2021.08.10

簡単生活リハビリ「立ち方・座り方」

最終更新日:2021.08.15

膝関節の負担が少ない立ち上がり方とは

膝関節に負担が少ない立ちあがり方

簡単生活リハビリ第1回「立つ・立ち上がる」で立ち上がる際に体への負担が少ないポイントとして、「浅く腰掛ける」「膝を深く曲げる」「お辞儀をする」の3つを挙げさせて頂きました。今回はこれらのポイントと併せて、机や手すりを支えにして立つ場合のポイントを解説致します。

立ち上がる際の机や手すりを持つ手の使い方

膝関節の負担が少ない立ち方膝関節の負担が少ない立ち方

今回着目するのは、立ち上がる際の机や手すりを持つ手の使い方です。手の使い方は大きく「机や手すりを引っぱる」「机や手すりを下方向に押す」の2パターンに分類されます。この2パターンの違いによって体、特に膝への負担が変わってきます。

高齢になると、「引っ張る」タイプの方が多くなる傾向があります。しかし、机や手すりを引っ張って立ち上がることは、膝の負担軽減には繋がらず後々、痛めてしまったり、立ち上がりが困難になったりします。反対に机や手すりを下方向に押して立ち上がる場合は腕で体重を支えることができ、膝への負担は減ります。

立ち上がる際は、机や手すりに「手を置き、下方向に押す」意識を持って立ち上がるようにしましょう。この立ち上がり方は高齢の方だけではなく、最近膝が痛んだり違和感がある方に対しても、痛みの悪化または変形の悪化を防ぐことにも繋がります。ぜひ今後、このような意識を持ち関節に優しい生活を送って頂ければと思います。

立ち上がりやすい椅子の高さや形状について

立ち上がりやすい椅子の形状

前述では、立ち座り動作を簡単かつ安全に行うための動きのポイントを中心に取り上げてきましたが、今回は視点を変えて立ち座りに関わる環境面のお話しをさせて頂きます。

立ち上がりやすい椅子のポイント

立ち上がりやすい椅子

立ち座り動作で重要になってくるのが、椅子の形状および高さです。

立ち上がりやすい椅子の高さは、下腿高(床から膝までの高さ)×120%と言われており、椅子に腰掛けて足を着いた状態で、膝が90°より少し伸びる程度とされています。一般的な椅子の高さは40~41cmであり、身長150cm程度の方には立ち上がりやすい高さとなっております。身長が高い方はクッションや座布団を敷き、椅子の高さを上げることで、立ち上がりやすくなります。

形状としては肘掛がない椅子で机や手すりに掴まって立ち上がるよりも、肘掛けのある椅子で肘掛けを押すように立ち上がる方が足への負担は少ないと言われています。そのため、足に力がなくなってきたと感じる方は肘掛けがある椅子を使用することをお薦めします。しかし、椅子の高さを上げることで足つきが悪くなり、転落・ずり落ちを起こす危険性も高まりますので、ご注意ください。

正しい座り方で腰やお腹を鍛えよう

正しい座り方

座り方の違いが体に及ぼす影響を解説していきたいと思います。横から見た座り方は図1のような姿勢があります。一般的には前かがみ姿勢やのけ反り姿勢が悪い姿勢と言われています。前かがみ姿勢やのけ反り姿勢は体幹の筋肉を使わず、背骨や背骨につく靭帯で姿勢を保っている状態になります。そのため、この姿勢が継続すると徐々に体幹の筋力が弱まり、良い姿勢に戻そうと思っても戻せない状態になってしまいます。胸を張り過ぎた姿勢は一見して良い姿勢に見えますが、背中全体に力が入るため、疲れてしまい長続きしません。良い姿勢を保つことで身体的疲労が少なく、腰や体幹の筋肉の活動が増します。将来姿勢が悪くならないようにするためにも、普段から良い姿勢を保ちましょう。また良い姿勢をキープしたい方はまた良い姿勢をキープしたい方は、下の図のようにロール状にタオルを丸めて腰に入れてみましょう。こうすることで骨盤が起き、良い姿勢を保つことができます。

良い姿勢の保ち方

移乗動作の立ち方・座り方

移乗動作の立ち方と座り方

突然ですが皆さんに問題です。写真1は、今まさにベッドに乗り移るために立ち上がろうとしている人です。この状態で安全に移れるなら問題はないのですが、そうでない場合、改善すべきポイントがあります。どこだかわかりますか??危険を排除するという視点で考えてみてください。

殿部の位置

殿部の位置

一つ目は殿部の位置。この位置では移動距離が長くなり、立っているリスク時間が長くなります。また、深く座っていると立ち上がりにくいですよね。できる限り殿部はベッドに近づけ移動距離を短くしましょう。(写真2)

手の位置

移乗動作の手の位置

二つ目は手の位置。このまま立てば、立った状態で手を持ち変える必要があります。一瞬ですが片手を離すため、リスクは増えます。片手にならないよう、立つ前から手すりを持つと良いでしょう。(写真3)

足の位置

三つ目は足の位置です。このままだと足の踏み替え(数歩の歩行)が必要になります。数歩ですが歩きが困難な方には大変な動作です。また、踏み替えをしなければ足をひねってしまう恐れもあります。あらかじめ移り先に足を向ければ踏み替えは必要ありません。以上のポイントで安全な移乗を心がけて下さい。

加藤 隆三
理学療法士 地域リハビリテーション推進員
資格取得後は整形外科におけるリハビリテーション部の立ち上げに従事。その他、中学や高校の野球チームでトレーナーとして携わる。
現在は介護サービスにおいて、お客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事している。
その他、地域リハビリテーションに力を入れており、静岡市を中心に介護予防教室を30回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具の選定方法などの講演を行う。