2021.07.21

簡単生活リハビリ「立つ・立ち上がる」

最終更新日:2021.08.13
加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

立つ

二本の足で「立つ」ことが当たり前の哺乳類はヒトだけだと言われています。しかし、体調が悪い時や高齢者になると、この「立つ」という行為そのものが大変になってきます。正しい姿勢で立つことは、正しい筋肉がつき、痛みが無くなったり、体調が安定したりします。まずは正しく立つことについて説明します。

ひざを伸ばす

生活リハビリ

立ち上がった後、後ろに倒れそうになったり、膝の力が抜けてしまったりする方が多くいます。その原因としては、「腰が伸びていない」(図1)ことが深く関係しています。
「腰が伸びない」ために
・重心が後方に残ってしまい、後方にふらつきやすくなってしまいます。
・「腰が伸びない=中腰」になるため、膝への負担が増え、膝が体重を支えられず膝が崩れてしまいます。
このように立ち姿勢を保つためには、腰を伸ばすことは必須条件となります。

お尻を締める

生活リハビリ

腰を伸ばそうとしてもなかなか伸ばせないという方も多いと思います。そこで、「腰を伸ばす」のではなく「お尻を締める」意識を持つことをお勧めします。そうすると自然と腰が伸び、重心も前方に移動します。また「お尻を締める」ことで膝が伸ばしやすい環境になり、膝折れ防止にも効果があります。(図2)
※背中が丸くなっている方、痺れや感覚麻痺などで足の裏の感覚が鈍くなっている方は効果が見られにくい場合があります。

立ち上がりの動作について

次に「立ち上がり」について取り上げます。「立ち上がり」は生活するうえで最も基本的な動作の一つです。実はこのシンプルな動作の中には2つの多いな要素があります。それが「立ち上がるための準備の姿勢」と実際に「立ち上がる動作」の段階です。

準備姿勢

「立ち上がり」とは、重心を移動する動作の一つで、
座っている姿勢・・・重心がお尻の上にある姿勢
から
立ち姿勢・・・重心が足の上にある姿勢
に転換する動作です。
重心の動く量が多いと身体の負担が増えるため、動かす距離を小さくすることが立ち上がりのポイントとなります。

上下の重心移動の距離を小さくする

生活リハビリ

立ち上がる際は重心を上にあげる動作があります。低いイスは普通のイスより、重心を縦に動かす距離が伸びるため、立ち上がりが大変になります。リハビリを行う際は無理のない高さのイスを用意しましょう。

前後の重心移動の距離を小さくする

デイサービス_静岡

準備姿勢の重要なポイントは
●浅く腰掛ける
●ひざを深く曲げる
という2点です。この二つの準備は前後の重心移動の距離を短くすることになり、立ち上がりの際の力を小さくすることができます。
※ひざに痛みがある方は注意してください。

立ち上がり動作

立ち上がりは座っている姿勢から重心を前方かつ上方に動かす動作になります。
① 正面を向いたまま目線や頭の位置を高く保つ
② ①の状態を保ったままお辞儀をして立ち上がる
この2つが立ち上がりの動きの中で重心の移動量を減らすためのポイントとなります。

① 正面を向いたまま目線や頭の位置を高く保つ

生活リハビリ

立ち上がる際に背中が丸まっていたり、それが原因で頭の位置が低かったりすると重心の位置は後方かつ低くなります。頭や目線の位置を高く保つことで姿勢が伸び、重心の位置を前方かつ高くすることができます。

② ①の状態を保ったままお辞儀をして立ち上がる

生活リハビリ

 

① の状態を保った状態でお辞儀をすることで、重心を前方に移動させることができ、足の裏に体重を乗せることが出来るようになります。体重が足の裏に乗ったら、あとは足を伸ばすだけです。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員"理学療法

資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。