目次
バランスから考える転倒予防
今回は転倒予防に焦点を当て、普段から出来ることを提案させて頂きます。転倒の原因の身体的要素としては、主に筋力低下、歩行能力低下、バランス能力低下と言われています。第一弾としてバランス能力に着目し、解説致します。
バランスを制御する3つの感覚情報
バランスとは姿勢を制御することを言います。姿勢を制御する為には、身体が3つの感覚情報を正しく受け取り、正しく反応する必要があります。3つの情報とは視覚(目からの情報)・前庭感覚(耳からの情報)・体性感覚(主に足のウラからの情報)の事です。
健康サンダルがオススメ
加齢に伴い、体性感覚が鈍くなってしまうため、情報を徐々に視覚に頼るようになります。エレベーターなど急に視覚情報が変化する環境では、ふらつきがひどくなるとも言われています。そこで、健康サンダルなど中敷に凹凸があるものを履くことを提案します。足のウラに刺激を与えることで転倒の危険性は低くなると言われています。普段歩き慣れている家の廊下などを歩く際、健康サンダルを履き足ウラのトレーニングをするとよいかと思います。トレーニングする際は、絨毯や敷居には十分に注意して下さい。
筋力から考える転倒予防
高齢者の転倒の5割以上が歩行中に生じ、その中でも「つまづき」が原因で転倒する割合が6~7割以上とも言われています。加齢に伴い、「つまづき」が多くなる原因としては、スネの前にある前脛骨筋という筋肉の筋力低下が挙げられます。
前脛骨筋の「ながらトレーニング」
ここでは前脛骨筋の〇〇しながら出来る「ながらトレーニング」を紹介します。前脛骨筋はつま先を上げる筋肉です。鍛え方としては椅子に座った状態でつま先を上げ下げするだけ。食事を取りながら、テレビを見ながらつま先の上げ下げを毎日30回程度繰り返しましょう。このようにちょっとした運動を生活の中に織り込むだけでも、転倒予防運動ができるので、ぜひ取り組んでみてください。
横方向へのふらつきを防止する
高齢者の転倒の原因で「つまづき」と同じくらい多いのが、横方向へのふらつきです。横方向へのふらつきは、小指側に体重がかかりやすい方に多く見受けられます。
転倒の原因:小指側への体重のかかりやすい
小指に体重がかかりやすい方というのは、靴の外側の減りが早い方などです。小指に体重がかかると、バランスを崩しやすくなりふらつきと転倒の原因となります。
足の親指と土踏まずに力を込める
そこで普段から足の親指と土踏まずに力を込めるように歩くと、体が左右に流れるのを防ぐことができ、歩きが安定します。またその意識を持つことで内もも、更に腹筋背筋も同時に鍛えることが出来ます。転倒と同時に筋力が鍛えられるこのトレーニング。ぜひ意識しながら歩いてみてください。
「足の指」は健康的な生活の立役者
最近では運動をして自分の身体機能を維持・向上させることが、当たり前になりつつあります。しかし、いくら足の運動をしても足の指のケアを怠ると効果が薄れてしまう可能性があります。例えば、歩いている時や立っている時、地面に力を伝えるのは体のどの部分でしょうか?答えは足の裏、特に足の指です。いくら太ももやふくらはぎの運動をしても、足の指がしっかりしていないと、生活動作の安定や転倒予防の効果は薄くなります。逆に足の指がしっかりしていれば、転倒しにくくなり生活動作が安定するとも言えます。
足の指のトラブルは早めに病院へ
健康的な生活を送るために、足指や足爪については、まずお医者さんや看護師さんに相談し、適切なケアを受けましょう。ケアを受けた後、足の指でタオルを手繰り寄せる運動(タオルギャザー)などを行い、足の動きを改善することが重要です。
ちょっとした工夫でも転倒予防
普段歩いている際にちょっとした工夫をするだけで、格段に転倒を予防、歩行能力を向上する方法もあります。それは「歩く際につま先を上げ、踵から足を着く」という意識を持つことです
筋力から考える転倒予防のまとめ
転倒の原因となる「つまづき」はつま先を上げ、踵から足を着く意識を持つことでつまずく危険性が減少します。また、歩行時に踵から足を着くことで、床と踵の間にてこの力が働き、自然に骨盤と足全体が前へと進む推進力が生まれます。このことにより、一生懸命歩かなくても歩行速度が速くなり、必要以上のエネルギーを消費しない効率の良い歩きとなります。長年ハイヒールを履いていた方やすり足で歩いていた方は、踵から足を着くという習慣が失われがちなので、この意識を強く心がけましょう。
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資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。