝えても「それはムリです」と却下されることばかりだったそうです。一方的に考えを押し付けられて精神的にも参ってしまったそうです。自宅で親の介護を続けていたCさんは、よかれと思ってやったことをケアマネージャーに怒られてしまったそうです。些細なことだったそうですが、「私に黙って勝手なことをしないでください」と強い口調で叱られてしまったようです。

悪いケアマネージャーの変更

ケアマネージャーは変更できるため、悪いケアマネージャーに出会っってしまった!と思ったときはほかのケアマネージャーに変えましょう。実際、もともと担当していたケアマネージャーを変えた、といったケースは多々あります。直接、ケアマネージャー本人に「ほかの人と変わってほしい」と伝えることも可能ですが、おそらく現実的ではないでしょう。基本的には、現在の居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどへ相談します。ケアマネージャーを変えることはそう珍しいことではないため、居宅介護支援事業所の担当者や地域包括支援センターの窓口で相談すれば、応じてもらえます。変更したい理由を聞かれることもありますが、正直に「悪いケアマネージャー」だったと話して問題ありません。性格が合わない、態度が悪い、こちらの話を聞いてくれないなど、感じたことを素直に伝えましょう。ケアマネージャーとの関係がストレスになっては、利用者も介護者も日々の生活を楽しく送れません。ムリにケアマネージャーへ合わせる必要はないため、どうしても合わないときは変更する方向で行動を起こしましょう。

まずは気軽に相談してみよう

ケアマネージャーは介護に関するプロですが、利用者や家族のことをきちんと考えてくれる人を選ぶことが大切です。親身になって話を聞いてくれる、経験豊富なケアマネージャーなら安心して任せられるでしょう。また、本記事でもお伝えしたように、合わないケアマネージャーは変更できます。質の高い介護サービスを受けるためにも、自分たちに合ったケアマネージャーを見つけてください。

身近に相談できる人がいない場合には、「介護の広場」がおすすめです。介護の悩みを持つ方たちが日ごろの悩みを投稿し、介護の経験のある一般の方や専門家からの回答がいただけます。

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増田 高茂
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。