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介護用品・福祉用具をレンタルするには⁉
車いすや介護ベッドなどの介護用品・福祉用具が必要になった場合、購入かレンタルのどちらかになります。ただし、購入では介護保険が利用できないため、導入費用を抑えたいときはレンタルを活用してみましょう。レンタルであれば、介護保険の適用で1か月のレンタル料金が1~3割の負担に抑えられます。介護用品・福祉用具をレンタルするためには、まず介護認定を受けなければなりません。お住まいの自治体の窓口から介護認定を申請し、調査や審査会を通過すれば要支援や要介護に認定され、介護保険のサービスの利用や給付を受けられるようになります。
レンタルすることができる介護用品・福祉用具の種類
介護保険を使ってレンタルできる介護用品・福祉用具は、13品目あります。注意点は、すべての品目を誰でもレンタルできるわけではありません。レンタルできる介護用品・福祉用具には適用基準があるので、利用者の基準に合わせて利用制限があるのです。では、具体的にどのような介護用品・福祉用具をレンタルできるのか、種類や対象者を見ていきましょう。
手すり
手すりは歩行や立ち上がりをサポートするための介護用品・福祉用具です。要支援1・2、要介護1以上の方がレンタルできます。廊下やトイレ、お風呂場などの壁に固定されたものをイメージするかもしれませんが、レンタルで提供されるものは取り付けに工事をともなわないタイプになります。手すりには据置型や突っ張り型があり、設置する場所や目的に応じて選びましょう。複数の手すりを組み合わせて使えるものもあります。
歩行器
歩行器は、歩行に支障がある方の機能を補うための介護用品・福祉用具です。要支援1・2、要介護1以上の方がレンタルできます。レンタルの対象となる歩行器は、移動する際に体重を支えられる構造でなければなりません。同時に、車輪を有するタイプは身体の前や左右に掴む把手があること、四脚を有するタイプには上肢で持って移動させられるものと、いずれかの条件を満たしている必要があります。シルバーカーは対象外なので注意しましょう。
歩行補助杖
歩行補助杖は、歩行困難な方が歩行機能を改善するために使用する介護用品・福祉用具です。歩く時に障害がある足への負担が軽くなるので歩きやすくなり、歩行距離を延ばしたり、歩行速度を早めたりできます。要支援1・2、要介護1以上の方がレンタルできます。歩行補助杖にはいろいろと種類があります。レンタル可能なものには、サイドウォーカーや松葉杖、3~4本脚の多脚杖、ロフストランドクラッチなどが挙げられます。ただし、T字杖のような一脚杖はレンタルの対象外です。
車いす
車いすは身体的な障害などを理由に歩行が困難な方が利用する介護用品・福祉用具です。要介護2以上の方がレンタルできます。要介護1や要支援1・2は例外を除き対象外なので注意しましょう。レンタルの対象となる車いすは自走用・介助用車いす・電動車いす・電動四輪車に限定されます。
車いす付属品
車いす付属品とは、車いすと一緒に使う用品を指します。車いすの利用が前提であるため、要介護2以上の方がレンタルできます。付属品にはさまざまなものがあります。例えば、座圧や姿勢を維持するための車いす用クッションや片麻痺でブレーキが届かない時に使う延長ブレーキ、自走用・介助用車いすを電動として利用できるようにする電動補助装置などが対象です。
特殊寝台(介護ベッド)
特殊寝台とは、いわゆる介護ベッドや電動ベッドのことです。背部や脚部の傾斜角度をコントロールしてその時に必要な姿勢を取ることができたり、床板を介護しやすい高さに調整できたりする機能が備わっています。レンタルの対象となる特殊寝台は、サイドにレール(ベッド柵)が装着されている、または取り付け可能なベッドで、背上げや脚上げ機能、もしくは床板の高さ調節ができるタイプです。要介護2以上の方がレンタルできます。
特殊寝台付属品
特殊寝台付属品は特殊寝台と一緒に使用する用品なので、要介護2以上の方がレンタルできます。借りられる付属品はベッド用手すりやマットレス、ベッドの上でも食事などができるように設置するテーブルなどです。ベッドを使う際の快適性や安全性をアップできるので、一緒にレンタルを検討すると良いでしょう。
床ずれ防止用具
寝たきり状態の人や自力で寝返りがうてない人は床ずれが起きやすいので、それを防止するための用具もレンタルできます。要介護2以上の方がレンタルできます。また、レンタルの対象となる用具はエアーマットレスや送風装置か空気圧調整装置が搭載されたエアーマットレス、もしくは水による減圧で体圧を分散できるウォーターマットレスなどです。
体位変換機
体位変換機とは、寝たきり状態の人も少ない体力で身体を動かせるようにサポートする介護用品・福祉用具です。身体の下に空気パットなどを挿入することでベッドの上で姿勢を変えられ、床ずれの予防にもつながります。ただし、レンタルでは体位保持だけを目的とした体位変換機は対象外なので注意しましょう。自力で体位変換が難しい要介護2以上の方がレンタルできます。
スロープ
スロープは段差を解消するために設置される介護用品・福祉用具です。手すりと同じくレンタルは工事なしで設置や撤去ができるスロープに限られます。スロープを取りつけることで段差がなくなるので、歩行時の転倒リスクを減らすことや車いすでもスムーズに移動できるようになります。スロープは要支援1・2、要介護1以上の方がレンタルできます。
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器は、認知症の要介護者の徘徊を素早く察知してくれる機器です。要介護者が部屋や屋外へ出ようとした時に人感センサーや離床センサーが反応し、家族や隣人などに通報してくれるシステムとなっています。認知症介護の際に導入する機器であるため、要介護2以上の方がレンタルできます。
移動用リフト
移動用リフトは自力や車いすで移動が難しい人が利用するリフトです。床走行式、固定式、据置式のもので、体を吊りあげたり、体重を支えたりする構造となっているものがレンタルの対象です。手すりやスロープと同じく取り付けに改修工事を伴わないタイプをレンタルできます。要介護2以上の方がレンタルできます。
自動排泄処理装置
自動排泄処理装置は、尿や便を自動的に吸引してくれる装置です。レンタルの対象は、尿や便がセンサーに反応して自動的に吸引されるもの、そして尿や便の経路となる部分が分割可能な構造、要介護者や介護者が簡単に使用できるものと定めています。また、借りられるのは自動排泄処理装置の本体のみで、レシーバやタンクなどは購入が必要です。自動排泄処理装置のレンタルでは、機能によって対象介護度に制限があります。尿だけを吸引できるタイプはすべての介護度でレンタルできますが、尿と便を吸引できるタイプは要介護4・5の認定を受けている方に限られるので注意しましょう。
レンタルすることができない介護用品・福祉用具とは
介護用品・福祉用具のレンタルは、対象介護度によってはレンタルできないものがあります。そのため、対象介護度に合う用具にはなにがあるか事前に確認しておきましょう。ただし、例外で対象介護度の条件を満たしていなくてもレンタルできる場合があります。たとえば末期がんや関節リウマチ、パーキンソン病などの疾患で体調が変動しやすい方や疾患が急速に悪化した場合など、医師が介護用品・福祉用具が必要だと判断することもあるでしょう。その上で、市区町村が必要と認めた場合に、例外給付により介護用品・福祉用具をレンタルできる場合があるのです。ケアマネジャーに相談し、自治体に届出を出してください。また、介護用品・福祉用具によってはレンタルの対象とならない用品もあります。たとえば、歩行器ならシルバーカー、歩行補助杖なら一脚杖、自動排泄処理装置ではレシーバとタンクなどが該当します。これらを使いたい時は購入となるので注意しましょう。
どうやってレンタルするの
介護用品は、要介護認定を受けていれば、要介護度に応じた用品をレンタルできますので、まだの方はまず自治体の窓口より介護認定を申請しましょう。介護用品・福祉用具のレンタルを提供できる事業者は、都道府県や市区町村から指定を受ける福祉用具貸与事業者です。指定事業者選びですが、その際はケアマネジャー、要支援なら地域包括支援センターに相談します。ケアプランの作成後に事業者が選定され、その事業者に配置される福祉用具専門相談員が利用者のもとに訪れ、必要な介護用品・福祉用具を提案してくれます。レンタルするものが決定すると事業者と契約し、レンタル開始です。
レンタル後は、福祉用具専門相談員が定期的にメンテナンスをしてくれ、必要に応じて借りる用品・用具の変更もできます。
レンタルすることのメリットは?
介護用品・福祉用具をレンタルするメリットは、やはり介護保険が適用されることです。購入となると全額自腹で購入しなければならず、高額な用品・用具を揃えなければならないほど介護度が重いと導入費の大きな負担がかかります。レンタルでは月額料金が発生しますが、購入よりも割安になるケースが多いです。また、福祉用具専門相談員が介護用具・福祉用具選びをサポートしてくれる点もメリットになります。
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福祉用具貸与事業所に勤務し、住み慣れたご自宅での在宅生活で、お客様が安全・快適に過ごしていただけることをミッションとして福祉用具・住宅改修業務を通して携わる。また地域包括支援センターと連動して地域の老人会や自治会に向けて、住環境整備の大切さを啓発する勉強会を開催するなど、地域に根付いた活動に力を入れている。